【2024年4月1日現在】特定技能(建設分野)をやさしく整理:できる仕事・試験・受入れ企業の条件・手続の流れ
※本記事は、出入国在留管理庁「建設分野」ページで案内されている資料(国土交通省が公表する「分野別運用方針」「運用要領」「告示」「ガイドライン」等)をもとに、初心者向けに全体像を整理したものです。制度は改正されることがあるため、申請前には必ず最新の公表資料も確認してください。
0. この記事でつかむ全体像(まずここだけ読めばOK)
建設分野の特定技能は、ざっくり言うと次の「組み合わせ」で理解すると迷いません。
- 在留資格の区分:特定技能 1号/特定技能 2号
- 業務区分(仕事の分け方):土木/建築/ライフライン・設備(この3つ)
- 本人の要件:技能(試験など)+(1号は日本語、2号は班長経験)
- 受入れ企業の要件(建設分野は追加条件が多い):建設業許可、同等以上の報酬、CCUS登録、受入計画の認定、登録法人(JAC)への加入…など
この4点を押さえると、制度の見取り図ができます。 (MLIT)
1. そもそも「建設分野の特定技能」は何を目的にしている?
国土交通省などの「分野別運用方針」では、建設分野で深刻化する人手不足に対応するため、専門性・技能を生かして“即戦力”として働ける外国人を受け入れることで、建設分野の存続・発展を図り、経済・社会基盤の持続可能性を維持する、と整理されています。 (MLIT)
また国土交通省のページでも、特定技能の創設(平成30年12月14日公布の法律)に触れつつ、生産性向上や国内人材確保に取り組んでもなお人材確保が難しい分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる制度で、建設分野も対象と説明されています。 (MLIT)
2. 建設分野の「業務区分」:土木/建築/ライフライン・設備
2-1. 1号で従事する業務(現場での“作業者”が中心)
ガイドライン(運用要領別冊)では、建設分野で受け入れる特定技能外国人の業務は、業務区分ごとに整理されており、1号では概ね、指導者の指示・監督を受けながら各区分に応じた建設工事の作業に従事するイメージです。
業務区分の考え方も、初心者がつまずきやすいので、ポイントだけ噛み砕きます。
- 土木区分
いわゆる土木の工事(新設・改築・維持・修繕など)の作業が中心。資料では「土木施設」は道路、公園、河川堤防、港湾施設、空港滑走路などが代表例として挙げられています。 - 建築区分
建築物の新築・増築・改築・移転・修繕・模様替などに関わる作業が中心。「建築物」についても、屋根や柱(または壁)を有するもの、という一般的な説明が載っています。 - ライフライン・設備区分
電気通信、ガス、水道、電気などの整備・設置・変更・修理に関わる作業が中心。資料では、ネットワークとして整備・変更・修理する作業と、住宅などの付帯設備として設置・接続する作業の“大きく2種類”があり、どちらも行える趣旨が書かれています。
2-2. 「関連業務」は“付随的”ならOK、でも“それだけ”はNG
建設分野の資料では、作業準備・運搬・片付けなど、現場で日本人が通常やっているような関連業務に、付随的に従事することは差し支えないとされています。
ただし、関連業務“だけ”に専ら従事することは認められない旨も明記されています。つまり、在留資格の“核”になる専門作業が主である必要があります。
2-3. 受入れ対象外になり得る例(資料に明記あり)
ガイドラインには、例えば建設工事に該当しない除染等の業務に従事させることを主な目的とする場合は、建設分野の受入れ対象外になる、という注意が書かれています(付随的に従事させる場合の取扱いは別項参照、という形で案内されています)。
3. 1号と2号の違い(初心者向けに“役割”で理解する)
3-1. 特定技能1号:試験(または技能実習2号の良好修了)+日本語
分野別運用方針では、建設分野で特定技能として受け入れるには、原則として定められた試験に合格していることが求められます(1号)。 (MLIT)
- 技能:別表で示される試験(建設分野特定技能1号評価試験等)に合格、または技能検定3級等
- 日本語:国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験N4以上
さらに、「日本語教育の参照枠」A2相当以上と認められるものも示されています。 (MLIT)
そして、建設分野に関する技能実習2号を良好に修了した人は、必要な技能・日本語能力を満たしているものとして取り扱う、という整理もされています。 (MLIT)
3-2. 特定技能2号:試験+「班長」の実務経験
2号は、分野別運用方針で、**試験合格に加えて実務経験(班長)**が要件とされています。ここが1号との大きな違いです。 (MLIT)
運用要領別冊では、その実務経験について、業務区分に対応するCCUS(建設キャリアアップシステム)の能力評価基準がある職種ではレベル3相当の就業日数(職長+班長)、基準がない場合は就業日数(職長+班長)が3年(勤務日数645日)以上という整理が示されています。
4. 技能実習2号「良好修了」の扱い:免除の考え方(ここがややこしい)
初心者が混乱しやすいのが、「技能実習2号を良好修了したら何が免除になるの?」という点です。資料の書き方を、誤解しないように整理します(※以下は資料の範囲での整理です)。
- 日本語試験については、技能実習2号を良好に修了した者は、職種・作業の種類にかかわらず、国際交流基金日本語基礎テスト/JLPT(N4以上)のいずれも免除される旨が明記されています。
- **技能(技能試験)**については、「良好修了」かつ、修得した技能が従事予定業務と関連性が認められる場合に、試験免除として取り扱う、という趣旨が記載されています。
さらに、どの業務区分と、どの技能実習2号の職種・作業が対応するかは、別表(別表6-1等)を参照するよう案内されています。
そして、免除を受けたい場合に必要な「確認書類」の例も書かれています。例えば、技能実習2号修了時の技能検定3級(または相当する技能実習評価試験の実技)の合格証明書を出す必要がある、合格していない場合は試験受験や評価文書が必要になる、といった記載があります。
ここは、**「どの技能実習を修了したのか」「修了時に何に合格しているのか」「従事予定業務との対応関係がどれか」**で提出物が変わり得るため、実務では確認が重要です。迷う場合は行政書士に相談する典型ポイントです(後述)。
5. 建設分野は“受入れ企業側の条件”がとにかく多い(理由も資料にあり)
分野別運用方針では、建設業は「工事ごとに就労場所が変わる」「繁閑で報酬が変動し得る」などの実態があり、特に外国人について適正な就労環境確保への配慮が必要、という前提が示されています。 (MLIT)
そのうえで、建設分野の受入れ(特定技能所属機関=受入企業)には、次のような条件が列挙されています(重要なものを、初心者向けに言い換えて説明します)。
5-1. 受入企業に求められる主な条件(1号中心に“追加”されるもの)
- 建設業法第3条の許可を受けていること(建設業許可)
- 国内人材確保の取組を行っていること (MLIT)
- 同等技能の日本人と同等以上の報酬を“安定的に”支払い、技能に応じて昇給する契約であること
- 雇用契約を結ぶ前に、重要事項を外国人が理解できる言語で書面交付して説明すること
- 受入企業と受け入れる外国人を、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録すること
- 「特定技能外国人受入事業実施法人(登録法人)」の登録を受けた法人、またはその構成団体に所属すること
- 受入人数の上限(1号):1号特定技能外国人の数が、受入企業の常勤職員数(技能実習生と1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないこと
- 「建設特定技能受入計画」の認定を受けること(報酬予定額・安全・技能習得計画等を記載)
- 計画を適正に履行していることの確認(国交省または委託機関による確認)
- 国交省の調査・指導への協力
- 実務経験を証明する書面の交付(求めに応じて)
- その他、適正かつ円滑な受入れに必要な事項(包括的条項として記載)
5-2. 雇用形態は「直接雇用」が前提(派遣は不可の整理)
分野別運用方針でも、建設分野の雇用形態は「直接」と示されています。
さらに告示(国土交通省告示第357号)でも、特定技能雇用契約について、労働者派遣に該当する内容等を含まないことが基準として書かれています。
6. 「建設特定技能受入計画」:建設分野のキモ(ここを外すと進まない)
建設分野で1号を受け入れる場合、資料上、国土交通大臣による建設特定技能受入計画の認定が必要と整理されています。
そして重要なのが手続の順番です。運用要領別冊では、
- 受入計画を国交省へ申請した後、計画認定前でも地方出入国在留管理局への在留申請はできる
- ただし、在留申請の許可・交付を受けるには、受入計画の認定が必要
という趣旨が説明されています。
また、計画にはCCUS登録後に付される事業所番号(事業者ID)を記載する、という運用上の記載もあります。
さらに、告示様式(申請書の様式)を見ると、報酬予定額の決定にあたり「同等の技能を有する日本人と同等額以上」として算定した根拠資料の添付を求める注意書きがあり、報酬・昇給・安全衛生教育・技能習得などを計画として整理することが前提になっていることが分かります。
7. CCUS(建設キャリアアップシステム)が“いろいろな場面で登場する”理由
建設分野では、CCUS登録が求められるだけでなく、2号の実務経験(班長経験)確認にもCCUSが深く関係します。
- 2号の実務経験は、CCUSの能力評価基準がある職種ではレベル3相当の就業日数(職長+班長)で整理される
- 就業日数を満たしているかは、CCUSに蓄積された就業日数で確認する、と運用要領別冊に明記されています
- そして、申告書(分野参考様式第6-3号)などの作成・提出には、あらかじめCCUSに登録しておく必要がある旨も書かれています
「CCUSの登録が遅れて、あとから実務経験の証明が大変になる」という構造が資料から読み取れるため、早めの対応が大事なポイントになります。
8. 登録法人(受入事業実施法人)への加入:建設分野特有の“業界ルール”
運用要領別冊では、建設業界が適正かつ円滑な受入れを実現するため、国交大臣の登録を受けた非営利の組織を「登録法人」として位置づけ、受入企業は直接または間接に登録法人に所属し、行動規範を守る必要があると説明されています。
国交省の公表ページでは、登録法人として **一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)**の名称・所在地・登録年月日等や、加入手続きの案内が掲載されています。また、受入企業はJACに加入が必要で、正会員団体経由か賛助会員か選択できる旨も書かれています。
9. 受入れ開始後も“やることが続く”:報告・確認・指導
建設分野では、受け入れたら終わりではありません。運用要領別冊(ガイドライン)には、例えば次のような国土交通大臣への報告が必要とされています。
- 受入れ開始(受入報告:開始後1か月以内が原則)
- 退職(雇用契約終了後速やかに)
- 2号へ移行(移行後速やかに)
- 継続が困難になった場合(雇止め、計画認定取消、在留資格喪失、失踪等が例示)
また、計画認定の取消しがあった場合の取扱い(受入企業が転職支援を行う必要がある、登録法人が転職先の斡旋を行うことがある等)も運用要領別冊に記載があります。
10. 手続の流れ(フローの“考え方”だけ押さえる)
運用要領別冊には、1号・2号それぞれについて、受入れ前後の主な手続(申請・報告等)を示すフロー図が載っています。細かい矢印まで暗記する必要はありませんが、初心者は次の順で理解すると実務で迷いにくいです。
10-1. 受入れ前に必ず整理する3点
- **業務区分(土木/建築/ライフライン・設備)**はどれか
- 本人は 試験合格ルートか、技能実習2号良好修了ルートか
- 受入企業側の要件(建設業許可、CCUS、登録法人加入、受入計画認定など)が揃うか
10-2. 1号の受入れで出てくる“建設分野ならでは”の並行作業
- 重要事項説明 → 雇用契約(本人が理解できる言語で書面交付して説明)
- 建設特定技能受入計画の認定申請(国交省)
- 在留資格の申請(地方出入国在留管理局)
※計画認定の前でも申請は可能だが、許可・交付には認定が必要、という整理 - 登録法人(JAC)への加入、CCUS登録
11. 初心者がつまずきやすい“注意点”(資料に基づく)
注意点1:業務区分と実際の作業がズレると危ない
「関連業務だけ」は不可、というルールが明記されています。現場都合で準備や片付けだけが続く設計は、制度の趣旨に合いません。
注意点2:安全衛生教育は“やったことにする”では足りない
運用要領別冊では、労働安全衛生法の特別教育や技能講習等が必要な業務について、受入企業は外国人に修了させる必要がある、また外国人は日本語や労働慣行に不慣れなことがあるので、母国語や視聴覚教材など理解できる方法で実施する必要がある、といった注意が書かれています。
注意点3:報酬は「同等以上」+「安定的」+「昇給契約」がセット
建設分野では、同等技能の日本人と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給する契約が求められます。さらに告示様式上、同等以上として算定した根拠資料の添付を求める注意書きもあります。
注意点4:人数枠の数え方(常勤職員数)でミスしやすい
1号の受入人数が、受入企業の常勤職員数(技能実習生・1号特定技能を除く)を超えないこと、という条件が示されています。ここは社内での「人数の定義」を揃えないとズレやすいです。
12. 行政書士に相談すると“手戻りが減る”典型場面
建設分野の特定技能は、外国人本人の試験・経験要件だけでなく、**受入企業側の追加条件(計画認定、CCUS、登録法人加入、報酬の根拠、重要事項説明など)**が重なります。資料を読んでいるだけでも、提出書類・報告・確認が多いことが分かります。
行政書士に相談するメリットが出やすいのは、例えば次のようなときです。
- 業務区分の整理(土木/建築/ライフライン・設備のどれで申請するか、実際の作業内容と整合するか)
- 技能実習2号の“免除”の当てはめ(別表対応、修了時の合格証明、評価文書の要否の確認)
- 建設特定技能受入計画の作成・添付資料整理(報酬の根拠資料、昇給、技能習得・安全衛生教育などの計画化)
- CCUS登録・2号の実務経験立証(レベル3、就業日数、申告書・画面写し・経歴証明書の整合)
- 重要事項説明の言語・書面整備(「理解できる言語」での書面交付説明が要件)
13. まとめ(最後に“チェックリスト”)
最後に、初心者向けに「ここだけ確認すれば次に進める」チェックリストを置きます。
外国人本人(1号)チェック
- 業務区分(土木/建築/ライフライン・設備)が決まっている
- 技能:評価試験合格 or 技能検定3級等(または技能実習2号良好修了で免除の整理ができている)
- 日本語:JFT-Basic or JLPT N4以上(または免除/A2相当の整理ができている) (MLIT)
外国人本人(2号)チェック
- 試験合格に加え、班長実務経験の要件(就業日数/レベル3等)を満たす見通し
- その証明(CCUS、レベル判定結果通知書、申告書等)の整理ができている
受入企業チェック(建設分野)
- 建設業許可がある
- 同等以上の報酬を安定的に支払い、昇給契約がある(根拠資料も準備)
- 重要事項説明を本人が理解できる言語で書面交付して説明できる
- CCUS登録・登録法人(JAC)加入ができている
- 建設特定技能受入計画の認定(+履行確認、報告)まで見据えている
- 人数枠(常勤職員数との関係)を満たす
もしよければ、あなたが「受入企業側」なのか「外国人本人側」なのか、そして業務区分が土木・建築・ライフラインのどれになりそうかだけ教えてください。資料の範囲内で、**どの要件・どの書類確認が“優先順位高いか”**を、チェックリスト形式でもう一段わかりやすく整理します。


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