
この連休に、胸がギュッと締めつけられるような、
けれど深い希望をもらえる本当に素晴らしい本に出会いました。
いま話題になっている本なので、ご存じの方も多いかもしれません。
- 本: 『ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで: 家事、介護、そして勉強 それでも僕はこの家から東大に行く』
- 記事: 東洋経済オンライン紹介記事
読み終えたあと、しばらく言葉が出ませんでした。
そして気づけば、家族や親しい方に「この本は絶対に読んでほしい!」と、
熱を込めて薦めていました。
今日は、三次市で日々行政書士として街の相談ごとに向き合っている私、高杉将寿が、
この本を通じて感じたことを少し肩の力を抜いて、けれど本音で書いてみたいと思います。
「生まれた環境」で子どもの未来が決まってしまう社会でいいのか


本書を読んで一番強く突き動かされたのは、
「生まれた境遇によって、人生の階段が決まってしまうような世の中にしてはいけない」
という強い思いです。
どんなに素晴らしい力や意欲を持っていても、
家庭の環境だけでその芽が摘まれてしまうのは、あまりにも悲しいことです。
最近の大学入試は、昔ながらの純粋なペーパーテストだけでなく、
推薦や総合型選抜がとても増えています。
一見すると「個性や多様性を評価する良い変化」、
に見えるかもしれません。
けれど現実にはどうでしょうか。
海外留学の経験や、特別な課外活動の実績など、
「お金や時間のゆとりがある家庭だからこそ用意できる体験」が、
有利になってはいないでしょうか。
事実著者は、東京大学の推薦入試には、不合格となっています。
お金のある家庭の子はより豊かな未来へ進み、
そうでない家庭の子はスタートラインに立つことすら難しい。
そんな「見えない格差の固定化」が、
わが国では、どんどん進んでしまっているように思えてなりません。

さらに本の中では、
「生活保護を受けている世帯の子どもが、大学へ進学することの難しさ」、
にも切り込んでいます。
制度の壁があって、学びたい気持ちがあっても諦めざるを得ない現実があります。
「貧しい家に生まれたら、大学に行って高学歴を目指したり、
自分の人生を切り拓いたりしてはいけないのか?」
著者はそんな厳しい現実のなかから、努力を重ねて東大合格をつかみ取りました。
でも、著者自身が言うように、
それは「1万人に1人」とも言える奇跡に近いルートです。
個人の頑張り物語として美談で片づけてしまっては、
本質を見失ってしまいます。
非営利組織支援や社会事業に、本気で向き合ってきたからこそ、思うこと


私はふだん行政書士として、
非営利組織や社会事業の支援に深く関わっています。
地域の町おこしの方々を支えることは、私のライフワークの一つです。
同時に、地域の経営者団体や勉強会など、
たくさんの経営者の皆さんともご縁をいただいています。
だからこそ、あえて正直に言いたいことがあります。
海外や遠くの支援に目を向けることはもちろん尊いことです。
けれど、
「同じ日本で、同じ言葉を話し、同じ地域にいながら、
声を出せずに困っている足元の若者たち」に対して、
この国や地域の大人たちは少し冷たすぎないでしょうか。
政治や制度の問題だけではありません。
資金も発信力もある民間の経営者や地域の大人たちが、
もっと自分たちの足元で苦しんでいる若者に目を向け、
手を差し伸べるべきではないか。
豊かな大人はその豊かさを、
自分や、同業他社や、
自分の子どもや孫へ受け継ぐばかりに、
想いを巡らせ、
本当に困っている若い世代に、バトンが届いていないことに、
私は強いもどかしさを感じています。
人生を動かしたのは、政治家でも経営者でもなく「一人の市民」だった

この本を読んで一番涙が出そうになったのは、
著者の周りにいた「現場の人たち」の姿でした。
特別な権力を持った政治家や経営者ではなく、
警察官や学校の先生など、ごく普通の「一人の温かい大人たち」が、
あきらめずに著者に手を差し伸べ続けたのです。
著者が東大へ行けたのは、
間違いなくその「温かい一市民」の支えがあったからこそでした。

私が三次という地方で行政書士をやっている原点も、まさにここにあります。
大きな政策を動かす力はなくても、
法律の専門家として、困っている人と行政のあいだに立つ「架け橋」になりたい。
制度の谷間に落ちてしまいそうな人や、
生活保護・公的支援が必要な人に「大丈夫だよ、道はあるよ」、
と手を差し伸べる存在でありたい。
そして自分だけでなく、誰かに優しくできる「温かい一市民」を、
地域の中に一人でも多く増やしていきたいと、心から思いました。
1冊の本が持つ力、そしてAI時代の「人の役割」

こうした大切なことに改めて気づかせてくれたのは、たった1冊の本です。
他人の人生を丸ごと追体験し、
自分の生き方やこれからの仕事を見つめ直すきっかけをくれる。
それが、ランチ1回分や居酒屋の1杯分くらいのお金で手に入るなんて、
日本の本の文化は本当に豊かで素晴らしいものだと思います。
本を大切にしない人や社会には、私は断固としてNOと言いたいです。
この素晴らしい本を世に送り出してくれた著者さん、
そして形にしてくれた編集者・出版社の皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。

私は普段、AIなどの新しいテクノロジーを学び、
仕事に取り入れることにもワクワクしています。
けれど同時に思います。
これからAIが進化すればするほど、多くの仕事が機械に代わり、
職を失ったり生活のセーフティネットを必要とする人がもっと増えていくはずです。
効率化が進むこれからの時代だからこそ、今後必要とされるのは、
「困っている人に気づき、そっと手を差し伸べられる、人間の血の通った温かさ」
ではないでしょうか。
志を同じくする仲間たちとも、
「私たちができる支援や相談のあり方は何だろう?」と、
対話を深めていきたいと思っています。
連休の締めくくりに、本当に大切なことを考えさせられました。
ぜひ、みなさんも手に取ってみてください。心からおすすめします!

