会計ソフトに最大350万円、パソコンにも最大10万円。きのう、2社に1社が採択されました ― 社長、それでも全額自腹で買いますか?差がつくのは、才能でも、資金力でも、ありません。“知っているか”どうか、なんです。

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きのう、令和8年7月23日のことです。
ある補助金の審査結果が、発表されました。

「デジタル化・AI導入補助金」。
去年まで「IT導入補助金」と呼ばれていた補助金です。

結果は、インボイス枠で申請した、2社に1社以上が採択。
会計ソフトなら、最大350万円。
いっしょに買うパソコンにも、最大10万円が、補助されます。

「へえ、そんな制度があるんだ」で、終わらせないでください。
今日お伝えしたいのは、制度の説明そのものより、もっと大事なこと。
「知っている会社」と「知らない会社」の、差です。

きのう、2社に1社が通りました

まず、きのうのニュースから、お伝えしますね。
7月23日、中小企業庁が、この補助金の2回目の締切分の採択結果を発表しました。

2次締切分の採択結果(令和8年7月23日発表・中小企業庁)

インボイス枠(インボイス対応類型) … 3,790者中、2,096者が採択 = 採択率 55.3%

通常枠 … 1,879者中、819者が採択 = 採択率 43.6%

※1回目の締切分は、インボイス対応類型46.9%・通常枠43.9%でした。

インボイス枠は、前回の46.9%から、55.3%へ。
じつは、通りやすくなっているんです。

ざっくり言えば、2社に1社以上が、通る。
補助金の世界では、これは、かなり高い数字です。

ただ、この「5割」という数字の意味は、
あとで、もう一度お話しさせてください。

じつは、宝くじの「5割」とは、ぜんぜん違うものだからです。

会計ソフトも、パソコンも ― 対象は、こんなに身近です

では、何に、いくら補助されるのか。
お金の話を、しますね。

【補助のめやす】 インボイス枠(インボイス対応類型)

会計・受発注・決済のソフト … 最大350万円 / 補助率は3分の2から

パソコン・タブレット … 最大10万円 / 補助率 2分の1

レジ・券売機 … 最大20万円 / 補助率 2分の1

※ソフトの補助率は、金額と会社の規模で変わります。
50万円以下の部分は、中小企業で4分の3以内、小規模事業者で5分の4以内です。

会計ソフト以外のITツールを入れたいなら、「通常枠」もあります。
こちらは最大450万円。

そして、うれしいのは、対象の広さです。
個人事業主の方も、フリーランスの方も、要件を満たせば対象です。
クラウドのソフトなら、利用料も最大2年分まで、見てもらえます。

しかも、この補助金は、ひとりで戦う補助金では、ありません。
登録された「IT導入支援事業者」、
つまり販売店さんが、申請をいっしょに進めてくれます。

補助金がはじめての方でも、伴走者つきで、進められるということですね。

※ツールは、事務局に登録された製品から選ぶ形です。
パソコンは単体でなく、ソフトとセットで対象になります。

※申請には「GビズIDプライム」というアカウントと、
「SECURITY ACTION」という情報セキュリティの自己宣言が要ります。
IDの発行に2週間ほどかかるので、お早めに。

ワークマンは、Excelで強くなりました

ここで、少しだけ、有名な会社の話をさせてください。
作業服の「ワークマン」を、快進撃に導いた土屋哲雄さんの話です。

私なりの言葉で、受け取った中身を、まとめてみますね。

ワークマンの「エクセル経営」

土屋さんが選んだのは、高価なAIシステムではなく、
どの会社にもあるExcelでした。

全社員が関数を学び、ふつうの社員が、
自分でデータを見て考える会社に変わっていったそうです。

※出所:土屋哲雄『ワークマン式「しない経営」』(ダイヤモンド社)、NTT東日本のインタビュー記事。(あくまで、私の解釈による要約です。)

この話が教えてくれるのは、デジタル化の本質だと、私は思っています。

大事なのは、高い道具じゃ、ありません。
道具を使って、仕事の流れと、人の習慣を変えることなんです。

実際、この補助金を使った会社の変化が、事務局の公式サイトに載っています。

実際の例(デジタル化・AI導入補助金 事務局公式「ITツール活用事例」より)

飲食の杏亭グループ … POSレジ&オーダーの導入で、会計ミスが9割減、客単価は2割アップ。

貸衣装の株式会社エヴァーズ … 業務の一元化で、残業時間が10分の1に。

林業の有限会社天女山 … 3Dの地図ツールで、森林調査の人員が約8割減。

※出所:事務局公式サイトの公表事例。効果の大きさは、会社や使い方によって変わります。

残業が10分の1。調査の人手が8割減。
道具が、売上を運んでくるわけでは、ありません。

道具は、「時間」を返してくれるんです。
返ってきた時間で、何をするか。
そこからが、社長の腕の見せどころなんです。

採択率5割は、「運」の話ではありません

さて、先ほどの「2社に1社」の話に、戻ります。
採択率5割と聞くと、コイン投げのように、聞こえるかもしれません。

でも、審査の現場で起きているのは、運くらべでは、ないんです。

この補助金には、「加点」という仕組みがあります。

たとえば、社内の最低賃金を引き上げる計画を、従業員さんに表明する。
そうした項目をきちんと積んだ会社が通りやすく、何も知らずに出した会社が、落ちやすい。

つまり、半分が落ちる試験で、合否を分けているのは、準備なんです。

正直に言うと、私はこの数字を見るたび、少しもどかしくなります。
落ちた半分の中には、準備さえ知っていれば通ったはずの会社が、きっとあるからです。

もうひとつ、大事な変化があります。

今年からは、過去(2022〜2025年)にIT導入補助金の交付決定を受けた会社は、
減点の対象になるとされています。

裏を返せば、はじめて申請する会社ほど、有利な設計になっている、ということ。

「うちは補助金なんて、使ったことがないから」と、
ためらっていた会社にこそ、追い風なんです。

※加点・減点の項目は、事務局の公募要領に載っています。
申請前に、必ず最新版をご確認くださいね。

 もらって終わり、に、しないでください

そして、これは、いつもお伝えしていることですが。
補助金は、もらって終わりでは、もったいないんです。

たとえば、70万円以上のソフトウェアは、
中小企業経営強化税制という税制優遇の対象になり得ます。

入口になるのは、「経営力向上計画」という、国の認定制度です。
補助金でお金をもらい、税制でも優遇を受ける。

二段構えで、手元に残るお金が変わってきます。

※税制の適用や申告のご判断は、税理士さんの領分です。
要件・期限も含めて、税理士さんにご確認ください。
当事務所は、計画づくりの入口の交通整理を、お手伝いします。

次の締切は、8月25日です

最後に、いちばん大事な、日付の話です。

次(4次)の締切は、8月25日(火)17時。
交付決定は、10月7日の予定です。

その先の締切は、まだ公表されていません。
準備は、今のうちに。

GビズIDプライムの発行に、2週間ほど。
ツール選びと計画づくりにも、時間がかかります。

「8月に入ってから考えよう」では、正直、間に合わないかもしれません。

ちなみに、ソフトよりも、
チラシやホームページなど販路開拓なら、小規模事業者持続化補助金。

ロボットや券売機などの機械なら、
中小企業省力化投資補助金という道もあります。

おわりに ―― 差は、毎年ひらいていきます

知っている会社は、毎年のようにこの補助金を使って、次の投資へ進んでいきます。
知らない会社は、同じソフトを、同じパソコンを、全額自腹で買っています。

その差は、才能でも、資金力でも、ありません。情報です。

本ブログが、その差を埋めることができましたら、
大変嬉しく思います。

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