製造業の補助金採択事例を徹底分析 どのような工場が、どんな設備を導入しているのか。過去の事例から考える、補助金を活用した設備 投資の進め方

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  1. はじめに
  2. 1-1. 機械を買うこと自体が目的ではない
  3. 1-2. 特に大切なのは、次の5つ
  4. 2-1. 中小企業省力化投資補助金(一般型)
  5. 2-2. ものづくり補助金
  6. 2-3. どちらを選べばよいのか
  7. 3-1. 金属加工業
    1. どのような設備が使われているのか
    2. 事例① 株式会社中園工業所
    3. 事例② 有限会社矢田化学工業(愛知県)
    4. 事例③ 有限会社トーヨー(東京都)
    5. 事例④ 京王電化工業(東京都)
    6. 事例⑤ 不二製作所(東京都)
    7. 金属加工業から学べること
  8. 3-2. 食品製造業
    1. 事例① 道南伝統食品協同組合(北海道)
    2. 事例② 1,000リットル加熱複合タンクの導入
    3. 事例③ 新しい充填機の導入
    4. 事例④ 有限会社マルヤマシメ本間水産(北海道)
    5. 食品製造業から学べること
  9. 3-3. プラスチック製品製造業
    1. 事例① 双腕ロボットによるインサート成形の自動化
    2. 事例② 冷水筒の一貫生産
    3. 事例③ 成形から検査までの自動化
  10. 3-4. 繊維製造業
    1. 事例① 複合撚糸の新しい生産方式
    2. 事例② 自動裁断機の導入
    3. 事例③ 茶久染色株式会社(愛知県)
    4. 繊維製造業から学べること
  11. 3-5. 電気・電子部品製造業
    1. 事例① 株式会社イー・スクエア(京都府)
    2. 事例② 田中精工株式会社(京都府)
    3. 事例③ エンゼル工業株式会社(京都府)
    4. 事例④ 高砂電気工業(愛知県)
  12. 3-6. 機械製造・組立業
    1. 事例① 株式会社衣川シャーリング(京都府)
    2. 事例② 株式会社北村鉄工所(京都府)
    3. 事例③ マンヨーツール株式会社(京都府)
    4. 事例④ 株式会社名工技研
    5. 機械製造・組立業から学べること
  13. パターン① 複数の工程を1つにまとめる
  14. パターン② ロボットや自動供給装置で、人が付きっきりになる仕事を減らす
  15. パターン③ 省力化と品質改善を一緒に実現する
  16. パターン④ 外注していた工程を自社で行う
  17. パターン⑤ 新しい製品や市場に対応する
  18. 6-1. 作業時間を減らす場合
  19. 6-2. 必要な人員を減らす場合
  20. 6-3. 生産量を増やす場合
  21. 6-4. 作業時間以外にも確認したい数字
  22. 7-1. 最初に、現在の工場の仕事を数字で整理する
  23. 7-2. なぜ、その問題が経営に影響しているのかを説明する
  24. 7-3. 導入する設備の役割を説明する
  25. 7-4. 省力化の効果を数字で示す
  26. 7-5. 空いた時間を、何に使うのかを説明する
  27. 7-6. 売上、利益、賃上げまで説明する
    1. ① 現在の作業時間を測っているか
    2. ② どの作業を省力化するのか決まっているか
    3. ③ なぜ、その設備が必要なのか説明できるか
    4. ④ 導入前と導入後を比較できるか
    5. ⑤ 省力化の効果に根拠があるか
    6. ⑥ 生産能力が増えた場合、販売先はあるか
    7. ⑦ 会社の業績向上につながるか
    8. ⑧ 賃上げの計画があるか
    9. ⑨ 見積金額は適切か
    10. ⑩ 設備の導入スケジュールに無理はないか
    11. ⑪ 補助金の手続き前に発注していないか

はじめに

工場の設備を新しくしたい。人手不足を何とかしたい。これまで手作業で行っていた仕事を機械に任せたい。

そう考えていても、設備の購入には多額の費用がかかります。特に中小企業では、数千万円の設備投資を決断するのは簡単ではありません。

こうした設備投資を後押しするため、国や地方自治体はさまざまな補助金を設けています。

では、実際に補助金を受けている製造業の会社は、どのような設備を導入しているのでしょうか。

金属加工会社なら、マシニングセンターやNC旋盤。食品工場なら、充填機や包装機。プラスチック製品の工場なら、成形機やロボットなどが考えられます。

しかし、同じ機械を導入すれば、どの会社でも補助金が採択されるというわけではありません。

大切なのは、その機械を導入することで、工場の仕事がどのように変わるのかを具体的に説明することです。

今回は、国の「ものづくり補助金」「中小企業省力化投資補助金」と、都道府県の設備投資支援制度を中心に、公表されている事例を調べました。

業種ごとの特徴を整理し、どのような設備投資計画が審査で評価される可能性があるのかを説明します。

なお、公開されている採択事例のすべてに、設備の購入価格や導入後の効果が記載されているわけではありません。また、今回は製造業の全採択案件を個別に集計し終えたものではなく、公表資料から確認できた代表事例を中心に分析しています。

そのため、実際に公表された事実と、事例を参考にした分析・計画例は区別して紹介します。


第1章 製造業の設備投資では、何が評価されるのか

1-1. 機械を買うこと自体が目的ではない

過去の採択事例を見て、まず押さえておきたいことがあります。

それは、補助金の審査では、機械の性能だけでなく、その機械が会社の経営にどのような効果をもたらすかが重要になるということです。

例えば、金属加工会社が新しい工作機械を購入する場合を考えてみましょう。

「現在使用している機械が古くなったので、新しい機械に買い替えたい」

これだけでは、設備更新の必要性は伝わっても、補助金を使う理由としては十分ではありません。

一方、次のような説明ならどうでしょうか。

「現在は、材料の取り付け、加工、取り外し、寸法確認を従業員が繰り返しています。この作業に製品1個当たり20分かかっています。新しい工作機械と自動搬送装置を導入することで、従業員が直接作業する時間を8分に減らします。空いた時間は、受注が増えている精密部品の製造に充てます」

こちらは設備投資の目的が具体的です。

何に困っているのか。その機械で何が解決できるのか。どれだけ時間が短縮されるのか。その結果、売上や利益をどう増やすのか。

一連の流れが説明できています。

補助金の種類によって審査基準は異なりますが、こうした具体性は重要です。

1-2. 特に大切なのは、次の5つ

過去の事例と省力化投資補助金の審査項目を踏まえると、設備投資計画を作る際には、次の5点を確認する必要があります。

① 現在、工場のどこに問題があるのか。

人手が足りないのか。加工に時間がかかるのか。検査作業が追いつかないのか。

できれば、従業員数、作業時間、生産数量などを使って説明します。

② 新しい設備で、その問題を解決できるのか。

導入する機械には、何ができるのでしょうか。今の設備と何が違うのでしょうか。

カタログに書かれた性能を並べるだけでなく、現場でどの作業が変わるのかを説明します。

③ どれだけ省力化できるのか。

例えば、3人で行っている工程を1人で担当できるようにする。1回45分かかる段取り作業を15分に短縮する。

このように、導入前と導入後を数字で比較します。

④ 省力化した結果、会社の経営がどう良くなるのか。

生産量が増える。納期が短くなる。新しい仕事を受注できる。利益が増える。

さらに、増えた利益を従業員の賃金にも還元していくことが重要です。

⑤ 計画を実行できる見込みがあるのか。

機械の見積書はあるか。納期に問題はないか。設置場所は確保しているか。新しい機械を操作できる従業員はいるか。

こうした点まで説明できて、初めて説得力のある設備投資計画になります。


第2章 まず、どの補助金を使うべきか

製造業が設備を導入する場合、国の代表的な制度として「中小企業省力化投資補助金」と「ものづくり補助金」があります。

この2つは似ているようで、補助する目的が違います。

2-1. 中小企業省力化投資補助金(一般型)

人手不足の解消や、工場の作業を自動化することを主な目的とした補助金です。

例えば、次のような設備投資が考えられます。

  • 金属加工の材料を自動で供給するロボット
  • 製品を自動で取り出す装置
  • 食品の計量・袋詰め・包装を自動化する機械
  • 製品の良否を自動判定する画像検査装置
  • 複数の加工工程をまとめて行える設備

単に機械を新しくするのではなく、工場で働く人の作業時間を減らすことが重要です。

2026年11月4日には、第9回公募要領が公開されています。

制度上の主な補助条件は次のとおりです。

項目内容
通常の補助上限額従業員数に応じて750万円~8,000万円
大幅賃上げ特例最大1億円
中小企業の補助率原則1/2
小規模・再生事業者の補助率2/3
主な目的省力化、自動化、生産性向上

ただし、実際に利用できる補助上限額や特例の適用は、企業規模や申請内容によって変わります。

また、省力化だけでなく、労働生産性の向上や賃上げについても計画を立てる必要があります。

出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)公式サイト

2-2. ものづくり補助金

こちらは、新しい製品やサービスを開発したり、これまでできなかった加工を実現したりする設備投資が中心です。

例えば、従来の設備では加工できなかった高精度部品を製造するため、新しいマシニングセンターを導入する場合などが考えられます。

第23次公募の「製品・サービス高付加価値化枠」では、補助上限額は従業員数に応じて次のようになっています。

従業員数補助上限額
1~5人750万円
6~20人1,000万円
21~50人1,500万円
51人以上2,500万円

補助率は、中小企業が原則1/2、小規模企業・再生事業者は2/3です。

ただし、ここで注意しなければならないことがあります。

第23次公募では、既存の製造工程を単純に効率化したり、人手を減らしたりするだけの事業は、原則として補助対象になりません。

新しい製品やサービスの開発に、設備投資が必要であることを説明する必要があります。

つまり、工作機械を購入するという点では同じでも、事業の目的によって利用すべき補助金が変わるのです。

出典: ものづくり補助金公式サイト

2-3. どちらを選べばよいのか

簡単に整理すると、次のようになります。

会社が実現したいことまず検討する補助金
今ある製品を少ない人数で製造したい省力化投資補助金
手作業の検査や包装を自動化したい省力化投資補助金
複数の工程をまとめて省力化したい省力化投資補助金
新しい製品を開発・製造したいものづくり補助金
従来できなかった精度や仕様を実現したいものづくり補助金
大きく異なる市場へ進出したい新事業進出向けの制度など

県や市町村にも設備投資に使える制度があるため、国の補助金だけに絞る必要はありません。

ただし、同じ設備について複数の補助金を重複して受けることには制限があります。


第3章 製造業の採択事例を業種ごとに見てみる

ここからは、実際に公表された事例を取り上げます。

製造業といっても、金属加工、食品製造、プラスチック、繊維など、業種によって工場の仕事は大きく違います。

当然、役立つ設備も異なります。

また、以下には過去のものづくり補助金や自治体の助成金など、現在の省力化投資補助金とは別制度の事例も含まれています。設備投資の考え方を知るための参考事例としてご覧ください。

3-1. 金属加工業

どのような設備が使われているのか

金属加工業では、マシニングセンター、CNC旋盤、プレス機、研削盤、溶接ロボット、測定器などの導入事例があります。

この業種で大切なのは、加工の速さだけではありません。

製品を機械に取り付ける作業、加工後の取り外し、次の工程への運搬、寸法検査などにも、多くの時間が使われています。

こうした作業をまとめて改善できれば、工場全体の生産性向上につながります。

事例① 株式会社中園工業所

同社は、高速・高精度のマシニングセンターを導入し、既存の大型加工機と組み合わせることで、大型精密装置の製造分野への展開を図りました。

注目したいのは、新しい機械の導入を、それまでよりも高度な仕事を受注するための投資として位置付けている点です。

単なる設備更新ではなく、会社の製造能力を高め、新しい事業につなげる計画になっています。

なお、公開されている事業計画名からは、設備の具体的な購入価格や時間短縮効果までは確認できません。

公式公表事例

事例② 有限会社矢田化学工業(愛知県)

同社は、塗装工程の高度化を目的に、防爆型搬送ロボットとクリーンルームを組み合わせた設備投資を行っています。

塗装作業では、製品を運ぶ作業の負担に加え、品質の安定や安全面も課題になります。

この事例は、ロボットによる省力化だけでなく、品質、コスト、作業環境の改善も一緒に考えているところが参考になります。

公式公表事例

事例③ 有限会社トーヨー(東京都)

東京都中小企業振興公社が紹介している事例です。

同社は、110トン級の新型プレス機を導入しました。

従来は2つの工程に分けて、1日400個の加工を行っていましたが、新しいプレス機によって工程を1つにまとめ、加工時間を約2時間に短縮したことが紹介されています。

設備導入は、生産性の向上だけでなく、高単価の製品への対応や受注増加にもつながっています。

この事例で重要なのは、加工工程そのものを見直したことです。

単に機械を高速化するよりも、工程を減らした方が大きな効果を得られる場合があります。

東京都中小企業振興公社の事例

事例④ 京王電化工業(東京都)

同社は、大型の自動亜鉛めっきラインを導入しました。

公表資料によると、生産量と売上はいずれも約1.4倍に増え、設備1基を担当する人数も2人から1人になりました。

さらに、工場の限られたスペースを有効に使うため、縦型の設備を採用している点も特徴です。

設備投資の計画を作る際には、作業人数だけでなく、設置スペースや製品の流れをどう改善するかも重要であることが分かります。

東京都中小企業振興公社の事例

事例⑤ 不二製作所(東京都)

同社の事例では、切断工程に新しい設備を導入することで、従来2~3人で行っていた作業を1人で担当できるようになりました。

また、5~6時間の自動運転が可能になり、生産量も3~4割増えたと紹介されています。

人手が減っただけでなく、機械が自動で動いている間、従業員が別の仕事に取り組めるようになった点が参考になります。

東京都中小企業振興公社の事例

金属加工業から学べること

金属加工会社が設備投資を考える際には、次のような問題がないか確認してみてください。

一つの製品を作るのに、何度も別の機械へ移動していないでしょうか。

従業員が加工終了を待っていたり、材料を取り替えるために頻繁に機械を止めたりしていないでしょうか。

もし、そうした時間が長ければ、自動供給装置や複合加工機の導入が有効かもしれません。

設備を選ぶ前に、どの作業に何分かかっているかを調べることが出発点になります

3-2. 食品製造業


食品工場では、製品を作る工程だけでなく、計量、充填、包装、冷却、冷凍、選別、洗浄などにも多くの人手が必要です。

また、食品の場合は、作業時間の短縮と同じくらい衛生管理や品質の安定が重要になります。

事例① 道南伝統食品協同組合(北海道)

昆布粉末の製造に使う大型乾燥機の導入事例です。

公表された事業計画名には、生産力を200%とする目標が示されています。

ここで参考になるのは、生産能力の向上を数値で表している点です。

乾燥工程は、製品によって長い時間が必要になるため、設備能力が工場全体の生産量を左右することがあります。

ただし、計画名にある200%は目標値であり、導入後の実績として確認された数値ではありません。

事例② 1,000リットル加熱複合タンクの導入

ものづくり補助金の公表事例には、1,000リットルの加熱複合タンクを導入し、新商品開発と品質・生産性の向上を目指した食品製造業の事例があります。

加熱や混合を行う工程は、製品の品質にも大きく関わります。

こうした設備では、生産量の増加だけでなく、加熱温度の安定、製品の品質、作業工程の短縮なども検討すべきポイントです。

公式公表事例

事例③ 新しい充填機の導入

別の食品製造業では、新しい充填機を導入することで、量り売りに近い品質の製品を開発し、生産体制を整える計画が採択されています。

充填機とは、液体やペースト状の食品などを、容器に決められた量だけ入れる機械です。

手作業で充填すると、従業員の負担が大きくなるだけでなく、充填量にばらつきが生じることもあります。

機械化すれば、作業時間と品質の両方を改善できる可能性があります。

公式公表事例

事例④ 有限会社マルヤマシメ本間水産(北海道)

同社は、電解水装置を活用した製造ラインの整備に取り組んでいます。

この事例は、食品工場に欠かせない衛生管理と、製造工程の改善を同時に考えている点が参考になります。

食品製造業では、生産量を増やすだけでは十分ではありません。

品質を保ちながら、安定して製品を供給できる体制を作ることが重要です。

食品製造業から学べること

食品工場では、例えば次のような設備投資が考えられます。

計量作業に時間がかかっているなら自動計量機、袋詰めに人手が必要なら自動包装機、製品を冷やす工程が生産量を制限しているなら急速冷凍機などです。

その際には、作業時間だけでなく、不良品の発生率、廃棄量、品質の安定性なども確認すると、設備導入の効果を説明しやすくなります。


3-3. プラスチック製品製造業

プラスチック製品の工場では、射出成形機やブロー成形機のほか、製品の取り出しロボット、画像検査装置などが使われています。

事例① 双腕ロボットによるインサート成形の自動化

ものづくり補助金の公表事例には、双腕ロボットを活用し、インサート成形を無人化する取り組みがあります。

インサート成形とは、金属部品などを金型の中に入れてから樹脂を成形し、一体化する加工方法です。

こうした工程では、部品の設置や製品の取り出しに人手が必要になることがあります。

ロボットを導入すれば、作業を自動化できる可能性があります。

公式公表事例

事例② 冷水筒の一貫生産

別の事例では、射出延伸ブロー成形機を導入し、冷水筒を低コストで高品質に製造できる一貫生産体制を整えています。

従来は別々に行っていた工程をまとめたり、外部へ依頼していた作業を自社で行ったりすることが、設備投資の目的になっています。

公式公表事例

事例③ 成形から検査までの自動化

平成29年度補正ものづくり補助金の成果事例には、成形、製品取り出し、画像検査までを一体化した取り組みがあります。

公表されている改善効果は次のとおりです。

項目導入前導入後
必要人員3人1人
最大稼働時間13時間24時間
最大製造能力基準値1.84倍

必要な人員を減らしながら、機械を動かせる時間を長くしたことが大きな特徴です。

この事例から分かるのは、成形機だけを考えるのではなく、材料供給、成形、取り出し、検査までを一連の作業として見直す大切さです。

公式成果事例PDF


3-4. 繊維製造業

繊維製造業では、裁断、撚糸、染色、加工などに使う設備が中心です。

この業種では、職人の経験に頼ってきた工程を機械化することや、多品種少量生産に対応できるようにすることが重要になります。

事例① 複合撚糸の新しい生産方式

新しい生産方式を導入し、工程の削減と新機能を持つ複合撚糸の開発を目指した事例があります。

撚糸とは、複数の糸をより合わせる加工です。

この事例では、単に作業を減らすだけでなく、新しい機能を持つ糸の開発にも取り組んでいます。

公式公表事例

事例② 自動裁断機の導入

オーダーメイドウェアの生産に自動裁断機を導入し、多品種少量生産に対応できる体制を強化した事例です。

衣服などの裁断作業は、製品によって形状が異なるため、熟練者の技術が必要になることがあります。

自動裁断機を使うことで、作業の効率化や加工精度の安定が期待できます。

公式公表事例

事例③ 茶久染色株式会社(愛知県)

同社は、糸加工の技術を活用し、手術用ガーゼ向けの糸状RFIDタグの開発に取り組んでいます。

計画では、補助事業終了後5年目に、新規事業の売上比率を10.8%にする目標が示されています。

これまで培ってきた技術を新しい市場に生かそうとする事例です。

なお、この事例は省力化投資補助金ではなく、事業再構築補助金の事例です。

経済産業局公表資料PDF

繊維製造業から学べること

繊維製造業では、作業の自動化に加え、熟練者しかできなかった仕事を標準化することも重要です。

自動裁断機や新しい加工機を導入する場合には、何分短縮できるかだけでなく、何種類の製品に対応できるか、加工の精度がどの程度安定するかなども検討する必要があります。


3-5. 電気・電子部品製造業

電気・電子部品の製造では、小さな部品の加工、接合、組立、検査などに高い精度が求められます。

このため、設備導入による効果を、生産数量だけでなく、検査時間や不良率などで示すことが重要になります。

事例① 株式会社イー・スクエア(京都府)

大気圧プラズマ薄膜製造装置の開発・試作に取り組んだ事例です。

新しい製造技術そのものの開発を目的にしており、ものづくり補助金らしい事例といえます。

公式公表事例

事例② 田中精工株式会社(京都府)

金型の冷却システムを使い、高品質なダイカスト製品の製造技術を開発する取り組みです。

ダイカストとは、溶かした金属を金型に流し込み、製品を作る方法です。

金型の冷却方法を改善することは、製品の品質を安定させるうえで重要になります。

公式公表事例

事例③ エンゼル工業株式会社(京都府)

太陽光発電設備に使うケーブルの製造能力を高め、新しい仕様の製品を製造する体制を整えた事例です。

新しい市場の需要に対応するため、生産設備を強化しています。

公式公表事例

事例④ 高砂電気工業(愛知県)

電磁弁の検査工程で、リード線の接続を自動化するシステムについて検証した事例です。

検査工程は、製品を作る工程とは別に、多くの時間を要する場合があります。

この事例のように、検査作業の一部を自動化することも省力化の有効な方法です。

なお、こちらは愛知県のロボット導入検証に関する補助金の採択事例です。

愛知県の公表資料


3-6. 機械製造・組立業

機械を製造する会社では、多くの部品を加工・組み立てるため、工程間の移動や外注先とのやり取りに時間がかかることがあります。

事例① 株式会社衣川シャーリング(京都府)

社内データベースを活用し、製造技術を高度化する取り組みです。

機械単体ではなく、製造に必要な情報を管理し、社内の仕事を連携させる点が特徴です。

公式公表事例

事例② 株式会社北村鉄工所(京都府)

切削加工設備を導入し、これまで外注していた工程を自社で行えるようにする取り組みです。

公表資料では、コスト競争力の強化、生産性向上、雇用拡大を目的としており、従業員数は35人と紹介されています。

このような設備投資では、外注費の削減に加えて、外注先への運搬や納品待ちの時間を減らせることが利点になります。

公式成果事例PDF

事例③ マンヨーツール株式会社(京都府)

航空機部品の検査に使う治具について、製造工程を集約し、精度の向上と納期短縮を目指した事例です。

従業員数は25人と紹介されています。

治具とは、部品を正確な位置に固定するための道具です。

航空機関連の部品では精度が重要になるため、治具を製造する工程そのものを改善することが競争力につながります。

公式成果事例PDF

事例④ 株式会社名工技研

CNC複合円筒研削盤などを導入し、無人化と高精度加工に取り組んだ事例です。

従業員数は6人で、直径5ミリ以下の極細パンチ市場への参入を目指しています。

人手を減らすだけでなく、それまで対応が難しかった製品を作れるようにする設備投資です。

公式成果事例PDF

機械製造・組立業から学べること

この業種では、工場内の作業時間だけでなく、外注先への依頼、運搬、待ち時間も含めて、製造の流れ全体を見直すことが重要です。

外注していた工程を内製化できれば、納期を短縮し、受注できる仕事の範囲を広げられる可能性があります。

ただし、内製化だけでは省力化になるとは限りません。新たに自社で必要となる作業時間も含め、導入効果を検証することが必要です。


第4章 採択事例を5つのパターンに分けて考える

ここまで紹介した設備投資は、目的や仕組みによって、おおむね5つのパターンに整理できます。

自社の工場がどれに近いかを考えると、設備投資計画を立てやすくなります。

パターン① 複数の工程を1つにまとめる

例えば、金属部品を製造する工場で、切削、研削、検査を別々の機械で行っている場合です。

製品を次の工程に移すたびに、取り外しや取り付けが必要になります。

複合加工機などを導入して工程をまとめれば、移動や段取りにかかる時間を減らせる可能性があります。

この方法では、加工時間の短縮だけでなく、工程数や段取り回数の削減を数字で示すと効果が伝わりやすくなります。

パターン② ロボットや自動供給装置で、人が付きっきりになる仕事を減らす

例えば、加工機に材料を入れ、加工が終わるたびに製品を取り出す仕事です。

ロボットが材料供給と取り出しを担当できれば、従業員はその間に別の仕事を行えます。

工場によっては、夜間の自動運転も可能になります。

ただし、夜間に動かせるというだけで、必ず省力化効果が大きくなるわけではありません。

従業員が実際に担当する時間をどれだけ減らせるかを確認することが大切です。

パターン③ 省力化と品質改善を一緒に実現する

食品工場の自動充填機や、電子部品工場の画像検査装置などが該当します。

人の作業を減らすと同時に、製品の品質を安定させられる可能性があります。

この場合は、作業時間に加えて、不良率、廃棄率、検査精度なども改善目標にします。

品質不良が減れば、作り直しに必要だった時間や費用も減らせます。

パターン④ 外注していた工程を自社で行う

例えば、金属加工会社が外注していた研削加工を、新しい研削盤の導入によって自社で行う場合です。

外注費が減るほか、外注先への運搬や納品待ちにかかる日数を短縮できます。

ただし、外注費が減るという理由だけで、省力化投資補助金の対象になるとは限りません。

自社の作業時間がどう変わるかも含めて検討する必要があります。

パターン⑤ 新しい製品や市場に対応する

これまでの設備では作れなかった製品を、新しい設備によって製造できるようにする方法です。

高精度部品、医療関連製品、航空機部品、EV関連部品などへの展開が考えられます。

このタイプは、単純な省力化というより、新製品開発や新市場への進出と関係が深い設備投資です。

したがって、ものづくり補助金などの方が適している場合もあります。


第5章 設備投資額によって、どのような計画が考えられるか

設備の購入価格は、メーカー、機種、仕様によって大きく変わります。

ここでは実際の市場価格を示すのではなく、設備投資の規模によって、どのような計画が考えられるかを整理します。

投資規模想定される設備省力化計画の例
1,000万円前後まで小型CNC、測定器、自動裁断機、包装機、充填機、小型ロボット1工程の作業を20分から8分にする
1,000万~3,000万円マシニングセンター、射出成形機、複合加工機、自動包装ライン3工程を1工程にまとめ、3人の作業を1人で担当する
3,000万~5,000万円ロボットセル、自動検査付き加工ライン、自動倉庫連携設備工程全体の作業時間を40~60%削減する
5,000万~1億円規模複数設備を連結した製造ライン、大規模自動化設備工場の製造方法そのものを変え、生産性を高める

これらは計画の考え方を説明するための例であり、設備の実売価格や、採択された事例の実際の投資額ではありません。

また、大きな設備を購入すれば採択されやすくなるということでもありません。

設備の価格に見合った効果が期待できるかどうかが重要です。

例えば、3,000万円の設備を導入する計画なら、何人分の作業時間を減らせるのか。何年程度で投資の効果が得られるのか。増えた生産能力を使って、どれだけ受注を増やせるのか。

そこまで確認する必要があります。


第6章 省力化の効果は、どのように計算すればよいのか

設備投資計画を作る際、特に大切なのが数字の根拠です。

単に「作業時間を大幅に短縮します」と書くだけでは、どの程度の効果があるのか判断できません。

ここでは、実際に計算する方法を説明します。

6-1. 作業時間を減らす場合

例えば、製品の段取り作業に1回47分かかっている工場を考えます。

新しい設備を導入することで、これを15分に短縮できるとします。

すると、1回当たりの短縮時間は32分です。

この段取り作業を毎月80回行っている場合、1年間の短縮時間は次のようになります。

32分 × 80回 × 12か月 = 30,720分

これを時間に直すと、年間512時間です。

つまり、新しい設備を導入することで、年間512時間分の作業を減らせる計算になります。

このように、作業1回当たりの短縮時間と年間の作業回数を明らかにすると、省力化の効果を具体的に説明できます。

ただし、15分まで短縮できるという根拠も必要です。メーカーの試験データや、同じ作業を行った実測結果などがあると、計画の信頼性が高まります。

6-2. 必要な人員を減らす場合

例えば、現在3人で行っている検査工程を、新しい装置の導入によって1人で担当できるようにするとします。

従来は、3人がそれぞれ6時間作業していた場合、1日に必要な作業量は18人時です。

人時とは、1人が1時間働いた仕事量を表す単位です。

導入後に1人が6時間で担当できれば、必要な作業量は6人時になります。

この場合、1日当たり12人時の削減です。

年間250日稼働する工場なら、年間3,000人時を削減できる計算になります。

ただし、実際には設備の準備、清掃、保守、トラブル対応なども発生します。

そのため、設備導入後に必要な作業をすべて確認してから計算する必要があります。

6-3. 生産量を増やす場合

例えば、現在は1日1,000個の製品を製造している工場があるとします。

新しい設備によって1日1,600個まで生産できるようになれば、生産能力は1.6倍になります。

ただし、生産能力が1.6倍になったからといって、売上も自動的に1.6倍になるわけではありません。

増えた分の製品を販売できる見込みが必要です。

既存取引先からの増産要請、新規取引先の引き合い、発注見込みなどがあれば、設備投資の必要性を説明しやすくなります。

6-4. 作業時間以外にも確認したい数字

設備投資の効果は、作業時間だけではありません。

確認する項目数字の例
作業時間180分 → 90分
必要人員3人 → 1人
1日の必要作業量24人時 → 9人時
設備稼働率55% → 80%
夜間の無人運転0時間 → 6時間
製品1個の製造時間60秒 → 35秒
不良率3.0% → 0.8%
歩留まり88% → 96%
外注率30% → 5%
納期10日 → 5日
1日の生産量1,000個 → 1,600個
3年後の売上高現状比20%増
3年後の付加価値額現状比15%増
投資回収期間4年間

これらは設備投資計画を考えるための参考数値です。特定の企業がすべて達成した実績ではありません。

すべての項目を計画に盛り込む必要もありません。

実際に導入する設備によって、改善が期待できる項目を選びます。

また、労働生産性や付加価値額などは、補助金ごとに計算方法が定められています。申請時には必ず、その公募回の定義に従って計算してください。


第7章 設備投資の計画書は、どのように書けばよいのか

ここでは、補助金を申請する際の計画書の作り方を説明します。

難しく考える必要はありません。

まず、現在の工場の状況を整理し、何を改善したいかを明らかにします。

そのうえで、新しい設備を使って問題を解決する方法を説明します。

7-1. 最初に、現在の工場の仕事を数字で整理する

まず、どのような製品を作っているのか、何人で作業しているのか、どの工程に時間がかかっているのかを調べます。

例えば、次のように整理します。

「当社では、製品の検査を3人の従業員が担当しています。1人当たり1日6時間、合計18人時を検査作業に使っています。また、検査待ちが発生することで、加工設備が平均15%の時間停止しています」

これなら、現在の問題が具体的に伝わります。

7-2. なぜ、その問題が経営に影響しているのかを説明する

次に、その問題を放置すると、会社にどのような影響があるのかを書きます。

例えば、次のような内容です。

「既存取引先から生産量を30%増やすよう求められています。しかし、検査工程が追いつかないため、現在の人員では増産に対応できません」

この説明があると、なぜ設備投資が必要なのか分かります。

7-3. 導入する設備の役割を説明する

次に、設備の機能を具体的に書きます。

例えば、画像検査装置を導入する場合です。

「新しい画像検査装置により、製品の外観を自動で撮影し、傷や欠けなどを判定します。判定結果は自動で記録し、不良品は排出装置で取り除きます」

どの作業を人から機械へ置き換えるのかが分かる内容にすることが大切です。

7-4. 省力化の効果を数字で示す

続いて、設備導入前と導入後を比較します。

例えば、3人で行っていた検査作業を1人で担当できるようにする場合です。

導入前は18人時、導入後は6人時。

差し引き12人時の削減になります。

年間250日稼働すれば、年間3,000人時の削減です。

数字を使うことで、設備導入によってどの程度の効果が生まれるのかを判断できます。

7-5. 空いた時間を、何に使うのかを説明する

省力化によって従業員の作業時間が減ったら、その時間を何に使うのでしょうか。

例えば、新しい製品の加工、品質保証、営業、製造技術の改善などです。

大切なのは、従業員を減らすことだけを目的にしないことです。

省力化によって生まれた余力を、会社の成長にどう生かすのか。

この点を説明できると、単なる省人化にとどまらない計画になります。

7-6. 売上、利益、賃上げまで説明する

最後に、設備投資によって会社の業績がどう変わるのかを示します。

例えば、次のような計画が考えられます。

  • 新設備によって生産能力を1.5倍にする。
  • 増えた生産能力を活用し、年間2,000万円の追加受注を目指す。
  • 追加受注によって、年間1,000万円の付加価値を生み出す。
  • その成果を活用し、従業員の賃上げ原資として年間400万円を確保する。

これは計画の組み立て方を示す仮の数字です。

実際に申請する場合は、受注見込み、販売単価、材料費、人件費などを確認し、無理のない数字にする必要があります。

設備投資の効果は、「作業時間が減る」だけで終わらせず、「会社の成長と従業員の待遇改善につながる」ところまで説明することが大切です。


第8章 補助金を申請する前に確認したいこと

設備投資の計画を立てたら、申請前に次の点を確認してください。

① 現在の作業時間を測っているか

改善効果を説明するには、現在の数字が必要です。

従業員への聞き取りだけでなく、実際に作業時間を測った記録があると役立ちます。

② どの作業を省力化するのか決まっているか

「工場全体の仕事を効率化する」という説明では、具体性が不足します。

どの工程の何を改善するか、明らかにすることが大切です。

③ なぜ、その設備が必要なのか説明できるか

設備の型式や性能だけでなく、現在の問題を解決するために必要な機能を説明します。

④ 導入前と導入後を比較できるか

作業時間、必要人員、生産量などを、同じ条件と単位で比較します。

⑤ 省力化の効果に根拠があるか

メーカーの仕様書、試運転データ、実測値などを使って説明します。

⑥ 生産能力が増えた場合、販売先はあるか

売上の増加を見込むなら、受注や販売の見込みを確認する必要があります。

⑦ 会社の業績向上につながるか

設備導入によって、売上、利益、付加価値がどのように変わるのかを計算します。

⑧ 賃上げの計画があるか

省力化投資補助金などでは、賃上げに関する要件があります。

必要な成長率や算定方法は、公募要領で確認してください。

⑨ 見積金額は適切か

設備の価格が高ければよいわけではありません。

必要な性能を備えた設備を、適切な価格で導入することが重要です。

⑩ 設備の導入スケジュールに無理はないか

発注、製作、納品、設置、試運転、従業員への操作教育などに必要な期間を確認します。

⑪ 補助金の手続き前に発注していないか

補助金には、設備の発注や契約を行ってよい時期について、細かな決まりがあります。

原則として、採択後の交付決定を受けてから事業を開始する制度が多くあります。

採択されたことと、交付決定を受けたことは同じではありません。

対象外となる時期に契約や発注をしてしまうと、補助金を受けられない場合があるため、注意が必要です。


第9章 過去の採択事例から、どのようなことが分かるか

今回取り上げた事例から、設備投資の考え方について、いくつかの共通点が見えてきます。

まず、設備投資の目的が具体的です。

金属加工であれば、加工工程を減らす。食品製造であれば、計量や包装を自動化する。プラスチック成形であれば、取り出しや検査を機械に任せる。

いずれも、工場の仕事をどのように変えるのかが明らかになっています。

次に、省力化だけでなく、品質や生産能力の向上にも取り組んでいる事例が見られます。

例えば、プラスチック成形の事例では、必要人員を3人から1人に減らす一方で、最大稼働時間を13時間から24時間に延ばし、最大製造能力を1.84倍にしています。

また、東京都のめっき工場の事例では、担当人員を2人から1人にしながら、生産量と売上を約1.4倍にしています。

いずれも、単に作業人数を減らしただけではありません。

機械が担当する仕事を増やし、従業員が別の仕事に取り組めるようにすることで、生産性の向上につなげています。

さらに、設備投資を新しい製品や市場への進出に結び付けている事例もあります。

例えば、航空機関連部品や精密加工製品など、従来の設備では難しかった仕事に対応するための投資です。

ただし、これらの事例が採択された理由を、個別の審査結果から確認できるわけではありません。

実際の採択理由や審査員の評価内容は、一般に公表されていないためです。

また、採択された企業の事例だけを見ても、同じ設備を導入して不採択となった事業との違いまでは分かりません。

したがって、「この機械なら採択される」と断定することはできません。

それでも、公表事例は、設備投資の目的や効果をどのように説明すればよいかを考えるうえで、大変参考になります。


第10章 設備投資に使える地方自治体の補助金

製造業の設備投資を支援しているのは、国だけではありません。

都道府県にも、独自の補助金や助成制度があります。

例えば、東京都中小企業振興公社では、設備投資の助成金を活用した企業の成果事例を公表しています。

これまで紹介した金属加工やめっきなどの企業のほか、設備投資によって売上が3倍、営業利益が5倍になった事例や、年間1億円の売上増加を実現した事例なども紹介されています。

また、愛知県では、ロボットの活用が進んでいない分野への導入を検証する補助金や、航空宇宙産業の設備投資を支援する制度があります。

愛知県の航空宇宙産業高度強靱化補助金では、一定の大型設備投資を対象に、中小企業・中堅企業の補助率を4分の1以内、補助限度額を1億5,000万円とする支援が設けられています。

静岡県でも、自動化ライン、自動倉庫、組立ロボット、3次元測定器、ワイヤ放電加工機などに関係する支援制度や採択事例が公表されています。

これらは地域や業種などの条件がありますが、国の補助金とは異なる観点から設備投資を支援していることが分かります。

工場の所在地によっては、県や市町村の制度を確認する価値があります。


第11章 参考にした主な公的資料

今回の分析で参考にした主な資料は、次のとおりです。

中小企業省力化投資補助金(一般型)

制度概要、補助上限額、補助率、基本要件などが確認できます。

公式サイト

公募要領・申請資料

ものづくり補助金

制度の概要、公募要領、過去の採択結果などが公表されています。

公式サイト

採択結果一覧

成果事例検索

データポータル

東京都中小企業振興公社

設備投資によって生産性や売上を改善した企業の事例が紹介されています。

設備投資助成金の成果事例

愛知県

ロボット導入検証や航空宇宙産業の設備投資に関する情報が公表されています。

ロボット導入検証の採択事例

航空宇宙産業の設備投資支援

静岡県

中小企業の収益力向上を目的とした設備投資支援について、制度内容や事例が公開されています。

静岡県の設備投資支援制度

中小企業庁

国の主な設備投資補助金や生産性向上支援について確認できます。

中小企業庁・事業再構築・生産性向上支援


おわりに 設備を選ぶ前に、工場の仕事を見直すことが大切

製造業の設備投資では、どうしても機械の性能や価格に目が向きがちです。

もちろん、設備の性能は重要です。

しかし、補助金の申請を考えるのであれば、機械を選ぶ前に確認しておきたいことがあります。

それは、現在、工場のどの仕事に、何人が、何時間かかっているのかということです。

そこが分からなければ、新しい設備によってどれだけ作業時間が減るのかも分かりません。

反対に、現在の仕事を数字で整理できれば、設備投資の効果を具体的に考えることができます。

例えば、従来3人で行っていた仕事を1人で担当できるようにする。段取り作業を47分から15分に短縮する。機械の稼働時間を13時間から24時間に延ばす。

このように設備導入の前後を比較すれば、投資の必要性を説明しやすくなります。

そして、作業時間が減った結果、空いた時間を何に使うのか。

受注を増やすのか。新しい製品を製造するのか。品質を改善するのか。

さらに、その成果を利益や賃上げにどのようにつなげるのか。

ここまで具体的に考えることが重要です。

過去の採択事例には、そのためのヒントが数多くあります。

補助金を受けるために機械を買うのではなく、会社の経営を良くするために必要な設備を選び、その投資を補助金で後押ししてもらう。

この順番で考えることが、製造業の設備投資計画を作るうえで、最も大切な出発点だと考えます。


本報告書は、2026年11月6日時点の公表資料に基づいています。補助上限額、補助率、申請要件、対象経費などは公募回によって変更される場合があります。実際に申請する際は、対象となる公募回の最新の公募要領を確認する必要があります。

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