
はじめに 🍶✨
広島県は全国有数の酒どころであり、多くの酒類製造業者(酒蔵)や酒類販売業者が地域経済を支えています。
しかし、少子高齢化による国内需要の減少や人々の嗜好の変化により、日本全体で酒類の消費量は年々減少傾向にあります。
特に地方の中小酒造業者にとって、従来の市場だけでは売上維持が難しく、経営改革や新たな販路の開拓が急務となっています。こうした状況を踏まえ、国は酒類業界の持続的発展を後押しするための補助金制度を設けています。
その一つが、**「酒類業振興支援事業費補助金」≪第1期≫(令和8年度)**です。
これは国税庁が主体となり、日本産酒類のブランド強化や海外展開、新市場開拓などに意欲的に取り組む事業者を財政面で支援する制度です。
本記事では、広島県全域の酒類事業者の皆様に向けて、この補助金の概要と活用方法、申請方法について分かりやすく解説します。地元(三次市や庄原市、安芸高田市など)の中小企業が事業拡大にこの補助金をどう活かせるか、具体的なイメージも紹介します。
ぜひ今後の経営の参考にしてみてください。
概要 🧾✅
ここではまず、**「酒類業振興支援事業費補助金」第1期(令和8年度)**の要点を整理します。
数字や期限は特に大切なので、読みながらメモを取る感覚で確認してみてください。
①補助金額 💰
補助金として支給される金額は、事業計画(事業内容)によって異なります。大きく分けて海外展開支援枠と新市場開拓支援枠の2つの区分があり、それぞれ上限額が定められています。
海外展開支援枠では、1件あたり最大1,000万円(下限50万円)、新市場開拓支援枠では、**1件あたり最大500万円(下限50万円)**となっています。
さらに、複数の酒類事業者が連携してグループで申請する場合は上限額が引き上げられ、3者共同なら最大1,200万円、4者で1,300万円、5者で1,400万円、6者以上なら最大1,500万円まで拡大されます。
②補助率 📌
補助率とは、対象経費に対してどの程度の割合が補助金で賄われるかを示すものです。
海外展開支援枠では一律で、対象経費の**1/2(50%)**が補助されます。
新市場開拓支援枠では事業者の規模に応じて補助率が変わり、従業員数が小規模な事業者の場合は対象経費の2/3(約66%)、それ以外の事業者は1/2となります。
ここでいう「小規模酒類事業者」とは、製造業において従業員20人以下、卸売業・小売業では5人以下程度の企業を指します。
③補助対象経費 🧠🛠️
補助の対象となる経費(費用)は、補助事業を実施する上で必要不可欠であり、その妥当性が証拠書類によって確認できるものに限られます。
具体的には、設備投資費(新商品の製造に必要な機械装置・器具備品・ITシステムの導入費用)、謝金や外注費(専門家への謝礼や業務委託費用)、旅費(市場調査や商談のための出張費用)、借損料(機械や車両等のリース料)、通訳・翻訳費(外国語資料の翻訳や商談時の通訳費用)、会議費(打合せやワークショップ開催費用)、広報費(新商品やブランドのPRにかかる広告・宣伝費用。ホームページ制作費、パンフレット・動画制作費、SNS広告費等を含む)、マーケティング調査費(市場ニーズを把握するためのアンケート調査やテストマーケティング費用)、展示会出展費(国内外の展示会や見本市への参加費用)、デザイン費(製品パッケージやロゴの設計費用)、原材料等費(試作品の製造に必要な原材料購入費)など、多岐にわたります。
さらに、製品の差別化やブランド強化のために**産業財産権取得費(特許・商標の出願費用)**も補助対象経費に含めることができます。
⚠️ 注意(とても重要)
交付決定前に発注・契約したものの費用、日常業務で使う汎用備品の購入費、家賃、人件費(給与)などは対象外になり得ます。
④補助対象者 🏢
申請できるのは、基本的に酒類事業者と呼ばれる方々です。酒類事業者とは、公募申請時点で酒税法に基づく酒類の製造免許または酒類の販売業免許を受けている個人・法人を指します。
さらに、それら酒類事業者で構成される協同組合などの団体も含まれます。加えて、グループ申請も可能で、申請主体自身は酒類の免許を持っていない場合でも、少なくとも1者以上の酒類事業者を含むグループを組成すれば応募資格があります。
ただし、応募者(単独申請者およびグループの各構成員)について、暴力団等の反社会的勢力と関係がないこと、税金の未納がないことなど、公募要領で定められた「不適格者」に該当しないことが求められます。
⑤申請期限 📅
第1期(令和8年度)公募の申請受付期間は、
令和8年1月19日(月)から令和8年2月17日(火)17時までです。
締切日間近になるとシステムが混み合う可能性や、書類不備に気付いて修正する時間が足りなくなるリスクもありますので、できるだけ早めの準備・申請を心掛けましょう。
なお、令和8年度については第2期公募も予定されています(令和8年2月18日~令和8年4月13日が第2期の受付期間です)。
⑥申請要件 🧩
申請に当たって満たすべき要件としては、応募資格(酒類免許の保有など)に適合することが第一です。
その上で、提案する事業計画が補助金の目的に沿った内容である必要があります。具体的には、自社の取組が海外展開支援枠または新市場開拓支援枠のいずれかに該当する事業内容でなければなりません。
また、補助事業を遂行するための経営能力や実行体制が備わっていることも重要です。さらに申請にはGビズIDが必要になります。
📝 補足
GビズIDの発行には時間を要する場合があり(郵送申請だと1~2週間程度)、締切間近の申し込みでは間に合わなくなる恐れがあります。
⑦補助金事務局URL 🔗
制度の詳しい説明や公募要領、申請様式の入手は国税庁の公式サイトで行えます。
国税庁「酒類業振興支援事業費補助金」公募案内ページURL:
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/boshujoho/hojojigyo.htm
想定される活用事例 🏮🚀
ここからは、「広島県 補助金」「中小企業 支援」「事業拡大 補助金」「地域 活性化 補助金」といった観点も交えながら、現場に近いイメージで活用例を紹介します。
①事業者様が従来から抱えておられる問題点 🤔
広島県内の酒類業界では、伝統ある酒蔵や酒販店であっても共通の課題に直面しています。
例えば、三次市のとある酒蔵(仮称)では、近年の地元消費の落ち込みと人口減少により売上が伸び悩み、国内市場だけに頼った経営に限界を感じていました。高品質な日本酒を造っていても、国内のお客様だけでは需要が頭打ちとなり、設備投資や新商品の開発に踏み切る資金的余裕も乏しい状況です。
また、庄原市で小さな酒販店(仮称)を営む事業者様は、地元の常連客の高齢化で店舗販売が漸減する一方、インターネット通販や観光客向けの販売といった新しい販路を開拓したくても、ホームページの整備や多言語対応、宣伝広告費などに多額のコストがかかるため着手できずにいました。
安芸高田市でも、地域の酒造会社(仮称)が複数集まり観光客向けに「酒蔵ツーリズム」を企画したいと考えていますが、パンフレット作成や試飲イベントの運営費、外国人観光客受け入れのための設備改修費など、事前投資がかさむため実現できずにいる――このように、中小企業規模の酒類事業者に共通するのは、「新たな挑戦をしたいが資金負担が重い」「販路開拓や設備導入のリスクを単独で負いきれない」という問題です。
②補助金による具体的な問題解決イメージ 💡
上記のような課題に対し、「酒類業振興支援事業費補助金」は力強い後押しとなります。
まず三次市の酒蔵(仮称)のケースでは、海外展開支援枠で申請し採択されれば、海外市場を開拓するためのプロジェクト費用の1/2が補助されます。具体的には、自社商品の英語版ホームページやオンラインショップを新規開設する費用、海外向けのパンフレットやPR動画を制作する費用、さらに海外の食品展示会に出展するための出展料・渡航費・通訳費などが補助対象となります。
仮に総費用が600万円かかったとしても、その半分の300万円は補助金でまかなえ、自己負担は残り半分で済みます。これにより、資金的ハードルが大きく下がり、世界に向けて自社の日本酒を売り込む挑戦が現実的になります。
また、庄原市の酒販店(仮称)の場合は新市場開拓支援枠に該当します。例えば、自店オリジナルの地酒セットを開発しネット販売するプロジェクトを立てれば、ECサイト構築費や商品パッケージのデザイン費、SNS広告費などが補助対象経費となります。従業員規模が小さい店舗であれば補助率2/3が適用されるため、総費用300万円のプロジェクトなら200万円分を補助金で賄える計算です。
さらに、安芸高田市で検討されている酒蔵ツーリズムのように地域の複数事業者が連携した取組みであれば、グループ申請によって最大1,500万円もの補助金を獲得できる可能性があります。これだけの支援があれば、共同で大規模なプロモーションイベントを開催したり、外国人観光客受け入れの体制を整えるための設備投資を行ったりすることも十分に可能となります。
補助金の活用により、各事業者様が抱えていた資金面の不安は大幅に軽減され、新規事業や販路拡大に踏み出す背中を押してくれるでしょう。その結果、売上増加や顧客層の拡大が期待できるだけでなく、地域全体の知名度向上や経済活性化(まさに地域活性化)にもつながる点が大きな魅力です。
概要で述べた内容の、詳細な説明 🔍
ここからは、先ほど概要で挙げた各項目についてもう少し踏み込んだ説明をします。制度を正しく理解し、賢く活用するための参考にしてください。
①補助金額(詳細説明) 💰
「補助金額」は事業計画1件あたりに交付される補助金の上限・下限を指します。本補助金では事業の種類によって上限額が異なり、海外展開支援枠は上限1,000万円(下限50万円)、新市場開拓支援枠は**上限500万円(下限50万円)**と定められています。
下限額50万円というのは、言い換えれば**補助対象経費の総額が最低でも100万円(補助率1/2の場合)**になるような事業計画である必要があるということです。
上限額については、事業計画の内容に応じて必要経費を積み上げ、その合計額に対して補助率をかけたものが補助金額となります。ただし上限を超える部分は自己負担となります。
さらに、グループ申請の場合には上限額が引き上げられる特例があります。酒類事業者が3社集まって連携申請する場合は上限1,200万円、4社なら1,300万円、5社で1,400万円、6社以上なら1,500万円まで補助対象経費を計上できます。
②補助率(詳細説明) 📌
補助率は、補助対象経費に対して補助金が占める割合です。本制度では基本的に**1/2(50%)ですが、新市場開拓支援枠に限り一部の事業者には2/3(66.7%)**が適用されます。
注意点として、申請時点で小規模事業者であっても、交付決定から事業完了までの間に従業員数が増えて定義から外れてしまった場合(事業拡大に伴い人員増強するケースなど)は、補助率が途中で1/2に減額変更となる可能性があります。
③補助対象経費(詳細説明) 🧾
補助対象経費については、計上可能な経費区分が非常に幅広く設定されています。
重要なのは、「その経費が本事業の遂行に本当に必要かつ妥当な金額か」を示すことです。申請時には経費ごとの明細や根拠(見積書やカタログ価格など)を提示する必要があり、審査側もそれをチェックして適正と認めた経費のみを補助対象として採択します。
そして、交付決定前に発注・契約・購入したものは対象外である点にも注意が必要です。補助金は事業開始後(交付決定日以降)に発生する経費に対して適用され、過去の支出や既存設備の減価償却費などには使えません。
不明な場合は事前に事務局や専門家へ確認しながら計画を立てると良いでしょう。
④補助対象者(詳細説明) 🏢
補助対象者については、酒類製造免許・販売免許を有する事業者(酒類事業者)およびそれを含むグループであることが要件でした。
公募要領のQ&Aでも、「免許を持たない任意団体でも、酒類事業者と連携すればグループ申請可能」と明記されています。
なお、申請者や参画事業者が反社会的勢力に該当しないこと、重大な法令違反を起こしていないこと、申請時点で税の未納がないこと等は基本的な前提条件です。
⑤申請期限(詳細説明) ⏰
令和8年度第1期の公募期間は2026年1月19日から同年2月17日17時までとなっています。
採択結果の発表時期は第1期が2026年3月下旬頃、第2期は2026年5月下旬頃と案内されています。採択後、交付決定を経て事業開始となり、第1期採択者は4月上旬以降事業開始可、第2期は6月上旬以降開始可とされています。補助事業の実施期間は、両期とも2027年2月28日までに事業完了となる予定です。
⑥申請要件(詳細説明) 🧩
申請要件は、「誰が」「どんな事業で」「どうやって」申請できるかの条件と捉えると理解しやすくなります。
事業計画の内容が補助金の目的に合致していること、すなわち海外展開または新市場開拓の取り組みであることが必要です。公募要領には評価の視点として「補助金額に対して費用対効果が大きいか」や「事業完了後も継続・発展する計画か」といった項目が示されています。
また、本補助金では原則として電子申請(Jグランツ)による応募となり、Jグランツを利用するにはGビズIDプライムアカウントが必要です。
具体的な申請手順 🧭📝
初めての方でも迷いにくいように、流れを「ステップ」として文章で整理します。
【ステップ1】公募要領の入手と熟読
まず国税庁の公式サイトから令和8年度第1期の公募要領(募集の詳細が書かれたPDF)をダウンロードします。加えて、同じページに掲載されているQ&A集も目を通しましょう。
【ステップ2】事業計画の検討と必要書類の準備
次に、自社(またはグループ)でどのような事業に補助金を使いたいのか計画を練ります。海外展開支援枠か新市場開拓支援枠かを決め、具体的な取組内容、目標、市場ニーズ、実施体制、スケジュール、予算内訳などを検討します。
また、見積書やカタログ価格の資料、会社の登記簿謄本や決算書、酒類免許の写し、納税証明書(未納がない証明)の取得など、提出必須の添付書類もリストアップして準備します。
【ステップ3】GビズIDの取得(未登録の場合)
既にGビズIDプライムアカウントをお持ちなら不要ですが、持っていない場合は早急に取得手続きをします。発行完了まで1~2週間程度は見ておきましょう。
【ステップ4】Jグランツで電子申請
GビズIDが用意できたら、**Jグランツ(補助金申請システム)**で申請します。必要事項の入力と書類アップロードを行い、内容を最終確認して期限内に送信します。
【ステップ5】審査・採択結果の通知
申請された案件は審査を経て採択・不採択が決定されます。第1期では2026年3月下旬頃に発表予定です。
【ステップ6】交付手続きと事業実行
採択後は交付申請・交付決定を経て事業開始となります。交付決定前に発注・契約すると、その経費は補助対象外になり得るため注意してください。
【ステップ7】実績報告と補助金受領
事業完了後、実績報告書を提出し、経費の確認等を経て補助金が支払われます(後払い方式です)。
まとめ 📣🍶
「酒類業振興支援事業費補助金」第1期(令和8年度)は、広島県を含む全国の酒類事業者にとって、自社の事業拡大や経営改革に挑戦する好機と言えます。国内市場の縮小や競争激化という厳しい環境下でも、本補助金を活用すれば海外展開への一歩を踏み出したり、新商品開発で新たな顧客層を獲得したりと、未来への投資を行いやすくなります。
広島県は歴史ある酒どころであり、多くの酒蔵や酒販企業が地域に根差して頑張っておられますが、このような公的支援策を上手に利用することで事業の安定化・成長と地域の活性化の両立が期待できます。
✅ 最後にお願いです
補助金制度は年度や公募期によって細部が変わることがあります。必ず国税庁の公募要領・Q&Aなど公的機関サイトで最新情報を確認し、締切や対象経費のルールを再チェックしてください。
そして、補助金の申請には専門的な知識や書類作成のコツも必要です。書類作成やオンライン申請に不安がある方、あるいは自社に適した支援制度か判断に迷う方は、ぜひ身近な専門家に相談してみてください。
広島県三次市、庄原市、安芸高田市をはじめ県内各地の行政書士に相談できるため、必要に応じてサポートを活用し、円滑な申請・採択につなげましょう。

