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木材産業の特定技能受入 まるわかり解説!

こんにちは。今日は、日本の木材産業で外国人材を受け入れる「特定技能」という制度について、できるだけわかりやすく解説していきます。最近、木材関連の仕事をする会社で「人手が足りない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。この制度は、そんな課題を解決する一つの選択肢として注目されています。

目次

この制度が生まれた背景

まず、なぜこの制度が必要になったのか、背景から見ていきましょう。

日本の木材産業は、今とても厳しい人手不足に直面しています。数字で見ると、木材・木製品製造業の就業者数は、平成22年に12万3,000人いたのが、令和2年には10万3,000人まで減少しました。10年間で約16%も減ってしまったのです。

例えるなら、10人のチームで働いていたのに、2人が抜けて8人になってしまったようなものです。しかも困ったことに、仕事の量は減っていません。むしろ、令和4年度の有効求人倍率は2.80倍。つまり、1人の求職者に対して約3件の求人がある状態で、「仕事はあるのに働き手がいない」という深刻な状況なのです。

さらに将来を見ると、令和2年の就業者のうち35歳未満の割合はわずか17.6%(全産業平均は22.8%)。若い人材が少なく、高齢化も進んでいます。このままでは、木材産業の持続的な発展が危ぶまれてしまいます。

農林水産省(林野庁)

「特定技能」制度とは?ー即戦力として働ける仕組み

そこで導入されたのが「特定技能」という在留資格です。これは、一定の専門性や技能を持っている外国人を、即戦力として受け入れるための制度です。

ここで大切なのは、「即戦力」という言葉です。これは、「来日してすぐに現場で実際の仕事ができる技術と知識を持っている人」という意味です。つまり、イチから教える研修生ではなく、すでに必要なスキルを身につけている経験者を受け入れる制度なのです。

どんな仕事ができるの?

木材産業分野の特定技能外国人は、主に以下のような業務に従事します:

主な業務:

  • 製材業、合板製造業等に係る木材の加工

具体的には、木材の特性を理解し、工場内の安全性を守りながら、一定時間内に正しい手順で的確に木材加工を行える技能が求められます。

関連する補助的な業務も可能:

  • 原材料(原木・資材等)の調達や受入れ作業
  • 製品の検査工程の作業
  • 製品の出荷作業(運搬・梱包・積込み)
  • 作業場所の整理整頓や清掃

ただし、注意点があります。関連業務は**「付随的に」**従事できるだけで、これらの業務だけを専門的にやらせることは認められていません。あくまで、木材加工というメイン業務があってこその補助業務という位置づけです。

どの会社が受け入れられるの?ー対象となる事業所

次に、「うちの会社は受け入れられるのか?」という疑問に答えていきます。

受入れができるのは、日本標準産業分類という公式の分類で、以下のいずれかに該当する事業所です:

  1. 小分類121 – 製材業、木製品製造業
  2. 細分類1222 – 合板製造業
  3. 細分類1223 – 集成材製造業
  4. 細分類1224 – 建築用木製組立材料製造業
  5. 細分類1227 – 銘木製造業
  6. 細分類1228 – 床板製造業

簡単に言えば、木材を切ったり、加工したり、製品として作り上げる工場が対象です。

対象外の事業所もあります

逆に、以下のような事業所は対象になりません:

  • 家具製造業(木製の椅子やテーブルを作る工場など)
  • パーティクルボードや繊維板の製造
  • 木製容器製造業(木箱や樽を作る工場など)
  • 単に製品の選別や包装だけを行う事業所

製造加工を実際に行っている工場であることが条件なので、倉庫で仕分けだけをしている場合などは認められません。

外国人材はどうやって受け入れるの?ー必要な資格と試験

では、外国人の方がこの「特定技能」の資格を得るには、どうすればいいのでしょうか。

ルート1:試験に合格する

まず、2つの試験に合格する必要があります。

①技能試験:「木材産業特定技能1号測定試験」

この試験では、木材加工や安全衛生に関する基本的な知識があるか、そして各種作業を安全かつ正確にできるかをチェックします。例えるなら、運転免許試験のようなもので、「この人は現場で安全に働けるスキルを持っている」ことを証明するための試験です。

試験は年に複数回、国内外で実施されます。令和7年度は国内で8回(東京、福岡、名古屋、北海道、広島、岩手など)、海外ではインドネシアで実施される予定です。

②日本語試験

以下のいずれかに合格する必要があります:

  • 「国際交流基金日本語基礎テスト」
  • 「日本語能力試験(N4以上)」

N4レベルというのは、「基本的な日本語を理解できる」レベルです。日常会話ができて、生活に支障がない程度の日本語能力を求めているということです。現場での指示を理解したり、同僚とコミュニケーションを取ったりするために必要な最低限の言語能力ですね。

ルート2:技能実習を修了している

実は、試験を受けなくても特定技能の資格を得られる道があります。

「木材加工職種:機械製材作業」の技能実習2号を良好に修了した人は、技能試験も日本語試験も両方とも免除されます。

これは理にかなっていますよね。すでに日本で3年程度、実際に木材加工の仕事をして、技能実習を無事に修了した人は、必要な技能も日本語能力も実証済みと認められるわけです。

また、それ以外の職種の技能実習2号を修了した人は、日本語試験だけは免除されます(技能試験は受ける必要があります)。

受け入れる企業側の条件ー「協議会」への加入が必須

さて、ここからは受け入れる企業側の話です。外国人材を受け入れたい企業は、いくつかの条件をクリアする必要があります。

最も重要:「木材産業特定技能協議会」への加入

特定技能外国人を受け入れる企業は、農林水産省が設置する「木材産業特定技能協議会」の構成員になることが義務付けられています。

この協議会は、いわば**「受入れ企業のコミュニティ」**のようなものです。外国人材が適正に受け入れられているか、労働環境は適切か、地域による偏りは生じていないかなどを話し合い、情報を共有する場です。

加入のタイミングも重要で、在留資格の申請を行う前に加入を完了させる必要があります。つまり、「まず協議会に入ってから、外国人材を雇用する手続きを始める」という順序です。

協議会に加入したら守るべきこと

協議会に加入した企業は、以下の義務を負います:

  • 協議会で決まった措置を実行すること
  • 協議会が行う情報提供や意見聴取、調査などに協力すること
  • 農林水産省やその委託先が行う調査や指導に協力すること

例えるなら、業界団体に加入して、業界全体のルールやベストプラクティスに従うようなものです。個々の企業が好き勝手にやるのではなく、業界全体で適正な受入れを実現していこうという仕組みです。

登録支援機関への委託にも条件がある

企業によっては、外国人材の支援業務(生活オリエンテーション、日本語学習支援、相談対応など)を専門の「登録支援機関」に委託することができます。

ただし、その場合も農林水産省および協議会に必要な協力を行う登録支援機関に委託することという条件があります。つまり、どんな支援機関でもいいわけではなく、協議会のルールに従う機関を選ぶ必要があるということです。

雇用形態は「直接雇用のみ」ー派遣は厳禁

ここは非常に重要なポイントです。

木材産業分野の特定技能外国人は、直接雇用に限られます。つまり、企業が直接雇用して、自社の工場や事業所で働いてもらう形です。

絶対に禁止されていること:

  • 労働者派遣として受け入れること
  • 雇用した外国人を他社に派遣すること

これに違反すると、以後5年間、特定技能外国人の受入れができなくなるという厳しいペナルティがあります。

なぜこのような厳しいルールがあるのでしょうか。それは、外国人材を「使い捨ての労働力」として扱うことを防ぎ、安定した雇用関係の中で技能を発揮してもらうためです。直接雇用であれば、企業は外国人材の労働環境や待遇に責任を持ち、長期的な関係を築くインセンティブが働きます。

受入れ人数の上限ー5年間で最大5,000人

木材産業分野全体で、令和6年度から令和10年度までの5年間で、最大5,000人の特定技能外国人を受け入れることが見込まれています。

これは、将来の人手不足の見込み(令和10年度に約5万7,000人不足)から、生産性向上(約4万4,000人分)や国内人材確保(約8,000人分)を差し引いた上で、なお不足すると見込まれる人数を基に設定されています。

つまり、「まず国内で頑張って生産性を上げたり、国内人材を確保したりする努力をする。それでも足りない分を外国人材で補う」という考え方です。

待遇と労働条件ー日本人と同等以上

特定技能外国人の待遇については、日本人と同等以上であることが求められます。

具体的には:

  • 報酬額が日本人と同等以上であること
  • 労働基準法その他の労働関係法令を守ること
  • 社会保険や労働保険に加入すること

「外国人だから安く雇える」という発想は完全に間違いです。同じ仕事をするなら、同じ待遇を提供することが法律で義務付けられています。

安全対策も重要ー労働災害の防止

木材産業は、残念ながら労働災害の発生率が他の業種と比較して高い傾向にあります。そのため、外国人材を受け入れる際には、安全教育や作業環境の整備が特に重視されています。

協議会でも、「特定技能外国人の労働安全の確保のために講ずる措置」が決定されており、受入れ企業は安全対策を徹底する義務があります。

実際の手続きの流れ

最後に、実際に外国人材を受け入れる際の大まかな流れを見ておきましょう。

【企業側の準備】

  1. 自社が対象事業所に該当するか確認
  2. 木材産業特定技能協議会への加入申請
  3. 雇用条件の整備(報酬、労働時間、福利厚生など)
  4. 必要に応じて登録支援機関の選定

【外国人側の準備】

  1. 技能試験と日本語試験の合格(または技能実習2号の修了)
  2. 雇用契約の締結
  3. 在留資格認定証明書の交付申請

【受入れ後】

  1. 生活オリエンテーションの実施
  2. 定期的な面談と支援
  3. 協議会への報告と協力

まとめーこの制度で大切なこと

木材産業における特定技能外国人の受入れ制度について、詳しく見てきました。最後に、特に大切なポイントをまとめておきます。

3つの「守るべきこと」

  1. 適正な雇用関係:直接雇用で、日本人と同等以上の待遇を提供する
  2. 協議会への参加:業界全体で情報共有し、適正な受入れを実現する
  3. 安全の確保:労働災害を防ぎ、安心して働ける環境を整える

この制度の本質

特定技能制度は、単なる「人手不足の穴埋め」ではありません。専門性と技能を持った外国人材と、長期的な信頼関係を築きながら、共に木材産業の未来を支えていくための仕組みです。

人手不足という課題に直面する木材産業にとって、この制度は大きな可能性を秘めています。ただし、その可能性を最大限に活かすには、制度の趣旨を正しく理解し、外国人材を尊重した受入れ体制を整えることが不可欠です。

もし、さらに詳しい情報が必要な場合は、農林水産省林野庁(電話:03-6744-2292)や、一般社団法人全国木材組合連合会のウェブサイトで、最新の情報やQ&Aを確認することができます。


参考リンク:


以上、木材産業分野の特定技能制度について、できるだけわかりやすく解説させていただきました。この情報が、外国人材の受入れを検討されている方々の参考になれば幸いです。

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