1. はじめに
広島県北部の三次市、庄原市、安芸高田市の農業者の皆様、こんにちは。今回は、皆様の経営改善に大きく貢献する可能性のある「担い手確保・経営強化支援事業」についてご紹介します。この補助金は、地域の中心となる経営体の農業用機械・施設の導入を支援し、経営発展を後押しするものです。
三次市、庄原市、安芸高田市は、広島県の中でも特に農業が盛んな地域として知られています。しかし、近年の農業従事者の高齢化や後継者不足、さらには気候変動による影響など、様々な課題に直面しています。そんな中、この補助金を活用することで、経営の効率化や生産性の向上を図ることができるのです。
それでは、この補助金の概要や活用事例、申請手順などについて、詳しく見ていきましょう。
2. 概要
担い手確保・経営強化支援事業は、地域の中心となる経営体の農業用機械・施設の導入を支援する事業です。ここでは、補助金の基本的な情報をまとめてご紹介します。
① 補助金額:原則300万円以上
② 補助率:融資残額(事業費から融資額を除いた額)の2分の1以内
③ 補助対象経費:農業用機械・施設の導入費用
④ 補助対象者:人・農地プランに位置付けられた中心経営体等
⑤ 申請期限:各都道府県の農政部局に確認が必要
⑥ 申請要件:経営改善に関する目標を定めていること、など
3. 想定される活用事例
ここでは、三次市の農業法人「みよし未来ファーム(仮称)」を例に、この補助金の活用事例を想定してみましょう。
① 問題点
みよし未来ファーム(仮称)は、三次市で主に水稲と野菜の複合経営を行っている農業法人です。近年、従業員の高齢化が進み、特に収穫作業の効率が低下していました。また、気候変動の影響で収穫時期の予測が難しくなり、適期収穫を逃すケースが増えていました。これらの問題により、生産性が低下し、経営が圧迫されていました。
② 補助金による問題解決
担い手確保・経営強化支援事業を活用し、最新のGPS機能付きコンバインと環境制御型ハウスを導入することにしました。
GPS機能付きコンバインの導入により、熟練者でなくても効率的な収穫作業が可能になりました。これにより、労働力不足の問題が大幅に改善されました。また、環境制御型ハウスの導入により、気候変動の影響を最小限に抑え、計画的な生産が可能になりました。
結果として、生産性が20%向上し、労働時間も15%削減することができました。さらに、品質の安定化により、取引先からの評価も上がり、販売単価の向上にもつながりました。
4. 詳細な説明
それでは、担い手確保・経営強化支援事業の詳細について、一つずつ見ていきましょう。
① 補助金額
補助金額は、原則として300万円以上です。ただし、事業費が300万円に満たない場合でも、都道府県知事が特に必要と認める場合は、この限りではありません。
② 補助率
補助率は、融資残額(事業費から融資額を除いた額)の2分の1以内です。ただし、事業費の3/10が上限となります。
③ 補助対象経費
補助対象となるのは、農業用機械・施設の導入費用です。具体的には、トラクター、コンバイン、田植機などの農業機械や、ハウス、育苗施設、集出荷施設などの農業用施設が対象となります。
④ 補助対象者
補助対象者は、人・農地プランに位置付けられた中心経営体等です。具体的には以下の条件を満たす必要があります。
- 人・農地プランに位置付けられた中心経営体
- 農地中間管理機構から農地を借り受けている農業者
- 農業者の組織する団体(農業協同組合、農事組合法人、農地所有適格法人等)
⑤ 申請期限
申請期限は、各都道府県の農政部局によって異なります。三次市、庄原市、安芸高田市の農業者の皆様は、広島県農林水産局農業経営発展課にお問い合わせください。
⑥ 申請要件
主な申請要件は以下の通りです。
- 人・農地プランに位置付けられた中心経営体等であること
- 経営改善に関する目標を定めていること
- 園芸施設の場合、強い農業・担い手づくり総合支援交付金実施要綱に定める面積要件を満たすこと
- 融資機関等による経営診断を受けていること
5. 申請手順
担い手確保・経営強化支援事業の申請手順は以下の通りです。
- 事業計画の作成:経営改善に関する目標を含む事業計画を作成します。
- 融資機関への相談:事業計画に基づいて、融資機関に融資の相談をします。
- 経営診断の実施:融資機関等による経営診断を受けます。
- 市町村への相談:三次市、庄原市、安芸高田市の農政担当部署に相談し、人・農地プランへの位置付けを確認します。
- 県への申請:広島県農林水産局農業経営発展課に申請書類を提出します。
- 審査・採択:県による審査を経て、採択されれば事業実施となります。
- 事業実施:採択後、計画に基づいて機械・施設を導入します。
- 実績報告:事業完了後、実績報告書を提出します。
- 補助金交付:実績報告の確認後、補助金が交付されます。
6. まとめ
担い手確保・経営強化支援事業は、三次市、庄原市、安芸高田市の農業者の皆様にとって、経営改善の大きなチャンスとなる可能性があります。この補助金を活用することで、最新の農業機械や施設を導入し、生産性の向上や労働力不足の解消、さらには気候変動への対応など、様々な課題解決につながる可能性があります。
例えば、庄原市の「庄原グリーンファーム(仮称)」では、この補助金を活用して大型トラクターとGPS自動操舵システムを導入し、作業効率を30%向上させることに成功しました。また、安芸高田市の「あきたかた果樹園(仮称)」では、環境制御型の果樹棚を導入し、気候変動の影響を最小限に抑えつつ、収量を15%増加させることができました。
しかし、補助金の申請手続きは複雑で、専門的な知識が必要な場合もあります。そのような場合は、地元の行政書士に相談することをおすすめします。ご不明な点等ございましたら、どうぞお気軽にお声かけ願います。
最後に、この担い手確保・経営強化支援事業は、農業経営の未来を切り開く重要なツールとなる可能性があります。三次市、庄原市、安芸高田市の農業者の皆様、ぜひこの機会を活かして、自身の経営改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。地域農業の発展は、皆様一人一人の取り組みから始まります。この補助金を活用し、広島県北部の農業がさらに発展することを心より願っています。