借金2億円から、売上200倍で上場。その社長が最初に決めたのは、「何を足すか」ではなく「何をやめるか」でした。増やすのを、やめた会社が、いちばん伸びました。

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ある経営の本が、いま話題になっています。
その帯に書かれた一行が、目に飛び込んできました。

「社長が一番働く会社」は、

なぜ儲からないのか?

― 横井康孝『小さな会社は戦略が9割』帯より

まるで、少し前の自分のことを言われているようで、ドキッと、しました。
今日は、その本を読んで考えたことを、正直に書いてみます。

借金2億円から、売上200倍で上場した社長の本


本の名前は、『小さな会社は戦略が9割』。
書かれたのは、ユニフォームネクストという会社の社長、横井康孝さんです。

福井県にある、小さな会社でした。
横井さんが加わったころの年商は、6,000万円ほどだったそうです。
しかも、2億円もの借金を抱えていた時期があったといいます。

その会社が、いまでは売上100億円を超え、
2017年には上場を果たしました。
帯の言葉を借りれば、こういうことになります。

借金2億円からの大逆転!

地方の小さな会社が売上200倍&上場を果たした
「弱者の経営戦記」 ― 同書 帯より(引用)

私が、いちばん心を掴まれたのは、
この「弱者の経営戦記」という言葉でした。

華々しい成功物語ではなく、
力の弱い者が、どう生き抜いたかの記録だ、と。

厳しい環境で踏ん張る中小企業を応援したい私にとって、
これ以上ない一冊に思えました。

 横井さんが「やった」のは、引き算でした


では、横井さんは、何をして会社を立て直したのか。

意外なことに、いちばん大きな決断は、「増やす」ことではありませんでした。
むしろ、まったくその逆だったんです。
本やインタビューで語られている歩みを、私なりに、3つにまとめてみます。

【横井さんの、3つの決断(私なりの要約)】

1.商品の数を、10分の1以下にまで減らした

 ふつうは品ぞろえを増やしたくなるところを、あえて絞り、お客様が選びやすいお店にした。

2.手を広げていた新規事業から、すべて撤退した

 卸売や、衣類のお直し、スーツ販売などをやめ、ユニフォーム一本に絞り込んだ。

3.それでも、営業の部隊は残した

 通販中心になっても営業をなくさず、お客様の生の声を、サイト改善に生かし続けた。

(あくまで、私の解釈による要約です。)

1と2は、思い切った引き算です。
そして3は、「これだけは残す」という、譲れない一点でした。
何を捨て、何を残すか。
その考え方が、この本の目次にも、まっすぐに表れています。

第2章「売上200倍にして地方から上場できた理由」
第4章「戦略を実行する『強い組織』のつくり方」
終章「戦略をやり切る経営者の条件」
― 同書 目次より

戦略というと、難しく聞こえます。
でも横井さんの歩みは、その正体を、
とても分かりやすく見せてくれました。

戦略とは、「何をやめるか」を決めること


ここから、私の仕事の話を、少しだけさせてください。
私は、補助金の事業計画書を、お客様と一緒に毎日のように作っています。

その現場でmいつも感じることがあります。

多くの社長さんは、「あれもこれも」やりたい、と話されます。

新しい商品も、新しい客層も、新しい地域も。
夢がふくらむのは、当然のことです。

でも、その計画書は、たいてい、審査で通りません。
あれもこれもと詰め込んだ計画は、読む人にこう見えてしまいます。

「結局、この会社は、何がいちばんの強みなんだろう」と。
逆に、通る計画には共通点があります。

一点に、絞り込まれている。
そして、捨てる勇気がある。

だから私は、この本を読んで、深くうなずいてしまったんです。

戦略とは、「何をやるか」を足していくことだと、思われがちです。
でも、ほんとうに難しいのは、その反対でした。

「何をやめるか」を、決めることなんです。

じつは、事業計画書づくりも、まったく同じです。

やることを、きれいに書き並べる仕事に見えて、そうではありません。
社長と一緒に、「やらないこと」を決めていく仕事なんです。
捨てるものが決まって、はじめて、残したものに光が当たる。

横井さんが商品を10分の1にしたのも、
きっと、同じことだったのだと思います。

じつは私も、「何でも屋」になりかけました

ここまで、えらそうに書いてきましたが。
じつは、いちばんできていなかったのは、私自身でした。

行政書士の仕事には、ほんとうにたくさんの分野があります。
補助金も、相続も、許認可も、外国人の在留手続きも、契約書づくりも。
私は一時期、そのすべてをまんべんなく手がけようとしていました。
「どれも大事なお仕事だから」と、自分に言い聞かせながら。

でも、あるとき、はたと気づいたんです。
これでは、お客様から見て、こう見えているんじゃないか、と。

「で、結局この先生は、

何の専門家なんだろう?」

あの帯の一行が、胸に刺さったのは、このためでした。
「社長が一番働く会社」は、なぜ儲からないのか。

あれもこれもと抱え込んで、一番動き回っていたのは、
ほかならぬ私でした。

だから私は、決めました。
何でも屋であることを、やめよう、と。

そのうえで、私が残す一点は、これです。

知識・情報と情熱で、

厳しい環境を生き抜く中小企業を、応援する。

それだけに、振り切ろう。

補助金も、許認可も、相続も、捨てたわけでは、ありません。
ただぜんぶ、「社長を生き抜かせる」という一点のための、武器に変わっただけです。

つまり、中小企業様をご支援させていただく、
そのために必要な知識・情報・情熱に関する部分の仕事だけ、
それだけを、全身全霊で頑張ろう。

横井さんの本は、その決断を、そっと後押ししてくれた気がします。

⭐  まとめ:社長が、明日から捨てられること


最後に、この本から受け取ったことを、社長のお仕事につなげてみます。
むずかしいことは、いりません。まずは、3つだけ。

【「捨てる戦略」の、はじめの一歩】

1.いまの商品・サービスを、紙に全部、書き出す

 頭の中だけでは、多いか少ないかも分かりません。まず、見える形にします。

2.それぞれを、「もうけ」と「手間」で仕分ける

 手間ばかりかかって、もうけの薄いものは、どれか。正直に、色を分けてみます。

3.いちばん割の合わないものを、1つだけ「やめる」と決める  

 全部でなくて、いいんです。まず1つ。

 空いた時間と力を、残した一点に注ぎます。

増やすことより、やめること。
それは守りに見えて、じつは、いちばん攻めの決断だと思います。

増やすのを、やめた会社が、

いちばん、伸びていく。

……と、さんざん「捨てましょう」と書いてきましたが。
いちばん捨てられていないのは、たぶん、私かもしれません。

あなたの会社の一点は、何でしょうか。私も、自分の一点を、磨き続けます。

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