はじめに
物価やエネルギーコストの上昇は、広島県内の事業者様にとって、仕入・光熱費の増加だけでなく、賃上げや人材確保の原資をどう捻出するかという課題にも直結します。内閣府は、エネルギー・食料品価格の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者を支援し、自治体が地域の実情に応じた事業を実施できるようにする枠組みとして「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(重点支援地方交付金)」を創設したと説明しています。
こうした背景の下で三次市では、同交付金を活用し、物価高騰の影響を受ける市内の中小企業者等の負担軽減と雇用維持を支援するため、本市独自の支援金を交付するとしています。FAQは後日掲載し随時更新予定とも案内されていますので、申請前には必ず公的機関サイトで最新情報をご確認ください。
本記事は、補助金専門の行政書士として「広島県 補助金」や「〇〇市補助金」を扱う立場から、三次市補助金・三次市助成金の検討に必要な要点を、公式情報に基づき整理して解説するものです。
概要
①補助金額は、基礎額5万円に、申請時点の従業員数(雇用保険法における被保険者数で、三次市内の事業所で働いていることが条件)×1万円を加算した金額です。交付は1事業者につき1回限りで、上限額は1企業あたり25万円とされています。
②補助率については、本制度が「特定の経費の何割を補助する」精算型の補助金ではなく、要件を満たす事業者に対して定額(算定式に基づく金額)を交付する支援金であるため、いわゆる補助率は設定されていません。申請書類も「交付申請書兼請求書」という形式です。
③補助対象経費は、制度の性質上、経費区分や領収書で精算する方式が前提ではありません。三次市が示す添付書類は、申請書、宣誓書、確定申告書の写し、通帳の写し、被保険者数を確認できる書類などで構成されており、領収書等は必須書類として列挙されていません。 一方で、市から報告・検査等を求められた場合に応じること、虚偽が判明した場合の返還等に応じることなどが同意事項として明記されています。
④補助対象者は、令和7年12月31日までに事業を開始し、法人は三次市内に本店を有すること、個人事業者は三次市内に住民登録があり市内に主たる事業所を有すること等の要件を満たす中小企業者等とされています。
⑤申請期限は、令和8年7月31日までで、申請受付は令和8年5月7日から開始されます。
⑥申請要件は、前年の事業収入が一定以上であること、確定申告をしていること、事業継続の意思があること、市税・料を完納していること等が柱です。暴力団排除や、同趣旨の国・県・市の補助金等を受給していないことなど、宣誓・同意事項の確認も必要です。
⑦補助金事務局URLは、制度の案内、申請様式のダウンロード、受付窓口の案内が集約されている三次市公式ページです。
想定される活用事例
①事業者様が従来から抱えておられる問題点としては、物価高騰により、原材料・燃料・電気料金などのコストが上がり、利益率の確保が難しくなることが挙げられます。重点支援地方交付金は、エネルギー・食料品価格の物価高騰の影響を受けた事業者を支援する枠組みとして説明されており、三次市も同交付金を活用して、市内事業者の負担軽減と雇用維持を支援する方針を示しています。
②補助金による具体的な問題解決イメージとしては、例えば従業員を抱える「三次テクノ製作所(仮称)」が、光熱費上昇に加え、賃上げの必要性に直面した場面を想定してみてください。本支援金は、基礎額に加えて雇用保険の被保険者数に応じて加算される設計で、雇用を維持しているほど支援が厚くなる仕組みです。 受給資金を運転資金の厚みに回すことで、急なコスト増を吸収しつつ、雇用を守りながら営業を継続しやすくなります。
また、例えばパート従業員も含めて人手で回る店舗型ビジネスの「三次駅前食堂(仮称)」では、仕入価格や電気料金の上昇が売上に直結しやすい一方で、短時間勤務のスタッフが多い場合には「雇用保険の被保険者」に該当するかどうかで加算額が変わります。チラシでは、雇用形態にかかわらず被保険者が対象であること、そして「週20時間以上」「31日以上」といった条件が示されていますので、どの従業員が加算対象になるかを事前に整理すると、申請書作成がスムーズです。
概要で述べた内容の、詳細な説明
①補助金額は「基礎額5万円+従業員数×1万円」で、従業員数は雇用保険法における被保険者数とされています。対象となる被保険者は三次市内の事業所で働くことが条件で、市外の事業所勤務分は加算対象に含めない趣旨が示されています。 チラシのQ&Aでは、対象となる従業員について、常用・パート・アルバイト・派遣等、名称や雇用形態にかかわらず雇用保険法の被保険者が対象であること、そして「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上雇用している(雇用見込がある)方」という条件が示されています。
従業員を雇用していない場合でも申請は可能で、その場合は基礎額5万円が交付されます。なお上限額は25万円で、従業員が20人以上の場合は基礎額5万円+20万円(20人分)となる旨も案内されています。
②補助率が設定されていない理由は、本制度が「給付(支援金)」であり、交付額が申請時点の算定式で決まるからです。様式が「交付申請書兼請求書」とされている点も、その性格を理解する手がかりになります。 ここは、補助金に慣れている事業者様ほど見落としがちなポイントで、例えば「補助対象経費の領収書を集めて精算する」「事業実績報告をして確定額が決まる」といった流れを前提にすると、準備の方向性がずれてしまいます。本支援金は、あくまで要件充足の確認と、被保険者数に基づく加算の裏付けが中心になるため、書類の揃え方(申告書、口座写し、被保険者数確認資料)を先に固める方が実務上は近道です。
③補助対象経費について、公式資料上は「この費目に限定して使うこと」といった細かな指定は前面に出ていません。一方で、宣誓書・同意書には、影響を受けていることの宣誓、事業継続意思、報告・検査への対応、虚偽があった場合の取消・返還等が明記されています。 したがって、提出書類と実態が矛盾しないよう、申告内容や帳簿の整合性を確保しながら申請することが重要です。
④補助対象者は「中小企業者等」で、チラシでは中小企業基本法の定義に基づく旨が明示されています。 中小企業庁の整理でも、業種ごとに資本金または従業員数で中小企業の範囲が示されています。 本制度のチラシでも、旅館業は従業員200人以下などの区分が示されています。
ただし、チラシには「対象外の業種もある」と注意書きがあり、Q&Aでは不動産賃貸業は対象外である一方、不動産紹介業(宅地建物取引業許可を有するもの)および不動産販売業は対象となる旨が案内されています。
所在地要件は、法人は三次市内に本店を有すること(登記簿上の住所)、個人事業者は三次市内に住民登録があり市内に主たる事業所を有することとされています。加えて、令和7年12月31日までに事業を開始していることが前提として示されているため、開業時期が新しい方は要件を丁寧に確認してください。
⑤申請期限は令和8年7月31日までで、受付は令和8年5月7日からです。郵送受付は行わないため、提出に必要な日程確保が欠かせません。従業員加算を行う場合は被保険者数を確認する書類の準備が必要で、ハローワーク三次での手続が関係する場合もあります。
⑥申請要件のうち、収入要件は「主たる収入が事業収入」で「前年の収入が120万円以上」が基本で、令和7年中に事業を開始した者は別に定める収入を超える者とされています。また、令和7年分(法人は前事業年度)の確定申告をしていること、市税・料を完納していること、今後も事業を継続する意思があることが要件です。
従業員加算を狙う場合は、被保険者数を裏付ける書類として「雇用保険被保険者資格喪失届」「事業所台帳異動状況照会」「事業所別被保険者台帳」のいずれかが示されています。必要に応じて「雇用保険適用事業所情報提供請求書」を使って情報提供を請求する手続も案内されています。
加えて、宣誓書・同意書では、暴力団等に該当しないこと、同趣旨の国・県・市の補助金等を受給していないこと、市税・料の滞納がないこと等への同意が求められ、虚偽があった場合の返還等にも同意する形になっています。さらに、チェックリストは後日掲載予定とされていますので、提出前に最新の必要書類を確認してください。
具体的な申請手順
申請の第一歩は、公式ページとチラシで、所在地要件、事業開始時期、収入・申告状況、市税・料の納付状況が満たされるかを確認することです。 次に、三次市が公開している「交付申請書兼請求書(様式第1号)」と「宣誓書・同意書(様式第2号)」を入手し、申請者情報、振込先口座、雇用保険被保険者数などを記入します。申請書類は、市ホームページからのダウンロードに加え、市役所本庁舎1階総合案内や受付窓口でも配布するとチラシで案内されています。 被保険者数は「市内事業所に勤務している被保険者数のみ記載」と明記されているため、客観資料と一致させることが重要です。
添付書類として、確定申告書の写し(法人は直近の法人税確定申告書)、口座情報が分かる通帳等の写し、従業員数(被保険者数)を確認できる書類を準備します。被保険者数の確認資料として「事業所台帳異動状況照会」等が必要な場合には、市が掲載する「雇用保険適用事業所情報提供請求書」を用意し、所管の窓口で手続きを進めます。
書類が揃ったら、受付窓口へ直接提出します。旧三次市内に所在地がある事業者は三次商工会議所、作木・布野・君田・三良坂・三和・吉舎・甲奴の地域の事業者は三次広域商工会が受付窓口とされています。郵送受付は行わないこと、また各支所窓口は曜日によって閉所している旨が注意書きで示されていますので、提出前に必ず確認してから向かいましょう。 なお制度内容に関する問い合わせ先として、三次市の商工観光課(商工労働・企業誘致係)が案内されています。申請書類の作成前に要件判断で迷う場合は、手戻りを防ぐためにも、まず公式窓口で確認するのが確実です。
まとめ
三次市物価高騰対応中小企業者経営・雇用維持支援金は、物価高騰の影響を受ける中小企業 支援として、基礎額5万円に雇用保険被保険者数に応じた加算を行う設計が特徴です。雇用を維持しながら事業継続を図る事業者ほど支援が厚くなる一方で、所在地要件や収入・申告要件、市税完納、同趣旨の補助金等の不受給確認など、押さえるべきポイントは多岐にわたります。
制度の詳細や最新の取扱いは更新され得ますので、申請前には必ず公的機関サイトで最終確認を行ってください。
申請書類の作成や要件整理に不安がある場合は、広島県内で補助金・支援金申請を扱う行政書士に相談できることも選択肢の一つです。


