
補助対象(創業者の定義・対象事業の範囲)
創業型補助金の対象は、創業後間もない小規模事業者です。具体的には、日本国内に居住する個人事業主、または日本国内に本店を有する法人で、常時使用する従業員数が小規模事業者の範囲内(※業種により5人以下または20人以下)であることが条件です。さらに**「産業競争力強化法」に基づく認定市区町村(創業支援事業計画の認定自治体)またはその連携創業支援機関が実施する「特定創業支援等事業」による支援(創業前後に受けられる継続的支援プログラム)を受けていることが必須となっています。この支援を受けた日と事業の開業日(設立日)が、公募締切日を起点に過去1年以内**に収まっていなければなりません。第3回公募ではこの要件が強化され、令和8年4月30日締切の1年前(令和7年4月30日)以降の支援・創業のみ対象となっています(※第1~2回公募では「過去3年以内」まで認められていました)。
対象となる事業の範囲は、小規模事業者自身が策定した経営計画に基づき、販路開拓や生産性向上の取組みであることが求められます。具体的には「自社の商品・サービスの販路を開拓する取組」や「業務効率化(生産性向上)の取組」を支援対象とし、その計画に沿った経費のみが補助されます。なお、公序良俗に反する事業や投機的事業、補助趣旨に合致しない業種(例:一部の風俗営業やギャンブル等)は補助対象外です。また法人税法上の収益事業でないNPO法人等や、大企業の子会社(資本の100%を5億円以上の企業に保有されている場合)も対象外となります。
重要なポイント: 創業型は応募時点でまだ開業間もなく実質的な事業活動を開始していない場合でも応募可能ですが、補助事業実施期間終了までに実際に商品・サービスの提供を開始することが条件です。つまり、事業計画の遂行により遅くとも補助事業期間内に事業を本格始動させる意思と準備が求められます。
補助率・補助上限額
補助率は**2/3(3分の2)**で、補助対象経費の3分の2が補助金として支給されます。自己負担は経費の1/3となります。例えば90万円の経費に対し60万円が補助されるイメージです。
補助上限額は200万円です。ただし所定の特例措置を活用することで上限が引き上げられる場合があります。具体的には、インボイス制度への対応を支援する「インボイス特例」に該当する場合、上限額が50万円加算され最大250万円まで補助を受けられます。インボイス特例とは、免税事業者だった創業者が適格請求書発行事業者に転換する負担に配慮した措置で、2021年9月30日~2023年9月30日に一度でも免税事業者だった者、または2023年10月1日以降に創業した者で、補助事業終了時に適格請求書発行事業者の登録を受けているケースが該当します。該当すれば補助上限が200万円→250万円に引き上げられます。なお、一般型補助金においてインボイス枠を利用済みの場合は本特例の対象外です。
補助率や上限額は、第3回公募でも以前と変更なく据え置かれています。創業型の補助上限200万円(特例時250万円)は、一般型通常枠の上限50万円(各種特例適用最大250万円)に比べ高額に設定されており、創業直後の事業者を手厚く支援する狙いがあります。なお、一般型では賃金引上げ等の特例適用で補助率3/4や上限+150万円といった措置がありますが、創業型では賃上げ特例の適用対象にはなっていません(創業間もない事業者向けのため、補助率は一律2/3となります)。
補助対象経費の範囲
補助対象となる経費は、公募要領に定められた販路開拓等(および業務効率化)に要する経費に限られます。策定した経営計画に基づき実施する取り組みの経費で、具体的な科目例は次のとおりです:
- 機械装置等費: 補助事業の遂行に必要な機械装置・設備の購入費用。例)生産性向上のための製造装置や工具の購入費、新規店舗の厨房機器導入費等。中古設備も一定条件下で対象(中古品は税抜50万円未満なら可等の条件あり)。店舗改装を伴う設備投資も対象で、集客力向上やバリアフリー化の工事費なども計上可能です(※50万円以上の工事を行う場合は「処分制限財産」となり、補助事業終了後一定期間は目的外使用や譲渡が制限されます)。
- 広報費: チラシ、パンフレット、ポスターなど広告宣伝物の制作費、各種広告媒体への掲載費等。例)開店告知の折込チラシ作成費、看板デザイン費、SNS・インターネット広告出稿費など。
- ウェブサイト関連費: ホームページやECサイトの構築・改修・運用費。ネット販売や集客のためのウェブサイト制作、システム開発費用等が該当。
- 展示会等出展費: 新商品・サービスを展示会や商談会に出展・参加するための経費。オンライン展示会への出展費用やブース出展料、展示サンプル製作費など。
- 旅費: 補助事業計画に基づき販路開拓のために要する旅費。例)展示会や商談会への交通費・宿泊費(公的基準に沿った算定が必要)。
- 新商品開発費: 新商品の試作開発やパッケージデザイン開発等にかかる費用。試作品の材料費、外注によるデザイン費、試作品改良費などが該当します。
- 借料: 補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料。例)展示会期間中の機材レンタル費等。
- 委託・外注費: 上記に該当しない業務で、補助事業に必要な作業の一部を外部に委託・発注する費用。例)専門家へのコンサルティング費用、Webマーケティングの運用代行費用など(※ただしインボイス制度対応の相談費は除外)。
以上が代表的な対象経費科目です。補助対象経費は補助事業期間内に発注・支出を完了したものに限られ、事業と直接関係ない経費や日常経費(光熱水費・通信費等)、資産性が高く目的外流用のおそれがある経費(単なる土地建物の取得など)は補助対象外です。また、消費税は原則補助対象外(ただし免税事業者等特例の場合を除く)である点にも留意が必要です。
応募要件(開業時期・事業所所在地・申請書類など)
応募に必要な要件は以下のとおりです。
- 創業時期要件: 前述のとおり、公募締切時点から遡って1年以内に創業していること(設立日または開業届出日が令和7年4月30日以降)。さらにその期間内に認定市区町村等による特定創業支援等事業の支援を受けていることも必要です。この2つの日時要件(支援を受けた日・開業日)がともに満たされてはじめて応募資格となります。 (参考: 第2回公募までは「過去3年以内」まで対象でした)
- 小規模事業者であること: 常時使用する従業員が小規模企業の範囲内であること(商業・サービス業※5人以下、製造業その他20人以下)。応募時から補助事業完了時まで小規模事業者であり続ける必要があります。
- 法人の場合の要件: 資本金または出資金が5億円以上の企業に直接または間接に100%株式保有されていない中小企業であること(大企業の子会社等でないこと)。
- 事業形態の要件: 農業などの場合は加工・サービス提供を伴う事業であれば対象になりますが、単純な一次産業従事(生産行為のみ)は対象外等、業態による制限が一部あります。また宗教・政治団体や一部風俗営業は対象外。
- 他の持続化補助金との重複不可: 小規模事業者持続化補助金<創業型>について過去に採択・事業実施していないこと、および申請時に他の回の創業型や一般型通常枠に同時申請していないこと。つまり、一つの事業者が同時期に創業型と一般型を両方応募することはできません。また過去に一般型で採択・実施した事業者も本創業型には申請不可となっています。
- 事業支援計画書の発行(支援機関連携): 応募には、地域の商工会または商工会議所の支援を受けながら事業を行うことが求められます。具体的には、事前に所在地を管轄する商工会議所(または商工会)に相談の上、「事業支援計画書(様式4)」という書面の発行を受ける必要があります。この様式4は、商工団体が申請事業者の計画内容を確認し支援を行うことを示す証明書で、第3回公募では**2026年4月16日(木)**を発行依頼締切日として事前に取得しなければなりません。商工会・商工会議所から支援計画書が発行されないと応募は受理されませんので、早めに相談する必要があります。
- 申請書類: 所定の申請様式を用いて計画書等を作成します。一般に、様式1(申請書:事業者情報等)、様式2・3(経営計画書・補助事業計画書:事業の内容や資金計画等)、様式4(事業支援計画書:商工会等発行)を準備します。そのほか添付書類として、特定創業支援等事業の支援を受けたことを証する書類(自治体等が発行する受講証明書など)、法人の場合は履歴事項全部証明書の写し(設立日確認用)、個人事業主の場合は開業届の写し等、補助事業の内容によって必要な許認可証のコピー、加点措置を希望する場合は該当証明書類(後述)などが求められます。これら**必要書類が全て揃っていない場合は失格(不採択)**となるため注意が必要です。
- 電子申請必須: 第3回公募では電子申請システム(Jグランツ)からの申請のみ受付となります。申請者は事前にGビズIDプライムアカウントを取得し、様式と添付書類一式をオンライン提出する必要があります。郵送や持参での申請は認められていませんのでご注意ください。
- 本人申請・支援機関連携: 本補助金は商工会議所等の伴走支援を受けながら取り組む制度のため、申請準備を専門家や代理人に任せきりにせず、自社が主体となって商工会・商工会議所と相談することが求められます。代理申請自体は可能ですが、事業者本人が商工会等への相談や書類確認に参加していない場合、様式4の発行を断られるケースもあります。したがって、計画策定段階から支援機関との連携を密に行うことが重要です。
以上が主な応募要件です。要件を満たしていれば、まだ開業準備中の段階(開業届は提出予定、事業開始前)であっても応募可能です。ただし採択後は速やかに開業届出や事業開始を行い、補助事業期間内に事業を動かすことが前提となります。
採択スケジュールと審査基準
第3回公募のスケジュールは以下のように設定されています:
- 公募要領の公開日: 2026年1月28日(令和8年1月28日)
- 申請受付開始日: 2026年3月6日(令和8年3月6日)
- 申請受付締切日: 2026年4月30日(令和8年4月30日)〈当日17:00必着〉
この締切日までに電子申請を完了する必要があります。採択結果の発表時期は公募要領上明示されていませんが、締切後おおむね2~3か月程度で外部有識者による審査を終え、事務局ホームページ上で採択結果公表・各申請者への結果通知が行われる見込みです。したがって、第3回分の採択発表は2026年7月~8月頃になる可能性があります(応募件数等によって前後します)。
審査の流れと基準: 提出された申請はまず事務局による**基礎審査(書類審査)**が行われ、応募要件を満たしているか、不備がないかをチェックされます。基礎審査では必要書類の欠落や要件不充足があればその時点で失格(不採択)となります。
基礎審査通過後、**経営計画・補助事業計画の内容に関する審査(計画審査)**が行われます。これは有識者による評価で、主な評価観点は以下の通りです:
- 事業者の自己分析の妥当性: 自社や自社商品・サービスの強み・弱み、市場環境や課題を適切に分析できているか。課題設定が的確で、解決すべきニーズが明確かどうか等。
- 経営方針・目標と今後のプランの合理性: 計画に掲げる事業方針や目標が自社の強み弱みに照らして適切で、一貫性があるか。ターゲット市場や顧客ニーズとの整合性は取れているか。
- 補助事業計画の有効性・具体性: 補助金を投入する取組内容が具体的かつ実現可能性が高いか。製品開発やマーケティング手法に独自性・創意工夫がみられるか、デジタル技術の活用など時流に合った取組か、といった点も見られます。また創業支援事業で練られた創業計画が補助事業計画に活かされているか(支援の成果の反映)もチェックされます。
- 事業遂行能力: 補助事業を遂行するための人的リソース・技術力や資金計画が十分か。計画達成に必要な体制が整っているか、スケジュールや資金繰りに無理がないか等も評価ポイントです。
- 将来的な持続・発展性: 補助事業の成果によって事業者が持続的成長・地域貢献を果たす見込みがあるか。将来的に小規模事業者の枠を卒業(規模拡大)し得る成長志向があるか、といった点も加味されます(※これに関連して「卒業加点」の制度もあります。後述)。
審査員は上記観点で各申請を評価し、総合的に優秀と判断された案件から予算の範囲内で採択されます。なお、予算の都合で希望額より減額採択となる場合もある旨が記載されています。
加点措置による評価調整: 計画審査において、政策的に推進したい要素を有する事業者には加点審査が行われます。創業型では申請時に最大2種類まで加点項目を選択可能です(重点政策加点から1つ、政策加点から1つ)。複数選んでも各カテゴリ1つずつしか得点されないため、2種類までの選択となります。
- 重点政策加点: 国の最重点課題に対する支援として設けられる加点です。第3回公募要領では、例として「事業環境変化加点」や「東日本大震災加点」が該当します。
- 事業環境変化加点: ウクライナ情勢に伴う原材料価格高騰や円安などの外部環境変化の影響を受けている事業者が、新たな販路開拓等に取り組む場合に加点。申請様式で物価高騰等の影響を受けている旨を記入し、証拠書類(例えば食品業なら食品衛生法の営業許可証等)を提出することで適用されます。
- 東日本大震災加点: 東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示区域(福島県12市町村)に事業所がある事業者、またはALPS処理水の風評被害克服のため販路開拓に取り組む太平洋沿岸部の水産関連事業者に対する加点です。該当者は様式で選択肢を選び、営業許可証など証憑を提出します。
- 政策加点: 一般的な政策課題に沿う取組への加点です。複数ありますが、創業型では例えば以下のような項目があります。
- 事業承継加点: 後継者不在等の課題に対応するため事業承継に取り組む場合の加点です。代表者が交代予定である場合や第三者承継で創業したケースなどが該当し、商工会議所発行の「事業承継診断票(様式10)」を提出することで評価されます。
- 卒業加点: 小規模事業者を「卒業」(従業員増加等で中小企業へ成長)することを目指す事業者への加点です。今後相当の成長計画がある場合に、様式8の誓約書と労働者名簿を提出して申請します。5年以内に小規模の範囲を超えることを誓約する内容で、将来的な発展志向を評価します。
- 経営力向上計画加点: 「経営力向上計画」(国が認定する経営強化計画)を取得済みの場合の加点です。様式2で申請し、認定書の写しを提出します。
- 働き方改革・子育て支援等に関する加点: 一般事業主行動計画の認定(「くるみん」認定等)を受けている企業への加点などが想定されます。例えば子育てサポート企業の「くるみん認定」、女性活躍推進の「えるぼし認定」などの通知書コピーを提出することで加点されます。
これら加点項目のうち、重点政策加点1つ+政策加点1つまで選択可能で、該当する証明書類を添付することで加点が得られます。審査ではまず計画内容で評価点が付与され、さらに該当加点があれば点数が加わる仕組みです。最終的に総合評価の高い順に採択されます。
採択傾向: 第1回創業型の結果では申請3,883件中1,473件が採択(採択率約37.9%)と、ほぼ「応募者の3人に1人~2人に1人」が採択されました。一般型同時期の採択率(約51%)より低く、競争率は高めでした。これは創業型に期待して多くの創業者が応募したためで、審査では書類の完成度や事業計画の独自性が採択を分けたとの指摘があります。実際、課題と解決策の一貫性があり具体的な成果目標を示せている計画書が通りやすかったとの分析もあります。第3回では対象が「創業1年以内」に絞られたため応募母数は減る可能性がありますが、その分より創業間もない事業者に資金を行き渡らせる狙いと考えられます。引き続き競争は予想されるため、創業支援機関のアドバイスを受けつつ計画書の精度を高めることが重要です。
申請手続き(様式・提出方法・支援機関の役割)
申請の手順は、大まかに以下のステップになります。
- GビズIDの取得: 電子申請に必要なGビズIDプライムアカウントを未取得の場合、事前に取得します。取得には2週間程度かかるため早めの準備が必要です。
- 事業計画の作成・必要書類準備: 自社の経営計画書・補助事業計画書(様式2・3)を作成します。補助事業の目的・内容、経費明細、期待される効果、収支計画などを盛り込んだ書類です。あわせて創業支援事業の支援を受けた証明書や各種証明書類(前述の特定創業支援の受講証明、許認可証のコピー、加点関係書類など)を用意します。申請様式一式は公募要領とともに事務局サイトからダウンロード提供されます。
- 商工会・商工会議所への相談: 事業計画の内容について、所在地を管轄する商工会議所または商工会に相談します。計画書ドラフトや必要書類を持参の上、事業概要や創業状況を説明し、**様式4「事業支援計画書」**の発行を依頼します。商工担当者は計画内容が補助金趣旨に沿っているか、書類の不足がないか等を確認し、適切と判断すれば様式4を発行してくれます。第3回では4月16日までに依頼しないと発行が受けられません。この相談プロセスで計画書のブラッシュアップ助言ももらえるため、計画の質向上にもつながります。商工会等の会員でなくとも発行依頼は可能です(会員外でも応募資格ありと明記)ので積極的に活用しましょう。
- 電子申請による提出: 様式1~4および添付書類一式が揃ったら、補助金電子申請システム(Jグランツ)上で必要事項を入力しPDF等の形で書類をアップロードします。様式4(商工会発行書)のPDFもアップロード必須です。全ての書類を送信し、Jグランツ上で申請完了となります。締切日時(4月30日17:00)を過ぎると入力ができなくなるため、時間に余裕を持って提出してください。オンライン提出後、受付番号等が発行されます。
※郵送提出は不可なので注意してください。ネット環境の不調に備え、締切間際ではなく早めの申請送信を心がけましょう。 - 受付・審査: 提出後、事務局で受付・審査が行われます。追加資料の要請などがある場合もあります。採択結果は先述の通り事務局サイトで公表され、採択者には交付申請手続きの案内が届きます。
- 交付申請・事業開始: 採択通知を受けたら、必要に応じて見積書の提出や交付決定手続きを行い(採択後1~2ヶ月程度で交付決定)、交付決定が下りた後に補助事業を開始します(交付決定前に発注・支出した経費は補助対象になりません)。事業実施中は経費の支払証憑や成果物を管理し、事業終了後に実績報告を行います。
支援機関(商工会・商工会議所)の役割: 商工団体は単に書類を発行するだけでなく、創業者の身近な相談相手として伴走支援を行います。申請前の計画相談はもちろん、採択後も必要に応じて事業の進め方について助言を得ることができます。創業期に不足しがちな経営ノウハウを補う専門家ネットワークでもあり、今後のフォローアップ(例:販路開拓の継続支援や経営指導員による定期訪問など)も期待できます。実際、第1回採択者のフォローとして事務局や商工会議所が補助事業の手引き説明を行うなどの体制が取られています。
また、本補助金事務局自体もコールセンター(電話03-6739-3890)を設置し問い合わせ対応しています。不明点はFAQや事務局問い合わせを活用しながら、不備のない申請を心がけましょう。
その他の創業支援策(加点措置・インキュベーション施設利用・専門家支援など)
創業型補助金には上述した各種加点措置が用意されており、政策的に優先したい創業者を支援する工夫がなされています。例えば事業承継計画を持つ創業者や、従業員待遇向上(最低賃金引上げ)に取り組む創業者、地域課題の解決に資する創業者などは加点により採択されやすくなります。創業者の方は自社が該当する加点項目がないか公募要領を確認し、該当する場合は証明書類を必ず用意して申請時に加点を申請するとよいでしょう。
インキュベーション施設の活用: 多くの自治体では、起業家支援のためのインキュベーション施設(創業支援オフィス、スタートアップ支援拠点)を運営しています。これら施設そのものの利用が直接補助金の加点項目になるわけではありませんが、特定創業支援等事業の一環としてインキュベーション施設での創業セミナー受講や入居起業家へのメンタリングが提供されているケースがあります。創業型補助金の応募条件である「認定市区町村等の支援」を受ける手段として、地元のインキュベーション施設で実施される創業塾・創業相談を活用した方も多いと考えられます。そうした施設に入居・利用していること自体が加点にはならずとも、良質な支援プログラムに参加し事業計画の完成度を高めることで、結果的に審査評価を高めることにつながるでしょう。また、中小機構のサイトでは全国の主要インキュベーション施設の情報提供も行われています(創業期のネットワーク形成に有益)。
専門家支援: 創業間もない事業者は計画策定や事業推進に専門家の助言を得ることが重要です。本補助金では専門家への相談料・コンサルティング費用も補助対象経費に含めることができます(※インボイス対応のみを目的とした相談費は除く)。例えば新商品のブランディングを中小企業診断士に依頼したり、WEBマーケティング戦略について専門家からアドバイスを受ける費用も補助金で賄うことが可能です。加えて、各地のよろず支援拠点(中小企業庁委嘱の無料経営相談所)や商工会議所の経営指導員等、公的な専門家派遣制度も活用できます。これらは創業型補助金の公式支援策ではありませんが、創業者が計画作成や課題解決のために無料で相談できる窓口として心強い存在です。申請書のブラッシュアップには、早めに商工会議所や専門家に見てもらい助言を得ることが効果的とされています。
資金繰り支援: 創業型補助金はあくまで経費後払い(精算払い)で交付されるため、事業実施に必要な資金は一旦自己で手当てする必要があります。そこで政府系金融機関による創業融資制度と組み合わせて資金調達するケースも想定されています。中小企業庁の資料によれば、本補助金の関連施策として日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(融資限度額7,200万円、設備20年以内・運転10年以内)を活用できると案内されています。融資利用には別途審査が必要ですが、補助対象経費の自己負担分や立替資金について低利融資で賄える可能性があります。創業補助金に採択されること自体が金融機関からの評価につながる場合もあるため、融資と補助金を組み合わせた創業資金計画を検討するのも有効でしょう。
以上のように、創業型補助金そのものの支援に加え、各種周辺施策や制度を組み合わせることで、創業期の事業者はより盤石な体制で事業に取り組むことができます。補助金の申請準備段階から、ぜひ地域の創業支援資源(商工団体、インキュベータ、専門家ネットワーク、融資制度など)を積極的に活用することが成功の鍵となります。
以前の創業型補助金との違い(制度の変更点・比較)
令和7年度補正予算で新設された「小規模事業者持続化補助金<創業型>」は、第1回公募(締切:2025年6月)から始まり、第2回公募(締切:2025年11月)を経て、今回の第3回公募(締切:2026年4月)に至っています。その間に制度面でいくつかの変更が行われています。以下に主な相違点を比較表にまとめます。
| 項目 | 第1・2回(令和7年 当初の創業型) | 第3回(令和7年度補正・今回公募) |
|---|---|---|
| 創業からの経過期間要件 | 過去3年以内の創業者が対象 | 過去1年以内の創業者が対象(要件厳格化) |
| 特定創業支援等事業の支援 | 公募締切の過去3年内に支援受講 | 公募締切の過去1年内に支援受講(同上) |
| 小規模事業者要件 | 常時従業員5名/20名以下(変更なし) | 常時従業員5名/20名以下(変更なし) |
| 補助率 | 2/3(変更なし) | 2/3(変更なし) |
| 補助上限額 | 200万円(インボイス特例適用時250万円) | 200万円(インボイス特例適用時250万円)※不変 |
| 主な対象経費 | 広報費・機械装置費・開発費等(計画に基づく販路開拓費用) | 同左(経費区分・内容は基本的に継続) |
| 申請手段 | 第1回は郵送申請可、 第2回より電子申請(Jグランツ)必須 | 電子申請のみ(Jグランツ必須、郵送不可) |
| 採択率(参考) | 第1回: 約38%(1,473件/3,883件) (一般型17回は約51%) | 第3回: 未定(※対象絞り込みで応募減少見込み) |
(注)上記のとおり、第3回公募では創業時期要件の大幅な短縮(3年→1年)が最大の変更点です。これにより制度創設当初よりも対象者が限定的になりましたが、その分「本当に創業直後の事業者」に支援を集中させる意図と考えられます。補助金額・率、経費項目については当初から変更なく継続しています。また、電子申請の徹底も進んでおり、現在は完全オンライン化されています。
採択傾向の変化: 第1回では応募数が多く競争率が高くなりましたが、第3回では対象絞り込みにより若干応募数が抑制される可能性があります。その場合、採択率は上昇する可能性もありますが、公募予算にも左右されます。創業型補助金は創設時より「一般型より採択率が低め」という傾向が指摘されており、計画書の質による選別がよりシビアに行われてきました。今回も引き続き計画の完成度や創意工夫が鍵となるでしょう。実際、第1回採択結果の分析では「課題と解決策が明確で具体的な計画」が通過しやすかったとされています。こうした傾向は今後も続くと予想され、創業型では単に設備購入に補助を当てたいだけの計画ではなく、事業の独自性や成長戦略が示された計画が有利となる点に留意が必要です。
以上、令和7年度補正「小規模事業者持続化補助金(創業型)」第3回公募の内容について、補助対象や要件、手続きから制度の特徴・変更点まで詳細にまとめました。創業間もない事業者にとって貴重な資金援助策であり、適切に活用することで販路開拓や事業基盤強化に大きく寄与するものと思われます。公的支援と専門家ネットワークをフル活用し、ぜひ採択・事業成功を勝ち取ってください。

