上司は何%正直であるべきか?映画の中のロボットから学ぶ正解と、なぜ100%正直であることがいけないかの理由

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「お前の、正直レベルは?」
今朝の日経新聞のある記事は、
なんと、こんな映画のセリフから、始まっていました。

宇宙飛行士が、相棒のロボットに、たずねる場面です。
ロボットの答えは、「90%」。

今日は、その「10%」について書きたいと思います。

映画で、世界を教えてくれた恩師

本題の前に、少しだけ、昔の話を。
私の恩師は、ほんとうに博学な方でした。

難しい学術の話を、映画のワンシーンになぞらえて、面白く解いてみせる。
そういう、忘れがたい先生でした。

だから今朝、映画の一場面から経済学を説き起こすこの記事に、
私は思わず、恩師の授業を重ねてしまいました。

お書きになられたのは、専修大学の森田公之(もりた・きみゆき)准教授。
組織の経済学が、ご専門だそうです。

テーマは、「フィードバック」。人に、ものごとを伝えることの、難しさでした。

「伝える」は、「情報を渡す」ことではありません

記事を読んで、いちばん、はっとさせられたのは、ここでした。
フィードバックは、ただの「情報の伝達」ではない、という指摘です。

考えてみれば、上司は、部下本人よりも、その人について多くを知っています。
日々の仕事ぶり。ほかの人との比較。

別の部署からの評判。本人の耳には、決して届かない話まで、です。

その上司が、「君は、できていない」と、ありのまま伝えたらどうなるでしょうか。

部下は、自信を失います。やる気も、しぼみます。
ときには、本来出せたはずの力さえ、出せなくなる。

伝えた、その瞬間に、相手の心が動き、明日からの行動まで、変わってしまいます。
つまり、フィードバックは、「現状を伝える」だけの作業では、ありません。

それは同時に、「相手のやる気を、左右する」。
そういう、重たい力をもちます。

だから、100パーセントの正直さが、いつも最善とは限らない。
映画のロボットの、90%の正直さの意味があるわけです。

ロボットはいいます。

「完璧な正直さは、時として、

感情を持つ相手を、傷つける」

これこそが、100%正直であってはよくない理由です。
100%正直 = 100%正解ではないのです。

なぜ、いつも褒める人の言葉は、軽くなるのか

では、相手を傷つけないように、いつも褒めていれば、いいのでしょうか。

ここが、この記事の、いちばん面白いところでした。
答えは、はっきりノーです。

いつも褒めてばかりの人の言葉は、だんだん、値打ちを失っていきます。

なぜか。
「すごいね」が口ぐせの人に「すごいね」と言われても、
心は、ちっとも動きません。それは、ただの、音です。

逆に、ふだんは厳しい人が、めったに言わない人が、
ぽつりと「よくやった」とこぼす。
その一言は、不思議なほど深く、胸に刺さります。

同じ「褒める」なのに、値打ちが、まるで違う。

言葉の重みは、その人がふだん、
どれだけ正直でいるかによって、決まっているというのです。

褒めすぎれば、言葉は軽くなる。けなしすぎれば、相手が、つぶれる。

正直さとは、安売りすれば、
値打ちの下がっていく通貨のようなものなのかもしれません。

ここぞ、という時に、本当のことが、ちゃんと届くように。
言葉を、安売りしない。正直さの値打ちを、落とさない。
90とは、その値打ちを守るための、線なのだと思います。


率直さだけでは、相手を、傷つけて終わる。
優しさだけでは、相手を、甘やかして終わる。

この二つが、そろってはじめて、あの「90点」という、
絶妙な線が引けるのだと思います。

① 相手を、傷つけない。
② 言葉の、値打ちを守る。
③ そして、次の一歩へ、背中を押す。

その三つを、いっぺんに引き受けられる線は、たぶん、100でも0でもなく、
90のあたりにしか、ないのでしょう。

何気ない映画のワンシーンの一コマに、
とても大切なことを教わったような気がします。

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