毎日のように流れてくる情報漏えいのニュースを、
どのようなお気持ちでご覧になっていますか。
「大変だな」と思いながらも、
どこか他人事として見過ごしてはいないでしょうか。
今日は、他社の事件を「我が社の問題」として捉え、
今すぐ対策を打っていただくために、
身近なAIの使い方を例にお話しします。
目次
- 情報漏えいのニュースが、続いています
- そのAI、会社の契約で使っていますか?
- 税理士会のガイドラインが「ものさし」になります
- ガイドラインが示す3つの鉄則
- 検討しないまま使うことの怖さ
- 人の振り見て、我が振り直せ
- 高杉からひとこと
情報漏えいのニュースが、続いています
タイムズカーを運営するパーク24は、2026年10月23日、
不正アクセスに関する調査結果を公表しました。
外部に送信された痕跡が確認された本人確認書類の画像は、約146万件にのぼります。
異常なアクセスを検知したのは9月25日。
原因は、Webシステムにあった脆弱性が悪用されたことだと説明されています。
大企業でさえ、このようなことが起きます。
そして、一度外に出てしまった情報は、二度と元には戻りません。
お客様や取引先からの信用、被害への対応、
場合によっては事業そのものに関わります。
これは決して、大企業だけの話でも、他人事でもありません。
だからこそ経営者は、他社の事件を見たときこそ、
「我が社は大丈夫か」と立ち止まり、
情報の扱いを見直さなければならないと思います。
そのAI、個人契約ですか? 会社の契約で使っていますか?
ClaudeやGemini、ChatGPTなどの生成AIを、
お仕事で使っておられる方も多いと思います。
では、そのAIは、法人として契約したものでしょうか。
無料版や個人向けのプランでは、
設定によって、入力した文章がAIの改良に使われることがあります。
社員の方が、ご自分のスマートフォンの、
個人のアカウントのAIに、お客様の名前や取引の数字を入れていないでしょうか。
便利さの陰で、会社が把握していない「情報の出口」ができているかもしれません。
税理士会のガイドラインが「ものさし」になります
ここで参考になるのが、先日もこのブログでご紹介した、税理士会のガイドラインです。
日本税理士会連合会は、令和8年9月30日、「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」(Ver1.0)を公表しました。
ガイドラインの原文は、税理士の先生方しか見ることができません。 それでも、原文をもとに書かれた、さまざまな税理士さんの解説記事によって、全体像をつかむことができます。
税理士の先生方は、決算書や申告書など、会社の中でも特にセンシティブな情報を扱っておられます。
その税理士の先生方が守るべき基準を満たしていれば、一般の企業も、AIの使い方について、しっかりとした水準をクリアできるのではないかと思います。
ガイドラインが示す3つの鉄則
大事なことは、このガイドラインが「AIを使うな」とは言っていないことです。 安全に使うための鉄則として、次の3つが示されています。
- 企業向けのプランを契約する(無料版や個人版は、データの扱いを約束する契約が結べないため使わない)
- DPA(データ処理契約)を結び、入力した情報をAIの学習に使わせない設定にする
- 事務所のルールを作り、職員に教える
お客様の情報が入る仕事は、企業向けのプランだけで行う。 法令や公開されたニュースの要約なら、無料版でもかまわない。 仕事の中身によって使い分ける、という整理です。
御社に置き換えるなら、「お客様の情報」を、「取引先や社員の情報、社外秘の資料」と読み替えていただければよいと思います。
検討しないまま使うことの怖さ
ところが実際には、こうした検討をまったく行わないまま、業務でAIを使っておられる方が少なくありません。 これは、本当に危険なことだと思います。
個人情報の保護に関する法律の第24条は、会社に対して、従業者への「必要かつ適切な監督」を求めています。
社員の方が個人の判断で使ったAIから情報が漏れたとき、「知らなかった」では済みません。 責任を問われるのは、会社であり、経営者です。他社の事件を知りながら何もしていなかった、ということになれば、なおさらです。
人の振り見て、我が振り直せ
「人の振り見て、我が振り直せ」という言葉があります。今、私たちの目の前でも、天災による痛ましい被害が起きています。
その惨状を、自分のこととして捉え、「自分が同じ目に遭わないためには、どうしたらよいか」を考える人と、考えない人がいます。
さらに、考えたうえで行動に移す人と、移さない人がいます。 この差が、いざというときに、大きな差となって表れると思います。
情報漏えいも、まったく同じです。災害やトラブル、そして他社の情報漏えい事件は、我が社を見直す大切なきっかけです。
ニュースを見て「大変だな」で終わらせるのか。 「うちの会社は大丈夫だろうか」と立ち止まり、今日、一つでも確かめてみるのか。
その小さな一歩が、会社と、社員と、大切なお客様を守ることにつながります。
高杉からひとこと
他社の事件を知った今が、対策を打ついちばんの機会です。まずは、社長様ご自身と社員の方が使っているAIが、会社の契約なのか、個人の契約なのかを確かめてみてください。 それだけでも、大きな一歩です。
また、決算書をお預けしている顧問の税理士の先生に、AIを使うときにどのように情報を守っておられるか、うかがってみてはいかがでしょうか。 きっと、御社のルールづくりのご参考になると思います。
「こんなことを聞いていいのかな」という小さな疑問でも、どうぞお気軽にご相談ください。

