「令和6年度厚生労働省補正予算案の主要施策集」のうち、広島県三次市・庄原市・安芸高田市の企業様にご関係のある部分を抜粋

補助金・助成金

1. 賃上げ支援と生産性向上

最低賃金引上げへの対応支援

令和6年度の厚生労働省補正予算案では、中小企業・小規模事業者向けの生産性向上支援に297億円の予算が計上されています。これは、最低賃金の引上げに対応するための重要な取り組みです。

具体的な支援内容は以下の通りです。

  • 業務改善助成金の拡充
    • 目的:事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図る中小企業・小規模事業者を支援
    • 対象:中小企業事業者であり、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である事業者
    • 支援内容:生産性向上に資する設備投資などを実施し業務改善を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる場合に、その業務改善に要した経費の一部を助成

助成率と上限額

  1. 助成率
    • 事業場内最低賃金900円未満:9/10
    • 900円以上950円未満:4/5(生産性要件を満たした場合は9/10)
    • 950円以上:3/4(生産性要件を満たした場合は4/5)
  2. 助成上限額
    引き上げる労働者数と引上げ額に応じて変動します。例えば:
    • 1人の賃金を30円引き上げる場合:30万円(60万円)
    • 10人以上の賃金を90円引き上げる場合:600万円
      ※カッコ内は事業場規模30人未満の場合の金額です。

この制度により、中小企業は賃金引上げと同時に生産性向上を図ることができ、競争力の強化にもつながります。たとえば、新しい機械設備の導入や業務プロセスの改善により、従業員一人当たりの生産性を高めることで、賃上げの原資を確保できるようになります。

持続的な賃上げに向けた支援

中小企業の持続的・安定的な賃上げを支援するため、以下のような施策が用意されています。

  1. 事業再構築・生産性向上への支援
    • 目的:中小企業の“稼ぐ力”を強化し、持続的な賃上げを実現するための環境整備を行う
    • 具体的な取り組み:
      • デジタル化支援(ITツールの導入補助、デジタル人材の育成支援)
      • 脱炭素化支援(省エネ設備の導入補助、再生可能エネルギーの活用支援)
      • 新事業展開支援(新製品・サービス開発の補助、販路開拓支援)
    これらの支援により、中小企業は新たな収益源を確保し、生産性を向上させることで持続的な賃上げの基盤を築くことができます。
  2. 賃上げ原資の確保支援
    • 目的:下請取引の適正化を推進し、中小企業が適正な利益を確保できるよう支援
    • 具体的な取り組み:
      • 下請Gメンの体制強化(調査頻度の増加と対象業種の拡大)
      • 価格転嫁対策の強化(価格交渉促進月間の設定、相談窓口の設置)
      • 取引適正化に向けたガイドラインの整備(業種別ガイドラインの策定・改訂、周知・啓発活動の強化)

これにより、中小企業は取引先との適正な価格交渉が可能となり、賃上げの原資を確保しやすくなります。たとえば、原材料費の上昇分を適切に価格に反映させることで、利益率を維持し、従業員への還元を継続できるようになります。


2. 人材確保と育成

人材確保支援

中小企業が直面する人材不足を解消するため、以下のような施策が実施されます。

  1. マッチング支援の強化
    • 目的:中小企業と求職者のマッチングを効率的に行い、人材確保を促進
    • 具体的な取り組み:
      • ハローワークの機能強化(AI技術を活用したマッチングシステムの導入、オンライン面接環境の整備)
      • 中小企業の魅力発信支援(企業PRビデオの作成支援、合同企業説明会の開催)
    これにより、中小企業は自社の魅力を効果的に発信し、適切な人材を見つけやすくなります。AIマッチングシステムにより、求職者のスキルと企業のニーズを精密に照合でき、採用のミスマッチを減らすことが期待されます。
  2. 外国人材の受入れ支援
    • 目的:特定技能制度を活用した外国人材の受入れを促進し、人材不足の解消を図る
    • 具体的な取り組み:
      • 特定技能制度の周知・啓発(説明会の開催、活用事例集の作成・配布)
      • 外国人材受入れ環境の整備支援(多言語対応の相談窓口設置支援、日本語教育プログラムの提供)

これにより、中小企業は外国人材を円滑に受け入れ、多様な人材の活用を通じて人手不足の解消と生産性向上を同時に実現できます。

人材育成支援

従業員のスキルアップを通じて企業の競争力を高めるため、以下の施策が実施されます。

  1. リスキリング(学び直し)支援
    • 目的:デジタルスキルやグリーン関連スキルなど、今後需要が高まる分野のスキル習得を支援
    • 具体的な取り組み:
      • オンライン学習プラットフォームの提供(最新技術に関する講座の無料提供、受講履歴の管理と修了証の発行)
      • 実践的な研修プログラムの実施(業種別プログラムの提供、専門家による個別指導)

これにより、中小企業の従業員は最新のスキルを効率的に習得し、企業の競争力向上に貢献しやすくなります。たとえば、製造業の従業員がIoT技術を学ぶことで、生産ラインの効率化や品質管理の向上が期待できます。

  1. キャリアアップ助成金の拡充
    • 目的:非正規雇用労働者のキャリアアップを支援し、企業の人材育成を促進
    • 具体的な取り組み:
      • 正社員化支援の強化(正社員転換時の助成金額の増額、転換後のフォローアップ支援)
      • 処遇改善支援の拡充(賃金引上げに対する助成の拡大、スキル習得に応じた処遇改善の支援)

これにより、中小企業は非正規雇用労働者の能力開発と処遇改善を進め、従業員の定着率向上と生産性向上を同時に実現できます。


おわりに

以上の施策を通じて、中小企業は人材の確保と育成を効果的に行い、企業の持続的な成長と従業員の満足度向上を両立させることができます。これらの支援を積極的に活用することで、中小企業の競争力強化と魅力向上が期待されます。

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