知っていると知っていないで、大違いです。上手な会社のたたみ方、ご存じですか?

ブログ

ニュースを見れば、「倒産」の話題が、ほんとうに増えました。
そして残念なことに、私の身のまわりでも、こんな相談を受けることが、増えてきました。

「上手に、倒産するには、どうしたら、いいんでしょうか。」

残念ながら、このような切実なご相談をお受けする事が、最近多いです。

私も同じ事業主として、その辛さが本当によく分かります。

事業は、わが子と同じだから

正直に、書きます。

サラリーマンの時の私は、「倒産」や「廃業」を、
頭では理解していても、心では分かっていませんでした。

でも、自分で事業を興して感じます。

私は、いつもそう思っています。

事業は、わが子と同じ。

手塩にかけて、育ててきた。
眠れない夜も、いくつも超えてきた。

その事業をたたむというのは、わが子を手放すのと、同じ辛さなんです。

その気持ちは、同じ事業主として、ほんとうに、よく分かります。
だから私は、軽々しく「もう、やめたら?」なんて、とても言えません。

そうだとしても、伝えたい!「会社のたたみ方」には、上手・下手があります

ただ、ここからが、今日いちばん、お伝えしたいことです。
同じ「事業をやめる」でも、その閉じ方ひとつで、その後が、大きく変わります。

上手な「たたみ方」をしないと、
残せるはずのものまで、残せなくなる。

いたずらに、傷口を、広げてしまうんです。

ここで、ひとつ、知っておいてほしい言葉の違いがあります。

「倒産」と「廃業」は、似ているようで、中身がちがいます。

廃業は、自分の意思で「ここで終える」と決めて、たたむこと。

借入がなくても、後継者がいないとか、体力的に難しいとか、そんな理由でも、選べます。

いっぽう倒産は、支払いが立ち行かなくなって、
やむなく事業が破綻してしまう状態です。

自分でハンドルを握って、いちばん傷の浅いところで、降りる。

それが、「上手な廃業」です。

(どちらも、法律の手続きの名前ではなく、ふだんの言葉づかいです。)

そして、いちばん大切なのは、「早さ」です。

早く動くほど、傷は浅くてすみます。

放っておくほど、深くなる。

「もう少し頑張れば」と、無理な借金で延命するのが、

いちばん傷を深くするんです。

傷を、浅くするための、道しるべ

では、具体的に、どうすればいいのか。

私が社長さんにお伝えしている道しるべを、四つ、書いてみます。

【ひとつめ】 閉じる前に、「譲れないか」を考える。

いきなり閉じる前に、「誰かに引き継げないか」を、まず考えます。

従業員さん、取引先、あるいは第三者へ。

引き継げる相手は、案外、近くにいるかもしれません。

譲れれば(売れれば)、お客様や働く人への影響を、いちばん小さくできます。

「閉じる」のは、最後の手段。まずは、引き継げる道がないかを、探すんです。

【ふたつめ】 苦しいなら、早めに専門家・公的窓口へ。

もし、借入や保証が重くて苦しいなら――
どうか、早めに、専門家や公的窓口に相談してください。
ひとりで抱えていると、選べたはずの道が、どんどん狭くなってしまいます。

連帯保証があっても、いきなり自己破産しかない、とは限りません。
「経営者保証に関するガイドライン」という国主導のルールにもとづいて、
金融機関との話し合いで、保証を整理できる場合があります。

この枠組みでは、一定の生活費にあたるお金や、
華美でない自宅などを、手元に残せる可能性がある、とされています。

ただし、これはケースごとの判断で、必ず残せると約束されたものではありません。

(債務や保証の整理は、弁護士の専門分野です。
当てはまるかどうかは、早めに弁護士や公的窓口へご相談ください。)

【みっつめ】 手元を守る「安全網」を確かめる。

もし、小規模企業共済に入っておられたら、これは心強い味方になります。

廃業のときに、積み立ててきたお金にもとづく給付(共済金)を、受け取れます。

これは補助金ではなく、ご自身がコツコツ積み立ててきた、ご自分のお金です。

廃業の準備資金を低い金利で借りられる「廃業準備貸付け」(50万円〜1,000万円)も、
あります。

今までかけておられた生命保険を担保に、お金を借りられることもあります。

【よっつめ】 もう一度の挑戦を、後押しするお金。

もう一度挑戦される方には、返済のいらない補助金もあります。

事業承継やM&Aにあわせて古い事業を整理し、
新しい一歩を踏み出すための「事業承継・M&A補助金(廃業・再チャレンジ枠)」です。

令和8年は、6月19日から7月24日まで、申請を受け付ける予定です。

(補助の上限額や対象経費は、公募の回ごとに変わります。
最新の公募要領で、必ずご確認ください。)

とにかく、知ってほしい。ひとりで抱え込まないで

ここまで、いろいろと書いてきました。

でも、私がほんとうに伝えたいのは、制度の名前ではありません。
事業をたたむのは、負けでも、恥でも、ありません。

上手に閉じれば、残せるものが、残せます。
従業員さんも、取引先も、ご家族も。そして、あなた自身の、次の一歩も。

だから、上手な「たたみ方」を、知っておいてほしいんです。

そしてもし、あなたの身近に、ひとりで悩んでいる社長さんがいたら――

どうか、教えてさしあげてください。

「こういう道が、あるらしいよ」と、ひと言、声をかけるいただきたいのです。

そのひと言で、誰かが救われるかもしれないのです。

おわりに ―― ひとりで、抱えこまないで

事業をたたむ話なんて、できれば、したくありません。

私も書いていて、何度も胸がつまりました。

でも、「いざとなれば、こういう道がある」と知っているだけで、
気の持ちようが、少しちがってきます。

まずは、知っておく。それで、いいと思います。

そして苦しくなったら、どうかひとりで抱えこまないでください。
また、苦しそうな方がいらっしゃれば、お早めに、声をかけてください。


実のところ、それがいちばんその方にとって
救いになることかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました