




院長先生が、夜遅くまでカルテに向かっていらっしゃる
診療が終わったあと、夜遅くまでお一人で
カルテを書いていらっしゃいませんか。
動物看護師の方を募集しても、
なかなか応募が集まらないのではないでしょうか。
多くの院長先生が抱えていらっしゃる、切実なお悩みだと思います。
令和8年2月の東京商工リサーチの調べでは、
動物病院の倒産は令和6年度に5件でした。
令和7年度は1月までの10か月で8件と、
2年続けて過去最多を更新しました。
原因には、他院への患者の流出や、
高度な医療機器の導入資金、人手不足が挙がっています。
手間のかかる作業を機械に任せるとき、
その費用の2分の1(常勤5名以下の病院は3分の2)を国が補助する制度があります。
「中小企業省力化投資補助金」の「一般型」です。
当事務所で、第1回から第6回までの公式の採択一覧に載る7,684件を、
すべて照合いたしました。
動物病院など獣医療の採択は、少なくとも73件にのぼります。

私は、JJK応援道で社長様を応援しています
私は、広島県三次市の行政書士、高杉将寿です。
JJK応援道。情熱(J)・情報(J)・金融(K)の3つで、頑張る社長様を支える応援団長です。
- 情熱(J) 誠心誠意、社長様に寄り添います
- 情報(J) 制度や最新技術の動きを、いち早くお届けします
- 金融(K) 補助金や資金繰りで、会社を支えます
経営者の皆さんに役立つ情報を、毎日配信しています。








人手不足の倒産が、半年で過去最多の240件
東京商工リサーチは令和8年10月5日、
令和8年度上半期(4〜9月)の「人手不足」倒産が240件だったと公表しました。
前の年の同じ時期より17.0%多く、上半期として過去最多です。
人手不足の倒産240件のうち、130件は「人件費高騰」が原因で、
前の年の1.7倍に増えました。全体の54.1%です。
業種別では、サービス業他が91件、建設業が55件で、この2つで60.8%です。
資本金1千万円未満の会社は159件で、全体の66.2%を占め、
前の年より33.6%増えました。
記事は、賃上げの圧力が、中小企業の資金繰りの悪化に拍車を掛けていると指摘しています。
10月以降に全国で最低賃金が上がり、「賃上げ疲れ」が表に出てきているとも結んでいます。
ただし、数えているのは負債1,000万円以上の倒産だけで、
動物病院が何件含まれるかは公表されていません。
広島県の最低賃金は、10月11日から時給1,141円になります。
56円の引き上げで、令和4年度の930円から数えると、4年で211円上がりました。
最低賃金法(昭和34年法律第137号)第4条第1項は、
使用者は最低賃金額以上の賃金を「支払わなければならない」と定めています。
受付やパートで働く方の時給の下限は、法律で決まり、上がり続けています。










補助金は、知って活用する病院を助ける







情報は、病院を守る武器です。
国の補助金は、制度を知り、実際に活用された病院を助けてくれます。
人件費は、法律で下限が決まっていて、簡単には下げられません。
変えられるのは、同じ人数でも無理なく回る働き方のほうです。
そのための機械の費用を、国が補助してくれます。
ただし、補助金を受け取れるのは、申請された病院だけです。
公募要領(募集のルールをまとめた冊子)も採択一覧も、
どなたでも無料でお読みいただけます。
とはいえ、お忙しい院長先生が診療の合間に目を通されるのは難しく、
動物病院も対象になることは、まだ十分に知られていないように感じます。
採択一覧を読むと、動物病院など獣医療の採択は、
第2回が3件、第3回が10件、第4回が12件、第5回が31件、第6回が17件です。
第1回は、確認できたものが0件でした。
全業種では、申請11,720件のうち7,684件、約65.6%と、
およそ3件に2件が採択されています。
動物病院だけの採択率は公表されていません。
計画名に含まれる言葉で数えると、機械に任せる仕事も見えてきます。
CTが6件、麻酔が4件です。
ICU(集中治療用の入院設備)と眼科が3件ずつ、
レントゲンのデジタル撮影(DR)、器材の洗浄、内視鏡が2件ずつです。
電子カルテ、画像を保管するしくみ(PACS)、
生成AI、腹腔鏡と関節鏡を掲げた計画も、
1件ずつあります。
札幌市の北海道動物運動器病院は、
第2回で手術器材の洗浄・滅菌の計画が採択されました。
令和7年12月31日のお知らせによると、
大型の自動洗浄機と、高温高圧滅菌と低温滅菌ができるハイブリッド滅菌器を導入する計画です。
手作業の多い「器材消毒作業5−10回分を一度に集約自動化する」
ものだと説明されています。
静岡県島田市の渡辺動物病院は、
第4回で「電子カルテ、自動精算機、連携による業務効率化と付加価値創出」が採択されました。
三重県津市のルナ動物病院(株式会社ルナ)は、
第5回で「AI搭載CT導入による生産性向上と高度獣医療体制の構築」が採択されています。
補助金との関係は書かれていませんが、9月2日の病院のお知らせでは、
64列CTの本格稼働が伝えられました。
全症例を専属の画像読影専門医が読影し、
原則3日以内に診断書を受け取れる体制とのことです。
広島県内でも、少なくとも4件あります。
東京都の12件、大阪府の8件、愛知県と千葉県の5件ずつに次ぎ、埼玉県と並ぶ数です。
- 第3回 福山市の株式会社アスカコーポレーション
「DXで地方動物医療を変革し、飼い主様とペットの健康を実現する」 - 第4回 個人で開業されている病院
「高度画像診断・ICU整備による高付加価値一次診療体制の構築事業」 - 第6回 個人で開業されている病院
「広島県内の動物病院の画像診断の省力化による一次診療機能の強化」 - 第6回 広島市安佐北区の株式会社vetartz
「整形外科専用システム導入による診療省力化・高度医療内製化計画」
なお、73件は公開情報で確かめられた下限で、牛や馬の診療2件も含みます。
病院の数とは異なります。
採択は、計画が認められたという意味です。
導入の完了や効果、CTを入れれば、必ず採択されることまでを示すものではありません。
それでも、同じお悩みを抱える全国の病院が、すでに国の補助で手を打ち始めています。

























県北の動物病院が、採択一覧から一歩を踏み出す
たとえば、広島県北部の町にある、院長先生のほか、獣医師1名、動物看護師4名、
受付2名の常勤7名の動物病院(架空の例)を考えてみます。
1日の診察が仮に30件なら、カルテの清書は1件7分として毎晩3時間半です。
院長先生は、それを診療が終わった夜に、お一人でこなしていらっしゃいます。
尿検査は1日8件です。
動物看護師の方が遠心分離機にかけ、顕微鏡で確認し、結果をカルテに書き写しています。
1件に12分かかり、その間は入院中の子の様子を見に行くことができません。
会計は1日25件です。
受付の方がカルテを見ながら金額を打ち直し、お釣りをお渡しし、
夜はレジの現金を数えて照合しています。
1件に6分かかるため、夕方には、お会計をお待ちの飼い主様の列が途切れません。
10月11日からは、最低賃金も1,141円に上がります。
人を増やす余裕はなく、今の人数で回していくしかありません。
東京商工リサーチが示した「人件費高騰」による倒産は、
この病院にとっても他人事ではないはずです。
ある晩、院長先生は、補助金の公式サイトで採択一覧を開かれました。
静岡県の動物病院が「電子カルテ、自動精算機、連携」の計画で採択されていると知り、
「うちでもできるかもしれない」とお考えになります。
まず1週間、どなたが、何に、何分かけているかを測られました。
そのうえで、一般型で次の3つを「つなぐ」計画をお立てになります。
- 話した内容から下書きを作る、音声入力の電子カルテ
- 尿の自動分析装置
(たとえばIDEXXの「セディビューDx」は、メーカーの説明では約3分で結果と画像が出ます) - カルテから金額を受け取る自動精算機
肝心なのは、機械を購入することではなく、機械どうしをつなぐことです。
ばらばらに導入すると、結局どこかで書き写しが残ります。
一般型では、汎用の機械を1つ購入するだけでは対象にならず、
組み合わせて省力化の効果を高める計画などが対象です。
一般型の公式の活用事例集(令和8年5月21日)にも、よいお手本があります。
製造業の株式会社エステックは、測る機械と、検査成績書を自動で作るソフトをつないで、
1回80分の検査を15分に短縮されました。
車検を手がける有限会社オートサービスふじいは、
検査機器をつないで、測定値をシステムへ送る形にされました。
1日の検査作業は、約6.9時間から約0.9時間に短縮されています。
どちらも、測ることと報告することを、まとめて機械に任せた例です。
費用は、仮に機械とシステムで合計1,200万円(税抜)とします。
一般型は、1つ50万円(税抜)以上の機械やシステムを、
少なくとも1つ導入することが条件です。
常勤7名の病院なら補助の上限は1,500万円、補助率は2分の1なので、補助は600万円になります(ほかの要件を満たす前提)。
導入したあとも、手作業はゼロにはなりません。
仮に、カルテはAIの下書きを直す作業が1件2分残り、
確かめる手間が新たに1分かかるとします。
尿検査は1件3分と機械の管理1分、会計は1件2分と例外の対応1分です。
試算では、1日にカルテで120分、尿検査で64分、会計で75分、
合わせて259分、約4時間20分のゆとりが生まれます。
年240日の診療なら、約1,036時間です。
公募要領が示す「省力化指数」(減らせる作業時間の割合)に当てはめると、
1日456分かかっていた作業が197分になるので、約57%です。
ただし、この数字は、作業が重ならず、
測った時間が裏づけられる場合に限られます。
生まれた時間が、そのまま現金の利益になるわけでもありません。
院長先生がカルテに向かわれる時間は、
毎晩3時間半から1時間半に減ります。
生まれた2時間は、翌日の手術の準備や、
飼い主様へのご説明の用意にお使いいただけます。
ご自身のお体を休める時間にもなるはずです。
動物看護師の方は、尿検査の書き写しから離れ、入院中の子の観察や、
退院のときの飼い主様へのご説明に時間を充てられます。
専門の知識を、本来の看護に生かせる働き方です。
受付の方は、会計の打ち直しが減り、
初診や急患のお電話に落ち着いて応じられます。
飼い主様にとっても、お会計の待ち時間が短くなり、
より丁寧なご説明を受けられるようになります。
一般型は、賃上げと一体の制度です。
3〜5年の事業計画では、労働生産性(従業員1人当たりが生み出す付加価値)を、
年平均4.0%以上伸ばすことが求められます。
従業員1人当たりの給与の総額を、年平均3.5%以上増やすことも条件です。
病院の中でいちばん低い時給も、
地域の最低賃金より30円以上高く保つ必要があります。
広島県なら、10月11日以降は1,171円以上です。
給与や最低時給の目標に届かないと、
原則として、補助金の一部(場合によっては全額)を返すことになります。
この病院では、生まれた時間で説明や検査の質を上げ、
その成果を、動物看護師の方や受付の方の給与に還元していきます。
この院長先生を動かしたのは、採択一覧という、
どなたでも読める情報でした。
人件費が上がり、人手不足の倒産が過去最多になった今、
国の制度をご存じかどうかで、病院の打てる手は大きく変わります。
当事務所は、知識・情報こそ、中小企業の最強の武器だと考えております。
73件の採択を1件ずつ確かめてお届けしているのも、
その情報を出し惜しみしないためです。
人手の足りない中で、動物と飼い主様に向き合い続けていらっしゃる院長先生の隣に立ち、
心から応援してまいります。











明日から、しておきたいこと
まずは、次のことから取りかかってみてはいかがでしょうか。
- 公式サイトの採択一覧から、
「動物」「獣医」「CT」などの言葉で、
自院と同じお悩みに取り組む計画を、
集計した資料を作成しました。
ここまで情報が集約された資料を、私自身見たことがありません。
ご必要な方は、
どうぞお気軽におっしゃってください!! - 1週間、書き写し・会計・器材の洗浄などに、どなたが何分かけているかを測ること
- 機械どうしをつなぐ形で、型番・接続・保守まで含めた見積を取ること(事務用のパソコンやタブレットは対象外です)
- 給与の総額の伸び(年平均3.5%以上)と、院内の最低時給(地域の最低賃金+30円以上)を、先に試算しておくこと
- 補助金は後払いのため、いったん全額をお支払いになる資金の手当ても考えておくこと
- 国の電子申請に使う共通のID「GビズIDプライム」を取得しておくこと
- 発注や契約は、交付決定(採択のあとに出る、補助金の正式な決定)を受けてからにすること
第8回の締切は、10月16日(金)17時です。
第9回の日程はまだ公表されていませんが、
作業時間を測り、見積を取る準備は、今日からでも始めていただけます。
国の制度という情報を知り、自院の業務に合わせて活用されることが、
人手の足りない動物病院を守る確かな一歩になると考えています。
令和8年10月6日時点の内容です。要件や締切は変わることがあります。
出典=東京商工リサーチ https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203295_1527.html / https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202511_1527.html / 省力化補助金 一般型 採択結果 https://shoryokuka.smrj.go.jp/ippan/grant_adoption/ / 同 第8回公募要領 https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/application_guidelines_ippan_08.pdf
行政書士高杉将寿事務所/広島県三次市十日市中2丁目1-3 2階/0824-55-6663

