人は、二度死ぬ。― 墓じまいで消えるご先祖の生きた証と、私が家系図づくりを始めた理由

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私の父が、お墓を「たたむ」ことを決めました。
永代供養。平たく言えば、墓じまいです。

私の家のお墓は、田舎の山の中にあります。
その墓守を、父がずっと続けてきました。

でも、その父も年をとりました。
お墓をたたむのは、仕方のないことです。

ただ、ひとつだけ、気がかりがありました。
墓石に刻まれた、ご先祖の名前と亡くなった日づけ。

それが、この世から消えてしまうのです。

今日は、その話を、聞いてください。
弊所が家系図づくりを始めた、とても個人的な理由の話です。

 戦争で独身のまま逝った、二人の大叔父

私の父方には、戦争で亡くなった人が、二人います。

どちらも、結婚する前。独身のまま、逝きました。
子どもも、いませんでした。

父から見れば、叔父にあたる人です。
私には、顔も声も分かりません。

残っているのは、墓石に刻まれた名前と没年月日だけ。
そのたったひとつの証も、お墓と一緒にもうすぐなくなります。

そうしたら、この二人が生きていたことを、
次の世代にどうやって伝えればいいのでしょう。

『硫黄島からの手紙』と、6割という数字

何年か前に、『硫黄島からの手紙』という映画を見ました。
私の先祖はどんな気持ちでどんな状況で、死ななければならなかったのか。

それが、どうしても知りたくなりました。
それから、戦争で亡くなった兵士たちの本を何冊も読みました。
そしてある数字を知って、しばらく言葉が出ませんでした。

歴史学者・藤原彰さんの、推計です。

アジア・太平洋戦争の、日本軍の戦没者 … 約230万人

そのうちの過半数が、戦って亡くなったのではありませんでした

「餓死」や、栄養失調による「病死」。

戦場によっては、その割合は、およそ6割にのぼりました。

(藤原彰『餓死した英霊たち』筑摩書房・ちくま学芸文庫 による推計)

戦って、亡くなったのではないのです。
お腹がすいて。食べるものがなくて。
それで多くの若者が、遠い異国で力尽きていきました。

 田舎の青年の命は、軽かった。そして、今も。

私は、思うのです。

東京で何不自由なく暮らす、偉い人たち。
その人たちが決めたことで、田舎の貧しい青年たちの命が、
簡単に捨てられていった。

そうとしか、私には思えないのです。
私自身が、田舎の人間です。
だからよけいに、本当に悲しいのです。

そして、この構造は、今も、変わっていません。

私が若かった頃は、いわゆる就職氷河期でした。
大学を出ても、まともな働き口がありませんでした。

いい大学を出た若者でも、非正規雇用で、
ブラックな職場で、心と体をすり減らしていきました。

あのとき、私たち若者は、こう言われたものです。

「お前の代わりは、いくらでもいる」

この国は、昔も今も、若者を大切にしません。

戦争では、たくさんの命が、失われました。

そして今は、若い貴重な時間を、非正規の使い捨て労働者として扱われ、
結婚や子育ての機会を失いました。

そのせいで、たった独りで年を重ねていく人が、
とても増えました。

 だから、「生きた証」の残る家系図を、作ろうと思いました

私は思います。
戦争で逝った私の大叔父も、就職氷河期世代も、じつは同じなのだと。

結婚も、できなかった。子どもも、いなかった。
そして、独りで逝く。
誰かの記憶から、いとも簡単に消し去られてしまう。

それだけは、避けたい。
心から、そう思いました。

だから、決めました。
家系図を作ろう、と。
生きた証を残そう、と。

ただし、ふつうの家系図では、ありません。
名前と、生まれた日と、死んだ日。
それだけが並んだ、無味乾燥な家系図は、作りたくないんです。

私が、残したい家系図

顔写真。

生きてきた、歴史。

好きだった、もの。

誰かに、褒められたこと。

その人が確かに生きた、という「証」が、ありありと残る家系図です。

たとえ、その人が独りで亡くなったとしても。
その人の歩んだ歴史だけは、ちゃんと、残る。
そういう家系図を、作りたいと思いました。

じつは、それを、まさに形にしている会社が、ありました。
広島の、「家系図えまき」さんです。
https://kakeizuemaki.com/

戸籍をたどるだけでは、ありません。
ご先祖が暮らした土地まで、足を運ぶ。
仕事や、暮らしの情景まで、ていねいに描き出す。
そして、職人さんの手で、美しい巻物に仕立てて、桐の箱に納めてくれます。

「記録ではなく、物語として」

その言葉に、私は心を打たれました。
だから、ご縁をいただいて提携させてもらっています。

 今年の下半期から、無料の家系図づくりの相談会を始めます

そこで、今年の下半期から。
私の事務所で、家系図づくりの無料相談会を、
始めることにしました。

この国のために、一生懸命生きた人。
でも、配偶者も、子どももいなかった人。

そういう人が、忘れられてしまわないように。
忘れない「仕組み」を作ることが、
今を生きる私たちの、責務だと思うのです。

正直に、書きます。

神も仏も、ないのか。
そう嘆きたくなる日があります。

多くの若者を送り出しても顧みなかった人たちの一族は、今も豊かに続いている。
いっぽうで、担い手を失った家は、静かに途絶えていく。
世の中は、どうしようもなく不公平です。

でも、嘆いているだけでは、
あの人たちは、二度死んでしまいます。

一度目は、命を。二度目は、記憶を。
それなら、せめて。二度目だけは、食い止めたい。
それが、私たち専門家の責務だと思います。

小さなものから、はじめましょう

立派な家系図じゃなくても、いいんです。
古い引き出しから出てきた、一枚の写真。

そんな小さなものからはじめれば、十分です。
あなたのお家にも、語り継ぎたい人がきっといます。

その歴史を、小さくてもいい。形にしましょう。
次の世代に、残していきましょう。
それが今をいきる、私たちに出来ることだと思います。

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