助成金とは、国が会社に出してくれるお金のことです。
銀行からの借入れとちがって、原則として返す必要はありません。
社員を1人でも雇っている会社なら、
もらえるかもしれない助成金がたくさんあります。
今回は、その中から特に使いやすい2つを、
できるだけやさしくご紹介します。
いちばん大事なことを、先にお伝えします。
助成金は、「始める前に、国に計画を出した会社」だけがもらえます。
研修をしたあと、正社員にしたあとで申し込んでも、1円ももらえません。
| 助成金 | こんなときに | もらえるお金 |
|---|---|---|
| ① 研修の助成金 | 社員に新しいことを学んでもらいたい | 研修代の4分の3(75%)など |
| ② 正社員の助成金 | パートさんなどを正社員にしたい | 1人最大80万円 |
※どちらも、雇用保険に入っている会社が対象です。金額は中小企業の場合です。
① 研修の助成金(人材開発支援助成金)
どんな助成金?
社員に研修を受けてもらうと、
その費用を国が手伝ってくれる助成金です。
正式には「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」といいます。
たとえば、こんな研修が考えられます。
- 新しい商売を始めるための勉強
- パソコンやAIを使って、仕事を楽にするための勉強
- 電気代を減らすなど、省エネのための勉強
いくらもらえる?
- 研修代の4分の3(75%)が戻ってきます。
- 研修を受けている時間の分も、1時間につき1,000円もらえます。
たとえば、20万円・20時間の研修を、社員2人が仕事の時間中に受けたとします。
- 研修代の分:20万円 × 75% × 2人 = 30万円
- 時間の分:1,000円 × 20時間 × 2人 = 4万円
- 合わせて34万円が戻ってくる計算です。
気をつけること
- 研修は、10時間以上必要です。
- 研修が始まる1か月前までに、国(労働局)へ計画を出します。
- この助成金は、2027年3月で終わる予定です。早めの準備が安心です。
手続きの流れ
- 社内で、社員の育成を進める担当者を決める
- 会社としての育成の計画をつくり、社員に知らせる
- 研修の計画を、労働局に出す(研修の1か月前まで)
- 研修を受ける
- 研修が終わってから2か月以内に申し込む
② 正社員の助成金(キャリアアップ助成金)
どんな助成金?
パート、アルバイト、契約社員の人を正社員にすると、
もらえる助成金です。
「がんばってくれているあの人を、正社員にしたい」。
そんなときに使えます。
正式には「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」といいます。
いくらもらえる?(1人あたり)
| 正社員にする前の働き方 | 下の条件に当てはまる人 | それ以外の人 |
|---|---|---|
| 契約の期間が決まっている人 | 80万円 | 40万円 |
| 契約の期間が決まっていない人 | 40万円 | 20万円 |
「条件に当てはまる人」とは、たとえば次のような人です。
- 3年以上、契約社員などとして働いている人
- これまで、正社員として働いた期間がとても短い人
- 派遣社員、ひとり親の人 など
くわしい条件は、一人ひとり確認が必要です。また、正社員になれるルールを会社に新しく作ると、さらにお金が上乗せされることもあります。
気をつけること
- 正社員にする前に、「キャリアアップ計画」という計画書を労働局に出します。
- 会社のルール(就業規則)に、正社員になれる仕組みを書いておきます。
- 正社員にする前に、6か月以上働いてもらっている必要があります。
- 正社員にしたら、お給料を3%以上上げる必要があります。
- 正社員になってから6か月分のお給料を払ったあと、2か月以内に申し込みます。
「先に正社員にして、あとから申し込もう」では、もらえません。ここがいちばんの注意点です。
③ 2つの助成金は、組み合わせることもできます
たとえば、パートのAさんがいるとします。
- まず、2つの助成金の計画を、両方とも先に出しておく
- Aさんに研修を受けてもらう → 研修の助成金をもらう
- 力をつけたAさんを正社員にする → 正社員の助成金をもらう
こうすると、1人の社員で2つの助成金をもらえる可能性があります。Aさんはスキルが身につき、安心して働けます。会社は人が育ち、お金の負担も軽くなります。
ただし、計画を出す順番とタイミングがとても大切です。組み合わせたいときは、早めにご相談ください。
④ ふだんの書類を、きちんとそろえておきましょう
助成金を申し込むときは、会社がふだんから社員をきちんと管理しているかを見られます。次の書類があるか、一度確かめてみてください。
- 働く条件を書いた書類(労働条件通知書・雇用契約書)
- 出勤の記録(タイムカードなど)
- お給料の記録(賃金台帳)
- 会社のルールブック(就業規則)
- 残業をするための、会社と社員の約束(36協定)
- 雇用保険・社会保険の手続き
書類の中身が食い違っていると、助成金がもらえないこともあります。社員が安心して働ける会社づくりのためにも、この機会に見直してみましょう。
まとめ
- 助成金は「先に計画を出す」のが、いちばん大事なルールです。
- 研修の助成金は、2027年3月で終わる予定です。
- ふだんの書類を、きちんとそろえておきましょう。
行政書士高杉将寿事務所にご相談ください
「うちでも使えるのかな?」「何から始めたらいいの?」。
そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
当事務所は「人を雑に扱わない。一人一人を親切に丁寧に」をモットーに、
お一人おひとりのお話をじっくりうかがいます。
社員の雇用に関する助成金の申し込みは、
社会保険労務士という専門家のお仕事です。
当事務所では、提携している社会保険労務士と一緒に、
最初のご相談から申し込みまでしっかりサポートします。
※この記事は2026年11月時点の情報です。
制度は変わることがありますので、
最新の内容は厚生労働省や労働局の案内でご確認ください。

