中小企業の皆さんに、大きく関係があることです。一部の方の税金逃れへの対策で、大多数のまじめな中小企業が困るかもしれない。中小企業庁が国税庁に「待ってください」と声を上げました

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「会社の株の評価」や「相続税の見直し」と聞くと、
難しそうで、自分には関係のない話だと思うかもしれません。

しかし今、国税庁で検討されている見直しは、
地域で頑張っている中小企業や、
その会社を引き継ぐ家族に、大きく関係する可能性があります。

そして、この見直しに対して中小企業庁が、
「急いで決めないでほしい」と強い意見を出しました。

売れない会社の株に、現金で税金を払う

多くの中小企業の株は、株式市場で売られていません。
こうした株を「取引相場のない株式」といいます。

たとえば、父親が経営してきた会社を子どもが引き継ぐとします。
子どもは会社の株を相続しますが、会社を続けるためには、
その株を持っていなければなりません。

簡単に売って現金にすることはできません。

ところが、相続税や贈与税は現金で納めます。
株の評価額が高くなれば、手元の現金が増えていなくても、支払う税金は重くなります。

国税庁で検討されている新しい考え方では、
資産を多く持つ会社、
利益をしっかり出している会社、
子会社を持つ会社などは、
株の評価額が大きく上がる可能性があります。

税金を払うために会社の土地や設備を売ったり、
将来の設備投資に使う予定だったお金を納税に回したりすることになれば、
会社の成長が止まってしまいます。

場合によっては、事業を続けること自体が難しくなるかもしれません。

14件の問題のために、175万社を巻き込むのか

見直しの理由の一つは、会社の規模を意図的に変えるなどして、
株の評価額を低くする税金逃れへの対策です。

不正を防ぐことは、もちろん必要です。

ただし、国税庁が過去10年間に確認した、
こうした事例は14件とされています。

一方、日本には中堅・中小企業の法人が約175万社あります。

中小企業庁は、

「まずは問題のある行為を直接防ぐ方法を考えるべきではないか」
「一部の事例を理由に、評価方法全体を大きく変えてよいのか」

と問いかけています。

さらに、国税庁が示した影響の試算についても、
会社の規模ごとの中央値を示しただけでは、「全く不十分」だと指摘しました

そして、「拙速に結論を出すべきではない」
「政府が進める中小企業の成長や賃上げの方針にも逆行する」

とまで述べています。

丁寧な役所の言葉ですが、本音は、
「会社の現場をもっと見てください。
 このまま急いで進めないでください」

という、切実な訴えなのだと思います。

難しい制度だからこそ、人任せにしない

この話で一番お伝えしたいのは、国税庁をただ批判することではありません。
私たち自身が、会社の将来に関わる制度に関心を持ち、必要な声を届けることです。

たとえば、次のようなことは私たちにもできます。

  • 国税庁や関係省庁の資料を読んで、周りの経営者に知らせる
  • 財務省の意見窓口へ、自社にどのような影響が考えられるかを送る
  • 地元選出の国会議員に、この制度を知っているか、どう考えているかを尋ねる
  • 商工会議所や商工会などを通じて、地域の事業者の声をまとめてもらう

難しい言葉を使う必要はありません。誰かを強く責める必要もありません。

「後継者に会社を残したい」
「税金を払うために、大切な設備を売るような制度にはしてほしくない」
「業種や会社の状況ごとに、きちんと影響を調べてほしい」

そうした現場の率直な声を、落ち着いて伝えるだけでも意味があります。

まだ決まっていない今だからこそ

今回の見直し案は、まだ決定された制度ではありません。
だからこそ、今、関心を持つことが大切です。

制度は、遠い場所にいる誰かだけが考えるものではありません。
私たちの会社、従業員、家族、そして地域の将来に関わるものです。

「誰かが何とかしてくれる」と人任せにせず、まず知る。
そして、自分にできる方法で意見を届ける。

中小企業庁の抗議文を、私たち一人ひとりが制度について考え、
声を上げるきっかけにしていただければと思います。

意見を送る窓口:財務省「財務行政へのご意見・ご要望の受付」

参考資料:中小企業庁「『取引相場のない株式の評価』見直しに係る意見」国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第6回)資料」

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