外国人労働者採用のコストについて
今回は、多くの事業者様からご相談をいただく「外国人労働者を採用する際のコスト」について、詳しくお話しさせていただきます。
外国人労働者採用の現状と課題
近年、人手不足が深刻化する中、外国人労働者の採用を検討される事業者様が増えています。特に広島県では、製造業を中心に外国人労働者の需要が高まっています。令和5年10月末時点の広島労働局管内における外国人雇用状況の届出によると、外国人労働者数は44,093人で、産業別では製造業が最も多く、全体の54.1%を占めています。しかし、採用にあたってのコストや手続きについて不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
- 「外国人を雇用したいけど、どれくらいの費用がかかるのか分からない」
- 「手続きが複雑で、どこから始めればいいのか分からない」
- 「思わぬコストがかかるのではないか不安」
このような悩みをお持ちの事業者様は少なくありません。実際、広島県内の企業を対象とした調査では、外国人材の採用活動における課題として「制度の理解・手続きの負担が大きい」という回答が多く見られました。
外国人労働者採用にかかる具体的なコスト
それでは、外国人労働者を採用する際にかかるコストについて、詳しく見ていきましょう。コストは大きく分けて、「採用時のコスト」と「雇用後のコスト」に分類されます。
1. 採用時のコスト
(a) 人材紹介会社への手数料
人材紹介会社を通じて採用する場合、手数料が発生します。手数料の相場は、紹介会社や契約形態によって異なり、年間想定年収の30〜35%程度が目安とされることが多いです。サーチ型(リテーナー型)の人材紹介の場合、着手金が発生するケースもあります。
(b) 在留資格申請費用
外国人労働者が日本で働くためには、適切な在留資格が必要です。在留資格の申請には、以下のような費用がかかります。
- 申請書類作成費用:業務委託の場合3~4万円、自社で行う場合1.5~2万円
- 各種証明書発行費用:卒業証明書(500円程度)、在職証明書(1,000~2,000円程度)
- 健康診断費用:1万円程度
- 書類の翻訳費用:4,000~6,000円程度
- その他(郵便切手・速達料金など):1,000~2,000円程度
(c) 渡航費用(海外から採用する場合)
海外から直接採用する場合、渡航費用を負担することが一般的です。渡航費用は、渡航元や時期、航空会社、座席クラスなどによって大きく変動する可能性があります。
(d) 日本語教育費用
日本語教育が必要な場合、費用が発生することがあります。日本語教育費用は、教育内容や期間、日本語学校のレベル、授業形態などによって異なります。
2. 雇用後のコスト
(a) 給与・社会保険料
日本人従業員と同様に、給与や社会保険料の負担が必要です。ただし、外国人労働者の場合、母国への送金ニーズが高いため、給与の支払い方法に配慮が必要な場合があります。
(b) 住居費用
海外から採用した場合、住居の手配や初期費用(敷金・礼金など)を会社が負担することが多く、費用が発生します。住居費用は、地域や物件の広さ、築年数、設備などによって大きく異なります。
(c) 生活サポート費用
携帯電話契約や銀行口座開設などの初期手続きのサポート、生活に必要な情報の提供など、生活面のサポートを行う場合、費用が発生することがあります。サポート内容によって金額は変動します。
(d) 通訳・翻訳費用
職場でのコミュニケーションを円滑にするため、通訳や翻訳サービスを利用する場合の費用が発生することがあります。
(e) 帰国費用
契約終了時の帰国費用も考慮に入れる必要があります。特定技能外国人の場合、本人が帰国費用を用意できない場合は、企業が負担する必要があります。
コスト削減のためのアドバイス
外国人労働者の採用にかかるコストを抑えるためには、以下のような方法が考えられます。
● 助成金の活用
外国人労働者の雇用に関連する助成金制度は複数存在します。それぞれの制度の目的や要件を理解し、適切な助成金を活用することで、コスト削減を図ることが重要です。
● 自社での研修実施
外部機関に依頼せず、自社内で日本語や業務知識のトレーニングを実施することでコストを抑えられます。
● Web面接の活用
特に海外在住者の採用の場合、Web面接を活用することで交通費を抑えられます。通信環境や機器の準備、時差対応など注意点はありますが、移動時間や費用を削減できるメリットは大きいです。
● 地方での採用
首都圏に比べ、地方では人件費が低い傾向にあるため、コスト削減につながる可能性があります。ただし、外国人労働者にとって生活環境が整っているかどうか事前に検討する必要があります。
● 申請取次行政書士の活用
在留資格の申請手続きを申請取次行政書士に依頼することで、手続きの効率化とコスト削減につながる可能性があります。専門家に依頼することで、手続きの負担を軽減し、スムーズな採用活動を行うことができます。
広島県内の外国人労働者雇用状況
広島県内の外国人労働者数は、令和5年10月末時点で44,093人となっており、増加傾向にあります。産業別では、製造業が最も多く、全体の54.1%を占めています。
市町村 | 外国人労働者数 | 技能実習生 | 身分に基づく在留資格 | 専門的・技術的分野 | 資格外活動 | 製造業 | 卸売業・小売業 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
広島県全体 | 44,093人 | 17,204人 | 11,425人 | 9,595人 | 5,141人 | 23,843人 | 5,463人 |
三次市 | 1,325人 | 849人 | 265人 | 31人 | 173人 | 1,034人 | 80人 |
庄原市 | 1,325人 | 849人 | 265人 | 31人 | 173人 | 173人 | 105人 |
安芸高田市 | 情報なし | – | – | – | – | – | – |
具体的な想定例
外国人労働者の採用には、採用する人数、国籍、職種、雇用形態、在留資格など様々な要素が影響するため、コストはケースバイケースで大きく異なります。自社の状況を分析した上で、最適な方法を選択することが大切です。
まとめ
外国人労働者の採用には、確かに一定のコストがかかります。しかし、適切な準備と手続きを行うことで、予想外の出費を抑え、スムーズな採用・雇用が可能になります。
特に、在留資格の申請や各種手続きは専門知識が必要となる場合が多いため、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。私たち行政書士は、外国人雇用に関する法律や制度を熟知しており、皆様の状況に応じた最適なアドバイスを提供できます。
困ったときは、ぜひ専門家への相談をご検討ください。
行政書士高杉将寿事務所では、広島県三次市を拠点に、庄原市・安芸高田市の皆様のお悩みにも対応しております。外国人労働者の採用に関するご相談はもちろん、その他の行政手続きについてもサポートさせていただきます。
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