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初心者向け 介護分野における特定技能制度について

介護分野における特定技能制度について、その背景、従事する業務内容、外国人本人および受入れ機関に求められる要件、そして運用の基準について、提供された資料に基づき詳細に解説します。


1. 制度の目的と背景

介護分野における特定技能制度は、深刻化する人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れることを目的としています。日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持し、介護分野の存続・発展を図ることが主眼に置かれています。

現在、介護分野の有効求人倍率は非常に高い水準にあり、令和10年度には約22万7,000人の介護人材が不足すると推計されています。国は生産性向上や国内人材の確保に努めていますが、それでもなお不足する人材を補うため、即戦力となる外国人材の受入れが必要不可欠となっています。

受入れ見込数: 令和6年度からの5年間で、最大13万5,000人を上限として運用されます。


2. 特定技能外国人が従事する業務内容

介護分野の特定技能1号外国人が従事できる業務は、以下の通り定められています。

  • 主たる業務:身体介護等 利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助などが含まれます。これらは試験や実習によって確認された技能を要する業務です。
  • 付随する支援業務: レクリエーションの実施や、機能訓練の補助などが該当します。
  • 関連業務: 当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる業務(例:お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充等)に付随的に従事することは差し支えないとされています。

注意点: 専ら(もっぱら)関連業務のみに従事することは認められません。また、特定技能2号については、熟練した技能を有する人材は在留資格「介護」への移行が可能なため、現在のところ介護分野での受入れは行われていません。


3. 外国人本人に求められる基準(技能・日本語能力)

特定技能1号として活動するためには、原則として以下の試験に合格する必要があります。

① 技能水準

  • **「介護技能評価試験」**への合格。

② 日本語能力水準

以下の2つの試験(またはそれと同等以上の試験)の両方に合格する必要があります。

  1. 「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(N4以上)」
  2. 「介護日本語評価試験」

③ 試験免除のケース

特定の条件を満たす者は、上記の試験が免除されます。

  • 介護職種の技能実習2号を良好に修了した者: 技能試験および日本語試験のすべてが免除されます。
  • 介護職種以外の技能実習2号を良好に修了した者: 日常会話レベルの日本語試験(JFT-Basic/N4)は免除されますが、「介護日本語評価試験」は免除されないため、合格が必要です。
  • 介護福祉士養成施設を修了した者: 知識・経験・日本語能力が十分であると認められるため、すべての試験が免除されます。
  • EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として4年間適切に就労・研修に従事した者: 技能・日本語能力ともに基準を満たすとみなされ、試験が免除されます。ただし、直近の介護福祉士国家試験の結果通知書を提出し、一定の得点(合格基準点の5割以上かつ全科目得点)を確認する必要があります。

4. 受入れ機関(特定技能所属機関)が満たすべき要件

外国人を雇用する事業所には、適正な運用を確保するための厳しい基準が設けられています。

① 直接雇用の原則

介護分野における特定技能外国人の雇用形態は、直接雇用に限られます。労働者派遣による受入れや派遣は認められません。

② 事業所の種類

受入れができる事業所は、介護福祉士国家試験の受験資格における「実務経験」として認められる介護等の業務を行う事業所に限定されます。利用者の居宅でサービスを提供する「訪問系サービス」については、特定の条件を満たす必要があります。

③ 受入れ人数枠

事業所単位で、1号特定技能外国人の総数が、日本人等の常勤介護職員の総数を超えないことが条件です。

  • ここで言う「日本人等」には、日本人職員のほか、EPA介護福祉士、在留資格「介護」で働く外国人、永住者、日本人の配偶者などの身分系在留資格者が含まれます。
  • 技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生は「日本人等」の枠には含まれません。

④ 協議会への加入

受入れ機関は、厚生労働省が設置する**「介護分野における特定技能協議会」**の構成員にならなければなりません。

  • 令和6年6月15日以降、地方出入国在留管理局への申請時には、初めての受入れであっても協議会の構成員であることの証明書が必要です。
  • 加入後は、協議会が行う調査や指導に対して必要な協力を行う義務があります。

5. 訪問系サービスに従事させる場合の特別基準

令和7年度以降の制度改正等により、1号特定技能外国人を訪問介護等の訪問系サービスに従事させることが可能となりましたが、これには高い安全性を確保するための追加要件があります。

  • 実務経験要件: 原則として、日本国内の介護事業所等での1年以上の実務経験がある外国人に限定されます。
    • 例外として、日本語能力試験N2相当などの高い能力を有し、かつ半年間の同行訪問(週1回の場合)やICT活用などの措置を講じる場合は、1年未満でも認められることがあります。
  • 研修と訓練: 訪問系サービスの基本事項や日本の生活様式に関する講習を行い、一人で業務ができるようになるまでサービス提供責任者等が同行するOJT(現場訓練)が義務付けられています。
  • キャリアアップ計画の作成: 外国人の将来の目標や支援内容を記載した計画書を作成し、関係機関に提出する必要があります。
  • 安全・環境整備:
    • ハラスメント防止のための相談窓口設置やマニュアル作成。
    • 不測の事態に備えた緊急連絡体制の整備やICTの活用。
  • 利用者への説明: 訪問系サービスに従事させる場合、利用者やその家族に対し、外国人が訪問することやその実務経験について書面で説明し、同意(署名)を得る必要があります。

6. 運用・手続の留意事項

制度の適正な履行を確保するため、以下の点に注意が必要です。

  • 欠格事由: 派遣による受入れや虚偽文書の行使など、不正な行為を行った場合、以後5年間は特定技能外国人の受入れができなくなります。
  • 変更の届出: 受入れ後に外国人が従事する事業所が変更になる場合は、特定技能雇用契約変更の届出が必要です。
  • 提出書類: 申請時には「受入れに関する誓約書」「事業所の概要書」「協議会の構成員証明書」など、分野固有の書類が求められます。

まとめ

介護分野の特定技能制度は、即戦力の外国人を受け入れることで人手不足を解消する強力な枠組みですが、サービスの質と安全性を担保するために、従事する業務や受入れ人数、教育体制に厳格な基準を設けています。

たとえるなら: この制度は、**「専門的な訓練を受けた助っ人が、チームの一員として安心して活動できる環境を整えるためのルールブック」**のようなものです。単なる労働力の補填ではなく、日本人職員と同等の責任と処遇のもとで、日本の介護を支える中核的な存在として迎え入れることが期待されています。

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