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特定技能「ビルクリーニング分野」とは?日本人雇用主向け初心者ガイド

はじめに:

2019年の入管法改正により、新たに創設された在留資格「特定技能」について耳にしたことはありますか?この制度は、人手不足が深刻な産業分野で一定の技能を持つ外国人の就労を認めるものです。本記事では**「特定技能ビルクリーニング分野」に焦点を当て、日本人の雇用主の方向けに制度の概要とポイントをわかりやすく解説します。憶測ではなく、出入国在留管理庁が公表している公式情報**に基づく確かな内容のみを取り上げています。初心者の方でも制度全体を把握できるよう、できるだけ平易な言葉で説明します。

特定技能制度の概要とは?

特定技能制度とは、日本国内の人材確保が困難な特定産業分野において、一定の専門性・技能を持ち即戦力となる外国人を受け入れるための新しい在留資格制度です。2019年4月から運用が開始され、現在はビルクリーニングを含む十数分野が対象となっています(制度開始当初は14分野、その後追加され現在16分野)。特定技能には**「1号」と「2号」**の2種類があり、1号は主に即戦力となる一般的技能を持つ外国人、2号はより熟練した技能や管理能力を持つ外国人を対象としています。もともと2号は建設・造船など限られた分野のみでしたが、2023年に対象分野が大幅拡大され、ビルクリーニング分野も2号の対象に加わりました。ビルクリーニング分野では現在、特定技能1号および2号の外国人を受け入れることが認められています。

ビルクリーニング分野の業務内容

ビルクリーニング分野とは、オフィスビルや商業施設など建物内部の清掃業務を指します。具体的には、床や窓、トイレ等の清掃、ゴミ回収、カーペット清掃など、建築物内部(※住宅は除く)の衛生維持を目的とした清掃作業が該当します。特定技能1号外国人が従事できる業務範囲はシンプルに**「建築物内部の清掃」と定義されています。一方、特定技能2号では清掃作業に加えて、複数の作業員を指導しながら現場を管理する業務や、清掃業務の計画作成・進行管理といった管理者としての業務も行うことができます。つまり、2号になると清掃チームのリーダーや現場責任者的な役割を担うことが期待されているわけです。これら業務範囲は関係省庁のガイドラインで明確に規定されており、ビルクリーニング分野で外国人に従事させてよい業務・させてはいけない業務**が公式に示されています。雇用主は、この範囲を超えた業務を任せないよう注意が必要です。

外国人がビルクリーニング分野で働くための条件

ビルクリーニング分野の特定技能で外国人を採用するには、応募者が一定の試験等に合格していることが前提となります。主な条件は次のとおりです。

技能試験の合格: 特定技能1号として新規に採用する場合、その外国人は所定の**「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」に合格している必要があります。この試験はビルクリーニング(建物清掃)に関する実技・学科の試験で、日本語で出題されるため、清掃知識だけでなくある程度の日本語読解力も求められます。なお、ビルクリーニング分野の技能実習2号(従来の技能実習制度における清掃職種)を良好に修了した人については、この技能試験が免除**されます。つまり、過去に日本で建物清掃の技能実習を修了していれば、試験を受けなくても特定技能1号になる資格が認められるということです。

日本語能力の証明: 特定技能1号では、日本で日常生活や業務指示の理解に支障がない程度の日本語力が求められます。具体的には日本語能力試験(JLPT)N4以上、またはそれと同等レベルとされる**国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)**に合格していることが条件です。こちらも技能実習2号を修了している場合は試験免除となり、追加の日本語テスト合格証は不要です。N4程度の日本語とは、基本的な会話や簡単な読み書きができるレベルで、職場での簡単な指示を理解できる目安とされています。

年齢・経歴: 特定技能には18歳以上という年齢要件があります。また学歴や職歴は問われません(学歴不問・国籍不問)が、上記の通り技能試験と日本語試験に合格していることが必要です。特定技能制度は即戦力となる技能が重視されるため、「学歴よりも実力・資格」が物を言う制度と言えます。

特定技能2号への要件: 将来的に特定技能2号(より高度な技能者)を目指す場合は、更に高いハードルがあります。ビルクリーニング分野で2号になるには、「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」に合格するか、国家検定である「ビルクリーニング技能検定1級」試験に合格することが必要です。加えて、現場管理業務の実務経験が通算2年以上あることが求められます。特に技能検定1級に合格して2号へ移行する場合は、協会(全国ビルメンテナンス協会)による2年以上の現場管理実務経験証明書の審査・発行が必要となります。要するに、2号は単に試験に受かるだけでなく、「現場をまとめた経験」がある熟練者でなければならないということです。なお、日本語能力について2号では追加要件はありません(1号で在留中に日本での生活経験を積んでいることもあり、制度上は新たな試験を課していません)。

日本人雇用主(受け入れ企業)が満たすべき条件と手続き

外国人を特定技能(ビルクリーニング分野)で受け入れる企業側にも、いくつかの条件と遵守すべき手続きがあります。採用を検討する企業は、以下のポイントを確認しておきましょう。

事業の登録(許可): ビルクリーニング分野で外国人を雇用できるのは、原則として**「建築物清掃業」(1号)または「建築物環境衛生総合管理業」**(8号)の登録を受けた事業者に限られます。これは「建築物衛生法(ビル管法)」に基づく業種登録制度で、オフィスビル等の清掃業務を営むには都道府県知事の登録が必要とされるものです。したがって、清掃業の許可を持たない一般企業が直接ビルクリーニング特定技能者を雇うことはできません(例:自社ビルを清掃させたいからといって、自社で資格のないまま外国人を雇うことは不可)。必ず清掃業の適切な登録を受けた事業所で雇用する必要があります。

協議会への加盟: ビルクリーニング分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、事前に**「ビルクリーニング分野特定技能協議会」**への加入が義務付けられています。この協議会は厚生労働省の所管で設置されている業界の協議会で、受け入れ企業は構成員(メンバー)となる必要があります。入会方法や手続きについては厚労省の案内ページで確認できますが、要するに業界全体で適正な受け入れを図るためのネットワークに参加する形です。

適切な雇用契約の締結: 外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)は、日本人と同等以上の報酬を支払うなど、法律で定められた基準を満たしている必要があります。例えば、「時給や給与が日本人従業員に比べて低い」というような待遇差別は許されません。加えて、労働法令や社会保険の適用も日本人と同様に守ることが求められます。受け入れ企業は過去に重大な入管法違反や労働法違反を犯していない適切な機関であることも条件です(おおむね直近5年間において不法就労助長や未払い残業などがないことが求められます)。

支援体制の確保(1号の場合): 特定技能1号で外国人を雇用する場合、企業は支援計画の策定・実施が義務付けられています。具体的には、入国直後のオリエンテーション、日本での生活に関する相談対応、日本語学習の機会提供、住居の確保支援など、外国人労働者が円滑に就労・生活できるようサポートする体制を整えなければなりません。これら支援業務を自社で行うことが難しい場合は、登録支援機関(プロの支援事業者)に委託することも可能です。一方、特定技能2号については支援計画の義務は免除されています(技能や日本での経験が豊富な人材であるため自立を前提にしているためです)。

在留資格取得の申請手続き: 採用が決まった外国人については、在留資格「特定技能」の許可を得る手続きが必要です。既に日本に在留している人を採用する場合は在留資格の変更申請を、海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書の交付申請(COE申請)を出入国在留管理庁に対して行います。手続きは受け入れ企業自身が行うこともできますし、行政書士や登録支援機関に代行を依頼することも可能です。いずれの場合も、出入国在留管理庁への申請と許可が下りて初めて正式に雇用できる点を押さえておきましょう。

以上のように、企業側には許可登録の取得から、適正な契約・支援体制、そして行政手続きまで多岐にわたる責任があります。公式の運用要領にも詳細が定められていますので、不明な点は出入国在留管理庁や厚生労働省の情報を確認することが大切です。

在留期間と特定技能2号への道~他分野との違い~

在留期間: 特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です。1号外国人は最長でも合計5年間しか日本に滞在・就労できないため、例えば1年契約を更新しながら働いた場合でも5回まで(5年)という制限があります。この点は他の多くの分野でも共通しています。ただし、ビルクリーニング分野では特定技能2号への道が開かれているため、一定の条件を満たして2号に移行できれば在留期間の上限がなくなります。特定技能2号になると、在留期間更新の回数に制限がなくなり(1回の許可ごとに最長3年まで更新可能)、長期にわたって日本で就労継続することが可能です。企業にとっても、熟練した外国人を長期戦力として育成・活用できるメリットがあります。

家族帯同の可否: 特定技能1号では家族の帯同は基本的に認められていません。配偶者や子供を日本に呼び寄せて一緒に暮らすことは原則できない決まりです。一方、特定技能2号に移行すると配偶者・子供の帯同が可能になります(「家族滞在」の在留資格を申請することで、一定の要件下で家族が日本に滞在できます)。この違いは、2号が長期就労を前提とした制度であることを反映しています。外国人労働者にとっては家族と暮らせるかどうかは大きな違いですし、企業側も2号取得者の方が安定して勤務を続けてもらいやすい利点があります。

他分野との違い: ビルクリーニング分野固有の特徴としては、特定技能2号への移行が認められている点が挙げられます。特定技能2号自体はまだ全ての分野で導入されているわけではなく、現時点では建設、造船・舶用工業をはじめ一部の分野(2023年拡大時点で11分野)が対象です。ビルクリーニングはその対象分野の一つであり、清掃業界でも経験と技能を積めば長期的に活躍できる道が用意されています。反対に、例えば外食業など一部の分野は現状2号がありません(5年間で帰国が前提)ので、ビルクリーニング分野は将来の定着も見据えやすい分野と言えるでしょう。さらに、ビルクリーニング分野では2号への移行要件として管理業務の実務経験2年以上が求められる点で、他分野よりも「現場経験」を重視する運用になっています。このように各分野で細かな違いはありますが、在留期間5年制限(1号)と無制限(2号)という基本構造や家族帯同不可/可といった点は共通した枠組みです。

【豆知識】在留期間延長の特例: 特定技能1号は通算5年までですが、現在一時的な特例措置として、ビルクリーニング分野の1号外国人で特定技能2号評価試験または技能検定1級に不合格だった者のうち一定の条件を満たす場合、最長1年間の在留延長が認められる制度があります。具体的には、不合格でも各試験で合格基準の80%以上の点数を取っており、かつ5年を超えて在留する合理的な理由があると入管当局が認めた場合に限り、5年を超えて+1年(計6年)の在留が許可されるケースがあるというものです。この措置はあくまで当分の間の暫定措置ですが、技能向上を目指す外国人にとって朗報と言えるでしょう。もっとも、本来は5年以内に2号要件をクリアすることが前提ですので、企業としても計画的に育成・サポートすることが重要です。

現行制度の枠組みとおわりに

以上、特定技能「ビルクリーニング分野」について、その制度概要から業務内容、外国人労働者・受け入れ企業の条件、在留期間や他分野との違いまで解説しました。現在の制度の枠組みは法律と公式ガイドラインによって明確に定められており、受け入れ可能な業務や人数の上限まで公表されています。例えば、政府はビルクリーニング分野で2024年4月から2029年3月までの5年間に最大37,000人の特定技能外国人を受け入れる計画を示しています。制度は開始以来アップデートも行われており(前述のように2号対象分野の拡大など)、最新情報は常に出入国在留管理庁や厚労省の公式発表で確認することができます。

特定技能制度は企業と外国人の双方にメリットがある反面、法令遵守と適正運用が強く求められる制度でもあります。日本人雇用主の皆様は、本記事で挙げたポイントを踏まえつつ、採用時には公式の運用要領や関連資料をよく読み、正しい手続きとサポートを行ってください。公式情報に基づいて制度を理解し活用することで、外国人材にも安心して働いてもらい、自社の戦力として迎え入れることができるでしょう。ビルクリーニング分野における特定技能制度の活用が、慢性的な人手不足解消と業界の発展につながることが期待されています。ぜひ制度の趣旨を理解した上で、適切な受け入れを検討してみてください。

参考資料:(出入国在留管理庁「ビルクリーニング分野」ページ、特定技能運用要領、厚生労働省資料等)(※本文中に示したリンク参照)

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