
刃の欠けた斧で、木こりが必死に木を切っています。
通りかかった旅人が「刃を研いだら、もっと早く切れますよ」と声をかけると、
木こりはこう答えました。
「木を切るのに忙しくて、研いでいる暇はない」
「木こりのジレンマ」と呼ばれる、有名なたとえ話です。
目先の作業に追われて手を止められず、
道具の手入れや段取りの見直しに時間を使えない。
その結果、どれだけ懸命に働いても、
かえって成果が出なくなっていく。
そういう状態を、実にうまく言い当てています。
恥ずかしながら、当事務所がまさにそうでした

正直に申し上げますと、当事務所はこのジレンマに、
きれいにはまっていました。
目の前の期限に追われ、
・次の仕事のためにメモを残す、
・集めた情報を整理してまとめておく、
そうした「あとで自分を助けてくれる作業」に手が回らない。
気づけば、いつも近視眼的なものの見方になっていました。
忙しさそのものは、決して悪いことではありません。
ただ、忙しさを理由に刃を研がなくなると、
同じ一日でこなせる仕事の量が、少しずつ減っていきます。
ヒントは、株式会社武蔵野の「環境整備」

思い出したのが、株式会社武蔵野の「環境整備」でした。
同社では毎朝、朝礼のあとに30分間、
全社員が一斉に、計画に沿って決められた場所の掃除を行います。
特徴的なのは、これが単なる美化活動ではないという点です。
担当場所もやり方も細かく決められ、点検と評価も妥協なく行われる。
就業時間内の業務として位置づけられており、
始業前や終業後の善意のボランティアではありません。
決められた時間内に決められたことを終わらせる、
実行力を鍛えるための訓練です。
つまり、斧を研ぐ時間は「余裕ができたらやるもの」ではなく、
はじめから仕組みとして時間割に組み込むものだった、ということです。
毎日15分、それぞれが斧を研ぐ

そこで、まずこの木こりのジレンマのお話を共有しました。
https://www.youtube.com/watch?v=55_wKbGYkHw
この動画を、全員で拝見しました。
そして、全員のルールを決めました。
毎日15分、それぞれが斧を研ぐ時間をつくります。
やることは人によって違ってかまいません。
・案件のメモを整えても、
・法令改正の情報を追っても、
・新しいAIの使い方を試してもいい。
・よく使う単語を漢字変換に登録してもいい。
大切なのは、その15分を業務時間の中に確保し、忙しい日でも削らないことです。

そしてもうひとつ。
休むことも、立派な刃研ぎです。
心と体に余裕がなければ、丁寧な仕事はできません。
当事務所のモットーは「人を雑に扱わない」。
お一人おひとりを、親切に、丁寧にお取り扱いすること。
そのためには、まず自分たちの刃を整えておく必要があります。
慌てて振り下ろされた鈍い斧では、大切な木を傷つけてしまいます。
もし皆さんも、手を止める余裕がないと感じておられるなら、
まずは15分だけ、ご一緒に斧を研ぐ時間をはじめてみませんか。

